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映像クリエイター歴25年-大手テレビCM会社を経て、映像ベンチャーに入社したキャリアに迫る【社員インタビュー#23】
こんにちは、エレファントストーンの大江です!
“社員の想いを象る”シリーズと題して連載企画でお届けしている弊社の社員インタビューも第23弾。今回は、特別編として入社7年目のディレクター竜口が、2023年6月に入社した齊藤にインタビューしました。
1998年、大学卒業と同時にCMプランナーとしてキャリアをスタートさせた齊藤さん。その経歴はバンド活動から始まり、インハウスのCMプランナーからディレクター、クリエイティブディレクターへと職種を広げ、フリーランスを挟みつつ現在へと続いています。その多様なキャリアと転機、映像に懸ける想いに迫ります。
【インタビュイー/齊藤 雄基】
武蔵野美術大学卒業後、株式会社ロボット企画演出部へ入社。以来23年間、CMプランナー・ディレクターとして数多くのTV-CMを制作。CM以外にもTVドラマ、ショートフィルム、MV、施設映像など、あらゆる映像の企画演出を手掛ける。2021年、独立してフリーランスへ。2023年ディレクターとしてエレファントストーンにジョイン。
【インタビュアー/竜口 昇】
大学のサークルで映像制作を始め、その後映画美学校に入学して映画作りのノウハウを一から学ぶ。美学校在学中には数本の短編映画とミュージックビデオを制作する。卒業後は自分のスキルを活かせる会社を希望し、2017年エレファントストーンに入社。
音楽に夢を追いながら、映像の道へ
竜口「本日はよろしくお願いいたします!今期から同じチームとして一緒に動く機会は多いですが、多様な経歴を持つ齊藤さんのこれまでのキャリアついて色々お伺いできればと思います」
齊藤「よろしくお願いします!」
竜口「まずお伺いしたいのが、キャリアの始まりですね。どういう感じで映像業界に入ったんですか?はじめはCMプランナーだったんですよね?」
齊藤「そうです。1998年に大学を卒業後、新卒でロボットという会社に入社してCMプランナーとして映像のキャリアをスタートしました」
竜口「なぜ、CMプランナーを選ばれたんですか?」
齊藤「大学時代はバンドをやっていて、音楽で生きていこうと思っていたんです。でも映像には全く触れていなくて。バンドマンの進路ってレンタルビデオ店や練習スタジオなどでアルバイトしながらプロを目指すってゆうイメージだったんですが、『それってちょっとやだな…』と考え、就職しようと思ったんです。それで、CMプランナーという仕事が『なんか面白そうだな』という軽い気持ちで就職活動をはじめました」
竜口「最初はいわゆるバンドマンを目指していたんですね!そこからCMプランナーという職種を選ばれたとのことですが、映像に興味を持つきっかけはあったんですか?」
齊藤「きっかけは【中島信也】さんというCMディレクターです。同じ大学の先輩にあたる人で、大学で講義をしてくださった時に、『大学時代に組んだバンドを今も続けています』と話していて、それはいいなと。その後、TVCMを多く手がける株式会社ロボットを知り、応募して入社しました。
当時のロボットは設立13年目で、僕は13期生でした。映画『ラブレター』で有名になり始めていた頃で、CMプロダクションとしても成長中でした。最終面接では、『会社に入って何をしたい?』と聞かれたので『バンドで売れて辞めるつもりです』と正直に答えました。それが面白いと思われたみたいです(笑)」
竜口「齊藤さんの周りの人とは違う部分が買われたのかもしれないですね(笑)入社後はどんなお仕事をされていたんですか?」
齊藤「入社後、CMのプランニングの仕事をしながら2、3年でバンドで売れて辞めるという計画を立てていました。そのため、先輩から現場の手伝いを頼まれても、『無駄だから行きません』と断っていました。それでも許される社風だったんです」
竜口「断る勇気というか、受け入れられる社風だったんですね」
齊藤「半年ほど経った頃、プロデューサーから『面白いからディレクションもやってみろ』と言われ、1年目の秋頃に初めて演出を担当しました。誰の下につくこともなく、試行錯誤で進めました。当時はスタッフが全員年上だったので、どうすれば舐められないかを必死で考えながら仕事をしていましたね。
2年目には少し大きな『カーセンサー』のCMを手掛けました。この頃、CMディレクターの【グ・スーヨン】さんと仲良くさせてもらってて色々教えてもらいました。印象に残っているのは『現場では挨拶一つからすべての分岐を考える』ということ。挨拶の仕方や、返事の仕方まで全部シミュレーションしておくことで、どんな状況にも対応できるようになるという考え方です」
竜口「挨拶からシミュレーションするの考えたこともなかったです」
バンドから映像への転機
竜口「その後入社してからバンドマンとしての道はどうなっていったんですか?」
齊藤「結果的に、バンド活動は辞めました。理由は方向性の違いと表向きに言っていましたが、実際には自分の音楽能力の限界を感じていたからです。
自分の理想にスキルが追いつかず、モチベーションが続かなかったんです。また、CM制作で出会ったプロのミュージシャンたちとの仕事を通じて、『このレベルには到底たどりつけない』と実感しました」
竜口「そこから本格的に映像への道にシフトされたんですね」
齊藤「そうですね。音楽の道を諦めた後、演出家としての道を模索していた頃に、ロボットの先輩ディレクターである【守本亨】さんと仕事をするようになりました。
企画から一緒にやっていた仕事で『何でもやるから1年間付けてほしい』とお願いし、師弟関係が始まりました。結果1年では終わらず2年間みっちりついて、この2年間で、ディレクターとは何をする仕事かというのを多く学びましたね」
竜口「どんなことを学ばれたんですか?」
齊藤「言われたことで今でも意識しているのは、『アレンジャーじゃなくてディレクターになれ』というのと、『良いクリエイティブはクセになる』ということです。アレンジャーは見た目を整えるだけで本質的な問題は解決しませんが、ディレクターは本質を解決し、全員をゴールに向けて導いていく役割だと受け止めています」
竜口「その経験がディレクターとしての基盤ができたんですね。この流れで齊藤さんが映像制作をする上で一番大切にされていることはなんですか?」
齊藤「昔は自分が面白いと思えるものをつくることを最優先にしていました。社内で好き嫌いが分かれるタイプでしたが、自分に合う人とだけ仕事をすれば良いと割り切っていました。
ただ今は、自分が面白いと思えるものというのは当たり前として、本質的な問題解決をするためにベストな表現かどうかを考えます。そのためには自分だけの考えに固執するのではなく、クリエイターもそうじゃない人も含め、色々な考え方を受け入れる。相手を尊重する姿勢が重要だと思っています。」
竜口「クリエイターとして面白さを突き詰めるだけではなく、相手を尊重する姿勢は大事ですね」
フリーランスからエレファントストーンに入社するまで
竜口「前職を退職された後、フリーランスとして活動されてたとお伺いしたのですが、そのきっかけはなんだったのでしょうか?」
齊藤「前職では管理職もやっていて、実は50歳までやったらクリエイティブを辞めて完全に管理側の人になってもいいかなと思ってました。でも、感染症拡大で一気に世の中がガラッと変わったなっていうような実感があり、10年後はもっと世の中も変わるだろうし、自分ももっとクリエイターとして変化することが出来るなと思いました。あと少しお休みしてリセットするような感覚もほしくてフリーランスになりました」
竜口「あのタイミングで世の中の流れがだいぶ変わりましたよね。その後エレファントストーンに入社されるきっかけはあったのでしょうか」
齊藤「2年間ほどはゆっくりやろうと思っていて、来た仕事だけをやるという感じで過ごしていました。家に1人でいるのが全然苦痛ではないタイプなので、撮影とか特別なこと以外はずっと家にいる感じでした。ただ、この刺激のなさが、ものづくりをする人間としては良くないんじゃないかと思って、少し外に出ようと思ったのが最初のきっかけです。
フリーランス時代にブランディングのような仕事も始めていましたが、そのときに気づいたことがありました。映像制作をベースにしていると、ブランディングの仕事にはなかなか届かない。ブランディングに近い仕事といえばアートディレクターやコピーライターで、映像はどうしてもプロジェクトの最後に来る役割なんです。予算も大きいし、注目されるけど、プロジェクト全体の中では、実は最初の方で行われる重要な仕事にはなかなか関われない。
そんなとき、エレファントストーンの“映像をつくる会社じゃなくて誇りを創る会社”という言葉を見て、自分の考えに近いかもと思い、それで応募しました」
現場に立ち、若手メンバーの個性や表現力を引き出すクリエイターに
竜口「ここまでキャリアについてお伺いしましたが、最後に齊藤さんはこれからエレファントストーンでどんなことをやっていきたいですか?」
齊藤「これまで経験してきた管理職やリーダーという役職ではなく、現場に立てるいちクリエイターとして自分が面白いと思えるものをつくり続けていきたいと考えています。
そのために、まずは若手のクリエイターが個々の力を発揮できる環境づくりを、これまでの知見や経験を活かして、彼らの個性や表現力を引き出しながら、一緒にものづくりをしていきたいです。
例えば、普段自分がアドバイザーとしてみることが多いディレクターの福原さんは、すごく素直で、順序立てて考える能力が高いんです。彼女なりの論理的なアプローチがあり、それを活かして自分の表現を追求しつつ、お客様の課題も解決するという形に成長しているのが見て取れます。こうした成長をサポートしながら、一人ひとりのクリエイティブを伸ばして次世代につなげる。さらに、自分自身も刺激をもらってクリエイターとしてもっと進化したいと思っています」
まとめ
齊藤さんがこれまで歩まれてきたクリエイティブディレクターとしてのキャリアをお届けしました。今回取材した竜口さんにも感想を伺ってきました。
竜口さんコメント
今回のインタビューもそうですが、齊藤さんと普段一緒に仕事をしていると、クリエイティブに対する考えや姿勢は同じディレクターとして刺激的ですし、この高い視点は、これからのエレファントに必要なものだと改めて思いました。
“社員の想いを象る”シリーズはこちらからご覧ください!
映画公式HP▼
https://mazekoze-matsuri.com/