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入浴剤の魅力を映像で伝える。「バスクリン」CMの魅力とブランド戦略

入浴剤の魅力を映像で伝える。「バスクリン」CMの魅力とブランド戦略

画像引用:https://www.bathclin.co.jp/news/2025/1001/

こんにちは!ZOORELを運営する映像制作会社エレファントストーンです。

2025年10月3日、株式会社バスクリンはプレスリリースを発表し、同社の事業を12月31日で終了することを明らかにしました。

バスクリンの歴史は古く、1893年に創業したツムラ順天堂に端を発します。1897年に発売されたくすり湯「浴剤中将湯」が、現在の「バスクリン」の原型とされており、長い年月にわたり多くの人々に親しまれてきました。これまでにも数々の印象的なCMを展開しており、1981年には萩村欽一さん、1999年には元力士でタレントのKONISHIKIさんを起用するなど、入浴剤業界における名作CMを数多く生み出してきました。

ブランドそのものは消滅せず、親会社であるアース製薬に吸収されます。「バスクリン」「きき湯」など、バスクリン社が展開してきた商品は、アース製薬が責任をもって引き継ぐと発表されています。そこで今回は、バスクリン社の象徴ともいえるCM作品をブランドごとに振り返ってみましょう。

バスクリンのCM

1. きき湯シリーズ

自宅で手軽に温泉気分を楽しめる入浴剤として人気の「きき湯」シリーズ。疲れを癒す効果はもちろん、香りや色のバリエーションも豊富で、多くの人が日々のリラックスタイムに取り入れています。「きき湯」ブランドのCMは、入浴剤という一見地味な商品の特徴を逆手に取り、自由でユーモラスな表現が魅力です。

2023年8月に公開された「温泉ソムリエ」編では、リニューアルに伴い、緑色の粒「きき湯」を使って自宅のお風呂がまるで温泉に変わる様子を、わずか15秒でリズミカルに描写。短い尺ながら、見ているだけでお風呂タイムが楽しくなるような演出が施されています。

2025年10月に公開された最新シリーズ「きき湯~ご」では、SixTONESの髙地優吾さんがバーのマスターを演じています。公開から1週間で40万回以上再生され、同時に公開された全3エピソードもそれぞれ30万回以上再生されるなど、好調なスタートを切りました。

物語の舞台はバー。マスターはお客様の疲れや悩みを“聞き”湯ならぬ“聞き”湯~ごし、やさしく癒すというユーモラスで心温まるストーリーになっています。

公式コメントでは、「多様化する現代人のライフスタイルや疲れの悩みに寄り添うブランドに一新した『きき湯ファインヒート』のように、『きき湯~ご』もあなたの疲れや悩みに寄り添います」としています。こうして「きき湯」シリーズのCMは、親しみやすくユーモラスな表現で、日常に小さな癒しを届けるブランドらしさが際立っています。

2. Ayur Time アーユルタイム

アロマバスソルトとして人気の「アーユルタイム」は、自宅で手軽にラグジュアリーなバスタイムを楽しめる商品です。天然精油の繊細な香りや、ろうそくの光に照らされたゆったりとした時間が、多くの人の日々のリラックスタイムに彩りを添えています。

2024年に公開された「アーユルタイム」のブランドムービーは、バスクリン社のCMの中では珍しく、ユーモラスさよりも高級感・上質感を前面に押し出した仕上がりになっています。“お湯が揺らぐたび広がる、天然精油の繊細な香りの重なり”をテーマに、優雅で落ち着いた時間を想像させる映像表現が印象的です。

公開後は99万回再生を記録し、バスクリン社のCMの中でもっとも多く視聴された作品となりました。ブランドの上質さを印象付ける映像として、多くの注目を集めています。

3. 日本の名湯

自宅で手軽に日本各地の温泉気分を楽しめる入浴剤として人気の「日本の名湯」シリーズ。香りや色でそれぞれの温泉の雰囲気を再現し、多くの人の日々のリラックスタイムに取り入れられています。

「日本の名湯」シリーズのCMは、商品自体の特徴を活かし、「入浴シーン」を自然に想起させる演出が特徴です。温泉に浸かるひとときの心地よさや癒しの時間を、視覚的に感じさせる映像が魅力となっています。

2023年に公開された「夢ごこち 微細発泡にごり湯」編では、まさに夢心地なリラックスできるBGMとともに、入浴剤の効能をわかりやすく説明。締めのショットでは、視聴者が自宅で温泉に浸かっているかのような体験を想像できる演出が施されており、商品の魅力を存分に伝えています。

「つい見入ってしまう!」と話題になった「日本の名湯」シリーズのCM。Discover Japanとのコラボ動画で、2021年11月の公開後には34万回以上再生されました。

別府温泉の観光動画風で始まりますが、注目すべきは開発部のスタッフがすぐに温泉へ調査に向かうシーン。ドキュメンタリーほどではありませんが、湯の再現にこだわる様子や工夫がしっかり伝わってきます。ラストは「王道の入浴シーン」で締められ、シリーズの伝統を守りつつ、ユーモアや臨場感も楽しめるCMになっています。

まとめ

このようにバスクリンは会社に複数のブランドを抱えて、魅力を視覚的に伝えづらい入浴剤というジャンルでCMを使うことで印象を強く残してきた会社です。

この魅力は今後どうなっていくのか、商品の引き継ぎだけでなくCMの方向性にも要注目ですね。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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