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【取締役CHRO誕生インタビュー】「人の可能性を信じ、誇りを生む環境をつくる」──宍戸が描く、これからのエレファントストーン

2025年10月、エレファントストーンは新たに取締役CHRO(最高人事責任者)を設置しました。事業の幅が広がり、組織のフェーズも変化する中で、「人と組織の成長をどうつなげていくか」という問いに、より本質的に向き合うタイミングを迎えています。
CHROに就任したのは、これまで経営戦略室のトップとして、事業開発・人事・ブランディング・マーケティングなど複数の重要領域を横断しながら組織を支えてきた宍戸。人に誠実に向き合う姿勢と、仕組みで支える視点の両方を持つ彼女に、就任の背景とこれからのエレファントストーンに込めた想いを伺いました。
[宍戸プロフィール]
上智大学卒。前職ではオーストラリアでのセラピー犬の事業に携わる。会社の新規立ち上げや事業戦略の構築を始め、人事、総務、経理、法務等のバックオフィス等、様々な分野から立ち上げ業務に従事。その経験を活かすべく、2018年にエレファントストーンに入社。組織拡大期の管理部門体制の構築を主導し、経営戦略室のトップとして事業開発・人事・ブランディング・マーケティングといった多岐にわたる重要領域を統括的に牽引。
前職でも気づけば“なんでも屋”。その経験が今につながっている
──社会人としての最初のキャリアでは、どんな仕事をされていたのでしょうか?
「医療・福祉・教育領域のサービスを国内外で展開する会社で、国際事業部に所属してオーストラリアを担当をしていました。
オーストラリアでセラピー犬の育成やペット関連施設の立ち上げ・運営などを行う事業の経営管理を主に担当していました。経営管理といっても、規模はそれほど大きくない事業だったので、基本的に職域の垣根がなくなんでも担当し、幸運にもヒト・モノ・カネの流れをすべて見える環境でした。それもあって色々な角度から事業に携わることが多く、役員決裁を自分で取りに行く機会も多かったです。
失敗を許容してくれる上司が多く、小さな失敗はいくらでもして、次につなげる感覚が身につきました。結果的に『全体を把握して、足りない機能を自分で取りにいく』動き方が当たり前になりましたね」
──そんなに幅広く携わってこられていた中で、転職を決意されたのはなぜですか?
「本当に好きな仕事でしたし、ありがたいことに評価もしてもらっていました。昇進もして、社内での立ち位置も安定していたと思います。ただ、内心では『本当に自分って、評価されるに値する人材なのか?』という不安があって。一度外に出て、自分がどこまで通用するのかを試してみたいと思いました。
次の環境でも評価される自分であれば、自分自身を認めてあげられると思ったんです。それが転職を決めた理由です」
──エレファントストーンを選んだ決め手は、どんなところにあったのでしょう。
「最初は海外で働くような求人も含めて幅広く見ていましたが、経営管理なら数字メイン、人事なら人事領域、新規事業なら立ち上げのみなど、役割が明確に決まっている募集が多かった。
そんな中でエレファントストーンは、やることはこれから決めますといった内容だったんです。『決まっていないからこそ、やれることが広い』という印象があって、前職の経験と重なりました。実際の面接では8割が雑談で(笑)。でもそれが逆によかったんです。一緒に働く人たちの人柄を知り、『この人たちと働きたい』と思いました」
最初はわからなかった、“エレファントストーンらしさ”。そして経営戦略のトップとして、その「らしさ」を仕組みや事業に変えていく
──2018年4月当時はまだ20名ほどの組織でしたよね。当時、最初にどんなことから始められたんでしょう?
「最初はコーポレート領域のサポート業務から始まりました。正直、当初は任される仕事が少なくて、『このままでは続かない』と感じました。
そこでまずは信頼づくりから。当時の社員全員にヒアリングして“仕事の種”を探し回ったり、上司や代表の何気ない一言を拾って提案したり。頼まれていないことでも『やってみていいですか?』と動いていました。そうしていくうちに、代表・鶴目との会話が増えていき、直接仕事を任せてもらえるようになっていきました」
──組織が拡大していく中で、今の企業理念にあたる価値観を言語化する取り組みにも関わられていたのが印象的です。
「そうですね。当時、『うちっぽい』という言葉がよく使われていたんですが、私自身もよく理解できていなかったですし、誰も明確に言葉にできていなかったんです。
組織の拡大に合わせてマネジメント研修を実施した際、マネージャーの行動指針を定義したのが最初の取り組み。そこから会社全体の行動指針、ミッション・ビジョン・バリューづくりにつながっていきます。会社についての理解が深まりましたし、言語化されて初めてみんなで同じ方向を見られるようになった感覚でした」
──経営戦略室の立ち上げ以降は、さらに会社全体の仕組みづくりにも関わられていますよね。
「動ける範囲が広がってきたタイミングで経営戦略室ができ、一気にやれることが増えました。コーポレート領域だけでなく、広報やマーケティングに本格的に触れたのもこの時期で、OTAKEBI事業(=映像広告運用サービス)の立ち上げやお客様への広告提案、広告運用まで一気通貫で経験できたのは大きかったです。業界誌にも自分が担当した案件が取り上げられて、自分も小さく誌面をかざれたのは密かに嬉しかったですね。
数字を見ながら動くことが多く、『会社の仕組みをつくる』たのしさを感じましたね。採用、育成、インナーブランディングなど、会社全体の動きの中で『人』を軸に考える感覚も増えていき、この経験は今のCHROとしての視点にも直結していると思います」
──そんな中で、一貫して大切にしてきた価値観はありますか?
「 一言でいうと『ま、いっか』と見て見ぬふりをしないことです。時にはフタをしたくなる事象があっても、見て見ぬふりをせずにちゃんと向き合って手を尽くす。全方位にとって完璧な着地点は見出せなくても、考え抜いた結果と“見て見ぬふり”で進めた結果では、手触りがまったく違うと思っています」
──ここ数年ゼネラルマネージャーとして働かれてきた中で、経営陣との関わりで意識してきたことはありますか?
「 いい意味で対等に議論することです。立場が上の人と話すと、思考のスピードや解像度に置いていかれる瞬間がありますよね。そこを『ま、いっか』にせず、なぜその考えに至ったのか想像して、背景を掴みにいく。
キャッチアップに徹するだけではなく、自分の意見を出すことも同じくらい大事にしてきました。なんでも受け止めてくれる鶴目さん・伊藤さんには本当に感謝しています。お互いがアップデートされる瞬間もありますし、私の提案で組織が動くこともある。そこにおもしろさも感じています。
あとは、鶴目さんが0→1を生み出す人で、私が1→3を形にしていく人、そして伊藤さんが3→10へと拡張していく人だと勝手に思っています。それぞれの得意分野が異なるからこそ、この流れが自然にできあがっている気がします」

左から取締役COO 伊藤、代表取締役CEO 鶴目、取締役CHRO 宍戸
初の取締役CHROに就任──“誇りを生む環境づくり”へ
──今回、新たにCHROが誕生しました。就任の経緯を教えてください。
「オファーをいただいて、責任の重さを考えると正直最初は迷いました。ちょうどその頃、自分の仕事にワクワクできない時期があって、鶴目さんにも相談をしたことがあります。悩みながら整理していく中で、『人と向き合うことだけは諦めたくない』という気持ちがはっきりしました。
決め手は2つです。『CHROの肩書きがあってもなくても、人と向き合う覚悟は変わらない』という確信と、『このチャンスは二度と来ないかもしれない。だったら経験しよう』という感覚でした」
──CHROとして、どんな未来を描いていますか?
「“誇り”を個人と組織の両輪で育てることです。エレファントストーンは『PRIDING COMPANY(誇りを創る会社)』を掲げており、ここ数年、自分の中で“誇り”という言葉を考え続けてきました。そして結局は、自己実現が大きなキーワードになるのではないかと感じています。自分のやりたいことや、なりたい姿を仕事にうまく紐づけて、それが自分も含めて誰かの前向きな変化や価値につながったとき、きっと“誇り”が生まれるのではないかと。
ただ、なりたい姿は人によって異なります。だから、全員にとって良い環境を用意するのは不可能です。ただ代わりに、一人ひとりの『こうなりたい』にアクセスするきっかけと仕組みをつくれることはできると思うんです。まず手始めにやりたいことは、役員との連携を強化しつつ、各チームとの関わりを増やすことですね。メンバーのことをもっと知りに行き、泥臭く動きながら、メンバー一人ひとりの『こうなりたい』にアクセスするきっかけを、人事戦略やカルチャーづくりを通じて提供していきたいです。
社員一人ひとりが自律的に自己実現し、自分自身や組織に誇りを持つことができれば、この文化や熱量をプロジェクトを通じてお客様にもきっと届けることができます。そうすれば、お客様の誇りづくりにも今まで以上の力で向き合えるのではないかと考えます」
──最後に、宍戸さんにとっての「エレファントストーンの魅力」って、どんなところだと思いますか?
「やっぱり“人”です。誠実なメンバーが多く、お客様に正面から向き合う姿勢は本当に強い。そこは他社には簡単に真似できない“うちらしさ”だと感じています。一度出会っていただければ、その良さはきっと伝わるはず。ただ、まだ出会っていない方にそれを伝えるのは難しい。だからこそ、“人をどう見せるか”は常に意識しています。これからも、その魅力をもっと多くの人に届けていきたいです!」
編集後記
取材を通して改めて感じたのは、宍戸さんの姿勢の一貫性です。経営戦略室で長くご一緒してきた中でも、一つの専門領域にとどまらず、常に“全体を見ながら、できることがあればなんでもやる”姿勢を貫き、それが今のエレファントストーンのさまざまな仕組みや発展につながっているのを間近で見てきました。
働くメンバーが、自分のやりたいことやなりたい姿を仕事に重ねながら、誇りを持って働けるように。私自身も、宍戸さんの「人と向き合うことを諦めない」姿勢に刺激を受けながら、共により良い組織づくりに取り組んでいきたいと思います。