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映像プロデューサー ガーフィーが選ぶ地域PRムービー傑作選2023年版

映像プロデューサー ガーフィーが選ぶ地域PRムービー傑作選2023年版

はいさい!ZOORELを運営しているエレファントストーンでプロデューサーを務めております、ガーフィーです。

私は様々な地域の方の「ふるさと自慢」を聞くのが好きという性格が高じて、「地域PRムービーの制作」を多く手掛けております。控えめに言って、すごーく目が肥えてます。私が「この映像はすごい!」と申しましたら、それは本当にすごい作品だと思っていただければと思います。

今回は、そんな目の肥えたガーフィーが選ぶ傑作
地域PRムービー3選なので、もう読まなきゃ損損。特にこれから地方創生映像を作りたいという自治体様や、映像クリエイターは必見の内容です。また、今回は映像のどこが優れているのかをよりわかりやすくするために

・撮影技術部門
・ストーリー部門
・ガーフィーが選ぶ今年見たベスト観光映像部門


の3部門で1作品ずつ傑作を紹介してまいります。早速ですがいってみましょう!まずは撮影技術部門から!

撮影技術部門/FPVドローンの圧巻映像!

沖縄県観光PR動画 | 八重山諸島・小浜島

沖縄県・小浜島の観光PR動画。日本国際観光映像祭2022 (JWTFF) にて国際部門「Tourism Service」2nd Prizeに選ばれた作品です。

おすすめポイント/好きな部分

「急に自分の地元をレぺゼンするんですね?」と突っ込みたくなる気持ちはすごくわかります。が、マジで関係ないです(言葉を崩しすぎて申し訳ございません)。こちらの映像が沖縄を映しているということが重要ではなく、「FPV(First Person View」で撮影された高速カメラワークが圧巻の映像です。

ちなみに、FPVとは、操縦者がドローンから見える景色を見るように撮影をする技法のことで、これによって通常のドローンよりも遥かにスピードが早い操作(最高時速は200kmを超えるものも……)や、アクロバットな回転飛行や、落下するようなスリルある飛行が味わえることから、高速ドローンとも呼ばれています。

Web映像の宿命ですが、動画を再生した瞬間「3分かー……」と思って再生を止めたくなるお気持ちはよくわかるのですが、騙されたと思って一度2分19秒あたりから動画を再生してみてください。アトラクションのごとく展開していく映像で、思わず最後まで再生しているはずです。(前半は前半でメッセージ性のある内容なので、最初からみていただくのがもちろんおすすめです)

ストーリー部門/冒頭で惹きつけられて思わず見てしまう女子一人旅ドラマ

【高知県 仁淀川エリアPR動画】 “究極のブルー編”

多忙な毎日、日常の制約、将来の事、人間関係のトラブル。多くの現代人がストレスや不安を抱え日々を過ごしているなかで仁淀川は誰でも心解き放たれる不思議な場所として描いたドラマ。

おすすめポイント/好きな部分

YouTubeのコメント欄を見ると「映画のCMか、と思ったらだまされた」「だまされて見に来たら、思った以上に素敵な動画」「YouTubeの広告を見たら引き込まれました」「YouTube広告でスキップせずに全部見たのははじめてです。一瞬で行きたくなりました」という類のコメント(場所自体にもともと興味があったわけではないが、動画を思わず見てしまったような)が目立っております。これらコメントや「視聴者の感情」を引き出すためのテクニックはまさにストーリーテリングの妙で、冒頭の「これは、私が騙された旅の話だ」というコピー&セリフから、もう惹きつけられます。

いい意味で観光PRっぽくない導入になっていて「結論の一歩手前をあえて映像の冒頭に持ってくる」ことで、視聴者の興味を引いているのだと思います。では、主人公は何に騙されたのでしょうか?その答えの中に「動画制作者」や、「制作を依頼した地域の方」の想いと本質が詰まっていると思うので、ぜひ観てみてください。

ガーフィーが選ぶ今年見たベスト観光映像部門/なんと懐の深い作品なのだろう

よみがえる下風呂小唄 〜下風呂温泉郷のいま〜(青森県風間浦村)

本州北の果ての海沿い青森県下北半島風間浦村にある『下風呂温泉郷』を紹介する動画。第5回日本国際観光映像祭で国内グランプリ賞受賞作。

おすすめポイント/好きな部分

制作の背景には2021年8月に発生した大雨災害や感染症の影響による観光客の減少があり、かつて歌い継がれていた「下風呂小唄」を復興ソングとして、温泉郷旅館のおかみで組織する「下風呂温泉おかみの会」が自身の経験を振り返りながら歌にしようと企画したことが始まりだったそうです。

ただ、多くの映像制作者は「温泉郷をPRする映像」の制作依頼を受けた際、当たり前のように「そこでどういう時間を過ごせて、そこを訪れることでどういうメリットが得られるか」というところにフォーカスをすると思うのですが、本作はその真逆とも言える作りになっていて、メインパーソン(&視点)は「観光する人」ではなく温泉郷を支えてきた「おかみさんや地元の人」となっております。

観光する人が最も気になるであろう「温泉の映像」や「地元の海の幸の映像」は、あくまでもメインテーマを支えるための素材としてインサートされるだけで、映像の趣旨は一貫して温泉郷で歌い継がれていた「下風呂小唄」を復活させる様子を描いています。このコペルニクス的転回ともいえる視点の逆転が本作に深みを与えており、映像祭でも受賞する「評価される作品」になったのだと思います。

また、ここからはさらにフィルさと(ガーフィーがメイン担当の地方創生動画の制作サービスです)的な視点にも転換していくのですが、この作品のさらに!最も!最高に!素晴らしい点は、アウター向けの観光PRという役割を超えて、「インナーブランディング」「シビックプライドの醸成」「地域の伝統文化の継承と記録」「Uターン促進」など、多くの地域が抱える課題の、「どの用途にも効果を期待できる作り」になっており、故に地域にとってとても活用しやすい財産になっていることだと思います。

本作プロデューサーの下田翼さんが青森経済新聞の中で

「復興ソングとして始めたが、地元の盆踊り曲や下風呂ファンを増やすテーマソングにしていければ」 引用元:青森・風間浦のPR動画がグランプリ 伝承の「下風呂小唄」をテーマに

と語っていたことから本作は映像という枠組みを超えた地域貢献を果たしていく稀有な作品と思いましたので、今回グランプリに選ばせていただきました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

地域PR映像や観光映像に特化した我々の知見と体験を持って、選りすぐりの作品を選ばせていただきました。当サイトを運営しているエレファントストーンは地域のありのままの姿を映像にするサービス「フィルさと」のWebサイトを運営しております。
ガーフィーの日誌はもちろん、地域PR動画やインバウンド向けの映像などの制作実績もご紹介しているのでよかったら遊びにきてくださいね。

この記事を書いた人

比嘉賢多
エレファントストーンのプロデューサー

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