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地域の物語を世界へ発信。「日本国際観光映像祭2025」の受賞作紹介

地域の物語を世界へ発信。「日本国際観光映像祭2025」の受賞作紹介

画像引用:https://jwtff.world/

こんにちは!ZOORELを運営する映像制作会社エレファントストーンです。

優れた撮影手法や編集技術など、総合的な映像力を評価する場所であるコンペティションの舞台。観光プロモーションの世界でも、言語を越えて国際的に魅力を発信できる手段として大きな役割を担っており、そこには創造的なインスピレーションの源泉を数多く見出すことができます。

そこで本記事では、国内外から高い関心が寄せられている『日本国際観光映像祭2025(2025年3月17〜19日開催)』の受賞作を厳選してご紹介します!

日本国際観光映像祭について

Japan World’s Tourism Film Festival(通称 JWTFF/日本国際観光映像祭)は、観光映像を通じて地域の魅力や未来の観光のあり方を発信する国際的な映像祭です。国内外の観光映像作品を対象にした権威あるアワードであり、地域に根ざした映像表現・観光映像を通じて地域の魅力と未来の観光を考える映像祭となっています。

第7回の開催地は岡山県・真庭市

岡山県真庭市で開催された、第7回となる2025年のテーマは『森と人々、美しき暮らしの継承へ』。長年にわたる森との対話で培われた風土、ここに息づく自然との関係性を学び、地域の魅力を伝える観光映像とは何か、これからの観光のあり方を探るメッセージが込められており、国内外から大きな注目を集めました。

真庭市は、豊かな森林資源と独自の地域文化を有する一方で、人口減少や過疎化といった課題も抱える地域。都市部がオーバーツーリズムに直面する今、こうした地域の魅力を映像で可視化し、持続可能な観光のあり方を世界に発信する意義はますます高まっています。

日本国際観光映像祭2025 受賞作品紹介

1.『わく、みなみあそ issue2』|熊本 南阿蘇温泉郷

受賞:Tourism Destinations Regions部門 最優秀賞 & ジャパングランプリ(最高賞)

震災を乗り越えて再生する南阿蘇の温泉郷を舞台に、日常の営みを冊子と映像で表現した本作。地元クリエイターたちによって2019年に始まった「わく、みなみあそ」プロジェクトの第2弾です。

「五岳五湯(ごがくごとう)」という南阿蘇温泉郷の湯守りたちの合言葉をモチーフに、温泉と人々の深い関係性を丁寧に描いています。地元住民にとっての日常が、旅人にとってはまるで映画のような「非日常」として立ち上がる構成が秀逸。澄んだ空気感と湯けむりの香りが立ち上るような映像美で、人と風土が共鳴する観光プロモーションのモデルケースとなっています。

2.遠い喜界島に「瞬間移住」|鹿児島・喜界町

受賞:日本部門 City Promotion 最優秀賞

奄美大島の隣に浮かぶ小さな離島・喜界島。その自然や文化、人々とのふれあいを通して、「島に着いた瞬間から島人(しまんちゅ)になれる」ような旅を描いた作品です。

美しいサンゴ礁の海、島民のあたたかさ、ゆったりとした時間の流れ…。主人公以外は実際の島民が出演しており、観光資源としての“人”の魅力が伝わる演出が特徴です。喜界島ならではの「等身大の観光」を体感できる一本となっています。

3.3rd Destination 堺 – 日本らしさを、自分らしく味わおう –|大阪・堺市

受賞:国際部門 Tourism Destinations Gold(最優秀賞)

「京都・奈良・大阪に次ぐ“第3の目的地”」として堺市を位置づけたユニークなコンセプト。訪日外国人観光客をメインターゲットに据え、堺の歴史や文化に触れられるスポットを美しい映像で紹介しています。茶の湯、刃物、百舌鳥古墳群など、街のあちこちに残る“日本らしさ”を、落ち着いたペースで味わえる魅力を訴求。混雑を避けて、自分らしい旅を楽しみたい外国人観光客に向けた、知的で心地よい観光体験の提案となっています。

4.『あなたに、なごみを。〜熊本県和水町〜』

受賞:日本部門 City Promotion 優秀賞

「そのまちには、何もない。」という印象的なナレーションで始まるこの映像。逆説的なメッセージから始まり、四季折々の自然や文化、人のぬくもりを描きながら、最後には“なごみ”というキーワードで着地する構成が見事です。

観光資源の派手さではなく、日々の暮らしの積み重ねに価値を見出す視点が、映像からも静かに、しかし力強く伝わってきます。和水町に流れる「豊かさとは何か」を問い直すような、穏やかで澄んだ印象深い作品です。

まとめ

観光映像は、ただの名所紹介ではありません。人と土地のつながりを描き、視聴者に新たな価値観や旅のあり方を提案する表現手法です。2025年の日本国際観光映像祭では、どの作品も映像の力で「その土地で生きる人々の物語」を浮かび上がらせていました。そして、そこには確かに、次の旅先を選ぶヒントが詰まっているように感じます。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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