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映像の魔術師「ミシェル・ゴンドリー」の名作ミュージックビデオをご紹介!

映像の魔術師「ミシェル・ゴンドリー」の名作ミュージックビデオをご紹介!

こんにちは!ZOORELを運営する映像制作会社エレファントストーンです。

ミュージックビデオ(以下、MV)の領域で、映像と音楽の革新的な融合が数多く見られる近年。古くから、音楽家と映像作家のコラボレーションによって、思いもよらぬシナジー効果が生み出された例は少なくありません。その実例として、本記事では、ロック音楽史を彩る映像作家として知られるミシェル・ゴンドリーの名作を厳選してご紹介します!

ミシェル・ゴンドリーについて

ミシェル・ゴンドリーは、「映像の魔術師」とも称される現代フランスを代表する映像作家の一人です。多くの優れた映像作家がそうであるように、その作品づくりはMVにとどまるものではありません。ジャンルを自由に越境する彼のオリジナリティはさまざまな分野で発揮されており、CMや映画の世界でも多数の受賞歴を持っています。

2004年に公開された映画『エターナル・サンシャイン』では、ファンタジックな空想世界とシリアスな現実世界が交錯するユニークな物語と映像でアカデミー脚本賞を受賞。

MVの分野では、1993年に発表されたビョークの『human behaviour』のMVを手がけたことで国際的な注目を集め、The Rolling Stones、Radiohead、The White Stripes、The Chemical Brothersなど錚々たるミュージシャンの作品に携わっています。

ミシェル・ゴンドリー代表作をピックアップ

1. björk(ビョーク)『human behaviour』

【ポイント】映像の魔術師の代表作

björkの『human behaviour』のMVは、ミシェル・ゴンドリーの名が世に響きわたるきっかけとなった作品です。探究心と革新性を兼ね備えた彼の才能がよく現れた1本でもあり、発表から約20年の月日が流れた現在でも、彼の代表作の1つとして高く評価されています。

北欧のダークファンタジー的な世界観をストップモーションのような手触りで表現した映像は、制作された1993年当時はかなり先進的で異彩を放っていました。アート性とポップ性が高次元で同居するbjörkの音楽性がパーフェクトといってよいほど見事に視覚化されています。後進のクリエイターにも大きな影響を与えた、独創性あふれる傑作です。

2. The White Stripes(ザ・ホワイト・ストライプス)『Fell In Love With A Girl』

【ポイント】一度解体してから組み立て直す「再構築」の手法

1997年に結成されてから2011年の解散を迎えるまで、数々の伝説を打ち立てたザ・ホワイト・ストライプス。昨今トレンドとなっているY2Kファッションとも密接な関わりのある2000年代初頭の世界的なムーブメント「ガレージロック・リバイバル(=ロックの1ジャンル)」を牽引したアーティストであり、その卓越したセンスは今なお輝かしい光を放っています。

2002年に制作された『Fell In Love With A Girl』のMVでは、実写とCGによって完成されたMVをドット単位で解体した後、レゴブロックによって再構築。歴史の片隅に忘れられていたガレージロックという埃まみれの宝石を、独自のセンスを通して思いもよらぬかたちで再提示しています。その音楽性やアティチュードとも根底で深く繋がったアプローチで撮られた名作です。

3. The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)『Go』

【ポイント】15年ぶりにタッグを組んだ伝説のコラボ

ロックとダンスミュージックを繋ぐ架け橋となったイギリスの音楽ユニット、ケミカル・ブラザーズ。ミシェル・ゴンドリーは、音楽からワンテンポずれたダンスが話題となった『Let Forever Be』、都市のランドスケープと音楽が完全に同期した『STAR GUiTAR』のMVを手がけ、その革新的な作品たちはジャンルの垣根を越え数多くのアーティストから絶賛されています。

そして、2015年7月に発売された『Go』では、およそ15年ぶりにケミカル・ブラザーズのMVを担当。近未来感溢れるコスチュームを纏った7人の女性が、2本の巨大ポールを持って機械体操のような行進を繰り広げる動きから思わず目を離せなくなります。

ミシェル・ゴンドリーらしいアイデアや奇抜で予想不可能なモーション。ケミカル・ブラザーズの楽曲とも見事に同期し、リリース当時大きな反響を呼んだ傑作MVです。

4. Paul McCartney(ポール・マッカートニー)『Dance Tonight』

【ポイント】CGのパイオニアらしい幻想的な演出

伝説のロックバンド、The Beatlesのメンバーとして音楽史にその名を刻んでいるポール・マッカトニー。ミシェル・ゴンドリーは、彼の65歳の誕生日となる2007年6月18日に発売されたメモリアルソング『Dance Tonight』のMVを手がけています。

家の中でマンドリンを奏でながら幽霊達とパーティーを繰り広げる。そんなちょっと不思議なストーリーを、コンピューター・グラフィックをMVで初めて使ったパイオニアでもある彼ならではの編集テクニックで幻想的な演出で映像化した作品です。

郵便配達員がポール・マッカートニーのもとにマンドリンを配達する場面からスタートする本作は、ポールの実娘でデザイナーのステラ・マッカートニーや人気女優のナタリー・ポートマンも出演するなど豪華なキャスティングでも広く世間を賑わせました。

5. Kylie Minogue(カイリー・ミノーグ)『Come Into My World』

【ポイント】映像の魔術師ならではのトリック映像

カイリー・ミノーグは、1979年に女優としてデビューを果たした後、シンガーソングライターとしても幅広い分野で活躍しているオーストラリア出身のアーティストです。2002年にリリースされた楽曲『Come Into My World』のMVは、ミシェル・ゴンドリーが担当しており、第46回グラミー賞の最優秀ダンスレコーディング賞を受賞しています。

街中をぐるぐる歩くカイリー・ミノーグ本人だけでなく、彼女を取り囲む周囲の人々も自然と増えていく表現は斬新そのもの。楽曲が進むにつれ、登場人物が分裂したかのように増えていくユニークな演出が光ります。2002年当時における最先端の特殊技術が活用されており、現在でも各方面から高い評価を得ている本作。ミシェル・ゴンドリーらしい、創意工夫に富んだMVに仕上がっています。

6. IDLES(アイドルズ)『Model Village』

【ポイント】独創的なペーパークラフト風のアニメーション

2015年公開の『グッバイサマー』から得た名声を1つの到達点として、近年では長編映画の領域にクリエーションの重心をシフトしつつあるミシェル・ゴンドリー。彼がディレクターを務めた最近のMVとしては、2020年に公開されたイギリスを代表するロックバンド・IDLESの楽曲『MODEL VILLAGE』が挙げられます。

本作は、独創的なアナログ技術やアニメーション技法を駆使することで知られる、実兄のオリヴィエ・ゴンドリーとの共同監督によって制作されています。アナログ的な質感を生かした作風の中でも、特に注目したいのは、紙の切り絵を手作業で張り合わせた手法が使われている点です。

手づくり感あふれるペーパークラフト風の映像と、IDLESが奏でるローファイなポスト・パンクサウンドと絶妙にマッチしており、独特なスタイルが光る作品となっています。

まとめ

ミシェル・ゴンドリーが手がけたMV集、いかがでしたか?

どの作品も彼のアイデアや創造性が反映され、時代を先取りしたものだったように感じます。彼のような注目の映像作家をこれからもご紹介していきますね。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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