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POV方式ってなんだろう? PV・MVを彩る魅力的な手法
エレファントストーンの奥野です。
映画や映像を鑑賞するのが好きな方は、恐らく一度は目にしたことがあるだろうPOV方式を採用した作品たち。ですが、いきなりPOVと聞くと、一体なんのこっちゃ、と思う人もいますよね。かくいう私も、正式名称は本格的に映像を勉強するまで知りませんでした。
そもそもPOVって?
POVとは、「Point Of View」の略であり、日本語訳すると即ち「視点」ですが、映像の中で、この「視点」を持つ存在とは登場人物、あるいは生き物達となります。そして彼らの視線と、カメラの視線を一致させたカメラワークを、POV方式、あるいはPOVショット(主観ショットとも)と言います。
一般的に、POV方式を用いた映像では、まるで視聴者が映像の世界を体験しているかのようになることで、臨場感の増幅やドキュメンタリーに見られる生の質感、が得られると言われています。
さてさて、そんなPOV方式は、主に登場人物が多い映画の中で使わている手法というイメージがあるかもしれませんが、PVやMVの中でも効果的に使われているのです。
POVが使われた映像を見てみよう!
まず、個人的に見ていて最もワクワクしたPVに、2008年に製作されたNIKEのCM「Take It To The Next Level」があります。
どうでしょう?! ワクワクで震えるようなエンターテインメント性はもちろん、サッカー選手のリアルってこんななんだってことを体験できる内容になってますよね!
何より随所に足下のショットを散りばめることで、視聴者に「プロも履いてるNIKEのスパイクで、僕達(私達も)サッカーしてみたい!」と効果的に思わせています。
POVとMVのフュージョン
POV方式は、MVの世界でも、楽曲に魅力的な広告効果を付与しています。次に紹介する作品は、The Weekndで「False Alarm」です。
VFX、ワイヤーアクション、ドローン撮影等、映像撮影の歴史と発展がこれでもかというぐらいに詰め込まれた驚異的な作品です。
銀行強盗という非日常的な状況を視点にすることで、逃亡劇のパニックを体感する斬新なアイデアが素敵で、なおかつ最後に、POVの視点が実はアーティスト自身の視点だったと分かるのも粋な演出ですよね。
あの日本の大企業のハートフルなCMにも使われている
TOYOTAの2015年のPV「Loving Eyes -Toyota Safety Sense」の中でも、”家族の絆”を表す仕掛けとして、POV方式が効果的に機能しています。
父と娘という、家族だけど一番身近な異性同士の複雑な心情と関係性を、それぞれの視点を通して体験していく内容となっていて、こみ上げるものがある素敵な作品となっていますよね。
~番外編~ 強いメッセージ性を付与することもできるかも
最後に海外のPVとして、アメリカの病院、Children’s Healthcare of Atlanta, Incが2013年に製作した「Rewind the Future」というPVを紹介します。
映像は、男性が病院に運び込まれるところから始まり、彼が赤ん坊の頃までその視点で遡る内容となっています。POVの視点を採用することで、生活習慣の乱れがもたらす結末の恐怖や家族との関係まで、自然に違和感なく理解できる内容となっています。
何より、視聴者が自分に重ねてしまうことでPVのメッセージ性が突き刺さります。
まとめ
いかがでしょうか? 一般的に主観ショットと聞くと、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「REC」のようなホラー映画と親和性が高い印象を受けますが、PVやMVの世界でも有用な演出方法の一つとして使われたりもします。
他にもPOV方式が採用された作品はたくさんあるので、ぜひ一風変わった映像作品の世界を観て楽しんでみてください。
ちなみに、エレファントストーンが運営するアウターブランディングサイト「bacter」で公開されている映像作品『CONTACT DESIGN』でも、POV方式で撮影されているシーンがあります。ご覧いただけると嬉しいです。
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