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小津安二郎の映画にみる“高さの構築美”

小津安二郎の映画にみる“高さの構築美”

日本を代表する映画監督である小津安二郎をご存じの読者も多いのではないでしょうか。代表作として知られる『東京物語』ほか残した作品群は未だに鑑賞され、研究の対象にもなっています。

独自の演出手法「小津調」

ローアングルで人物を捉える手法や、計算し尽くされた構築美。「小津調」と称される独自の世界観は、国と時代を超えて多くの人に愛されています。彼の作品を観てみると、一見無造作に置かれているような背景の小さなアイテムにまで心が配られていることが分かります。

これを端的に表した言葉がTwitterで拡散されていました。伊藤弘了さん( @hitoh21 )の以下のツイートです。

出典:https://twitter.com/hitoh21/status/1046409514574962688?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1046409514574962688%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fzoorel.elephantstone.net%2Farchive%2F476%2F

そう、小津映画では食事のシーンに際された食器、食べ物、飲み物には必ず何かのルールに基づいた配置がされているのです。それはYoutubeにおいてある予告編動画からでも見て取ることができます。

『秋刀魚の味』

出典:https://www.youtube.com/watch?v=kp2S77LARkg

2分2秒の晩酌をするシーンをご覧ください。何気なく置かれた食器類の高さが揃っていますね。

続いては2分51秒のシーン。車に描かれた線と扉の線が同じ高さだと分かるはずです。また、看板の一番下の高さも合わせています。

『彼岸花』

出典:https://www.youtube.com/watch?v=7YM6l-Jswt0

16秒のシーンをご覧ください。ここまでくると偶然の一致とも言いたくなりますが、ポロシャツの高さと障子の枠の高さが一致しています。これもきっと計算なのでしょう。

こだわりは「高さ」だけではない

予告編を観ながら気が付いた人もいるかもしれませんが、例えば『彼岸花』ではどのシーンにもアクセントとなるビビッドな赤や黄色といった色が含まれています。色彩の美です。

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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