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PCレスで画像・動画編集する時代?
Adobeの戦略に思うこと

PCレスで画像・動画編集する時代? Adobeの戦略に思うこと

先月15日にAdobe(アドビ)が米ロサンゼルスで開催した大規模カンファレンス「Adobe MAX 2018」。そこで発表された『Adobe Creative Cloud』の次期アップデートをご覧になりましたか?

特に目玉となったのは2つです。

まずひとつ目は、2019年度を目処に『Photoshop CC for iPad』を発売することを発表したことです。これまでiPhone、iPadといった携帯端末向けには『Photoshop Mix』、『Photoshop Sketch』、『Photoshop Fix』、『Photoshop Lightroom CC』と機能を少しずつ抜き出したアプリを用意しておりましたが、フル機能版は初。

これにより、レイヤー、マスク、psdのサポートなどができるとのことです。さらには、ペイント系ソフトの『Project Gemini』も合わせて来年にリリースされるといいます。

iPhone、iPadの大型化が止まらず、それと共にキーボードやペンシルといった付属アイテムを使った楽しみ方も普通になってきただけに待望の登場となりました。

ビール業界が発泡酒や第三のビールを発売するように、今後Adobeも携帯端末向けもPCと同じようにケアしていく未来が想像できます。

Adobeがそうした意識するようになった背景には、SNS隆盛の時代があります。現在はFacebook、LINE、Twitter、Instagram、TikTokなど次々にサービスが登場し、日常的に楽しまれています。

インターネット黎明期はハンドルネーム(HN)というオンライン上の名前を決め、自分たちの素性を一切明かさないとする趣がありましたが、今では自分たちの顔画像や動画を出すことは珍しくなくなりました。また、そうした人たちの中から“インフルエンサー”と呼ばれる人たちも生まれ、芸能人よりも近い、しかし日常より遠い、憧れの存在として注目を集めています。

Adobeは同カンファレンスに先立ち『Premiere Rush CC』のバージョンアップも発表しています。

直感的使用できるオールインワンのアプリケーション:Premiere Rushは、動画撮影から直感的な編集、カラーおよびオーディオ調整、モーショングラフィックスの活用、SNSへのシームレスな公開までの機能すべてを搭載した、使いやすいアプリケーションです。

クリエイティブの柔軟性:シンプルな編集、自由にカスタマイズできるモーショングラフィックステンプレート、カラー調整、Adobe Senseiによる自動ダッキングにより、自分で作りたい作品を高画質な映像と音声で作成できます。これらのクリエイティブな機能はすべてPremiere Pro、After Effects、Auditionに由来するものです。

ワンクリックでSNSへアップロード:SNS共有のためのプリセット(YouTube、Facebook、Instagram、Behance)が用意されており、ワンクリックでコンテンツをそれぞれのSNSに自動的に最適化して公開できます。

いつでも、どこでも簡単アクセス:スマートフォン、タブレット、デスクトップで一貫性のあるユーザーエクスペリエンスを提供し、別のデバイス上で作成したプロジェクトを、他のデバイスから公開することができます。

上記はAdobe Blogより引用しました。

こちらは特にそうしたSNS時代を意識したつくりになっています。スマートフォン、タブレット、PCどれでも操作できることを前提に動画撮影、動画編集、SNS投稿まで全てアプリを横断することなくできるようになっています。

操作性もより手軽にしながら、ISO感度をいじれるなど高機能な部分は残したまま。「初心者でも、魅力的な動画をすばやく作成して投稿できます」とAdobe公式サイトではうたっています。使用料金が980円(税抜き)/月、グループ版でも1980円(税抜き)/月と安価なのも魅力です。

かつて動画編集、画像編集をするには、高性能のMacと高価なAdobeソフトウェアを購入しなくてはならなりませんでした。その敷居の高さゆえ諦めてしまう人も少なくなかったでしょう。それが今では直感的にスマートフォンやタブレットを通じて編集ができる時代になりました。

そのうち、画像、動画編集は下手な大人よりも中学生、高校生の方がうまいのが常識……なんて時代がくるのかもしれませんね。

今回米ロサンゼルスで開催され大盛況だったクリエイティブの祭典「Adobe MAX」は、11月20日(火)に日本へやってきます。参加登録の受付は既に終了していますが、視聴登録をすればイベント当日にストリーミング配信を視聴できるようになります。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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