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BEAMSがYouTubeチャンネルの動画でアピールするのは「洋服」ではなく「人」
近年では、Twitter、Facebook、InstagramといったSNSと並び、YouTubeのような巨大な動画プラットフォームを情報発信の媒体として企業が積極的に利用するケースが多くみられるようになっています。特に最近は、商品・サービスの紹介や、動画セミナー、採用動画といった従来の動画活用とは異なる、ユニークなYouTubeチャンネルの活用が多くみられようになっています。
とはいえ、
・YouTubeの活用法が分からない
・予算が気になる
といったお悩みを抱えている企業も少なくありませんよね。
そこで今回は、自社スタッフの趣味を生かし、予算をかけずに企業の好感度アップに成功しているBEAMSのユニークなYouTube活用法についてご紹介します。
スタッフの趣味全開! 『BEAMS AT HOME』シリーズが面白い
日本のアパレルセレクトショップの草分け的存在であるBEAMSを展開する株式会社ビームスホールディングでは、YouTubeを活用し積極的にファッションのトレンド情報や自社商品の情報を発信しています。
公式チャンネル「BEAMSテレビ」の発足は、10年以上前の2009年。企業チャンネルとしては、かなり早い段階でのスタートであり、チャンネル登録者数も3万5,000人近くと非常に人気が高く、影響力の大きなコンテンツとなっています。
アパレル企業の動画マーケティングでは、芸能人やモデル、知名度の高いインフルエンサーを起用した商品・サービスのCMや紹介動画を制作する傾向が高いのですが、この「BEAMSテレビ」は、自社スタッフが出演してファッションのトレンド情報や自社商品の情報を発信しているのが大きな特徴になっています。
しかも、洋服を紹介すると思いきや……
2020年4月からは外出自粛を受けて『BEAMS AT HOME』というシリーズを開始しており、スタッフがおうち時間の過ごし方や趣味についてのノウハウを投稿。
スタッフの趣味を前面に押し出したコンテンツになっており、Amazonデバイスの活用術を紹介した上記の動画のように、全くファッションと関係のない情報発信を行っているものが数多くみられます。
日本のいいものや映画を紹介
こちらの動画では、バイヤー担当のスタッフが、日本全国を駆け回った豊富な買い付け経験を生かし、都道府県を切り口に「日本のいいモノ」を紹介。仕事の思い出を交えながら、普段の生活に使える身近なアイテムを取り上げる内容になっていて、琵琶湖の名産である真珠のアクセサリーにまつわエピソードが心に残る一本になっています。
映画好きなビームスハウスのスタッフが、「映画で学ぶメンズファッション」と題し、ファッションにフォーカスして名作をピックアップ。『アニーホール(1977)』や『マンハッタン(1979)』、『炎のランナー(1981)』といった70年代・80年代を代表する作品を通して、当時流行していたファッションスタイルをうかがい知ることが出来梨乃が素敵です。
こうしたような、愛好するサブカルチャーやエンターテイメントを紹介しながら、仕事で培った専門的な知識やノウハウを紹介していくスタイルの動画は、ユーザーとスタッフとの距離をグッと知事める効果があります。
「アットホーム」ビデオの定番? キャンプや料理も
オンラインショップの商品の撮影を手掛けるコミュニティーデザイン部に所属するスタッフが、「家キャンプ」の様子をお届け。生地から手作りしたマルゲリータがめちゃくちゃ美味しそうですよね!
ピザ釜がに目を奪われがちですが、アンティークなドイツ製ランタンや布製チェア、ウッドテーブルなど、センスあふれるインテリアも素敵。個人的には、ルームツアーもぜひしてほしいスタッフさんです。
この動画では、料理上手なスタッフが、家を居酒屋に変える素敵な料理をご紹介。企業YouTubeは仕事と関連性の深い出来事を取り上げるのが定石なのですが、『BEAMS AT HOME』はそうじゃないんですよね。
アパレルという業種に縛られることなく、スタッフの得意なことや独自の視点を生かしたテーマで、それぞれ思い思いの方法で撮動画を撮影・編集していることがよく伝わってる内容になっていますよね。
ただ「自宅で飲んでいるだけの動画」をビジネスとして配信する理由
はっきりいってしまえば、この動画なんてビール片手に焼き鳥を頬張っているスタッフのを家飲みを発信している、ただそれだけのものです。こんなプライベート動画を投稿してビジネス面でのメリットはあるのか……? という疑問が浮かんでくる方もいらっしゃるかもしれませんが、『BEAMS AT HOME』を通してその人柄に共感したユーザーが、「スタッフに会ってみたい!」という動機からショップに来訪するケースが少なくないそうです。
個人的には、おしゃれでとっきにくいイメージのあるアパレル業界とのギャップが非常に面白く、さりげなく自社アイテムも紹介しているのですが、こうした文脈のものだと嫌みがなくすっと情報が入ってきますよね。
アパレル系のように顧客向けの店舗を持たない企業でも、動画をコミュニケーションツールとして活用することで、クライアント先との信頼関係の強化や見込み顧客のロイヤリティ向上が期待できることは、想像に難くありません。
「BEAMSテレビ」を視聴していると、企業にとって最大のリソースは、商品・サービスではなく自社スタッフであり、その魅力を発信することがブランデイングやマーケティングにも繋がることをあらためて実感します。今回ピックアップした動画以外にも、YouTube活用のヒントにあふれた魅力的なコンテンツが多く並んでいるで、ぜひチェックしてみてくださいね!
まとめ
いかがだったでしょうか。
- モデルやタレント、インフルエンサーといった有名人ではなく、自社スタッフを発信者として起用
- 一見ビジネスとは無関係に思える、プライベートを切り取った情報発信でブランデイングやマーケティングにつなげる
- エンターテイメントやカルチャーの話を交えながら自社アイテムを自然に紹介
こうした特徴を持つ、BEAMSのYouTubeチャンネルは非常にユニークなものがあり、大きな予算をかけずとも、アイデア次第で商品・サービスを顧客に訴求することができる好例といえるでしょう。今後もおもしろい企業チャンネルやYouTubeの活用法を見つけたら積極的にご紹介していくつもりです。どうぞお楽しみに!