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プラグインなしでできるAfter Effectsで自然なフェイスレタッチ
こんにちは。エレファントストーン エディターの松本です!
わたしは今年の1月から中途社員としてエレファントストーンに入社したのですが、前職ではローカルTVやCMの編集アシスタントをしていました。業務の中でAfterEffectsを使ってモデルさんの肌のレタッチをする仕事をした経験があり、短尺の映像であれば、レタッチ専門のクリエイターに依頼しなくてもAfter Effectsで簡単にレタッチをすることができます。
今回はその方法やポイントをご紹介いたします!
また、エレファントストーンではこうした映像や編集技術にまつわる耳より情報をメルマガでも配信しています。お気軽にご登録ください!
レタッチ箇所を確認
今回はこちらの素材を使用してレタッチをしていきたいと思います。
まず、レタッチ箇所を確認していきます。
主に必要なレタッチ箇所は
①しわ(目元、ほうれい線)
②そばかす
③肌の湿疹、赤み(額のあたり)
です。
そばかすは完全に消すとモデルさんの良さがでないように感じるので、茶色の色味をおさえつつナチュラルな印象のレタッチに仕上げていこうと思います。
出典:https://elements.envato.com/beauty-woman-face-portrait-KSDQPVL
肌のベースマスクを作成する
まず、ベースを作成します。
この作業は、メイクで例えると下地を塗るような役割で、肌の全体的なトーンアップと、くすみやそばかす、しわを薄めることができます。
【作業内容】
1.「mask」という名前のコンポジションを作成し、白の平面と素材の映像を入れます。
2.白の平面をマスクで囲い、顔のマスクを作成していきます。
2-1.輪郭部分を囲う
2-2.素肌以外の部分は塗らないため、各パーツごとマスクを切って切り抜きます。(主に目、眉毛、口、鼻筋、鼻の穴など)
3.フレームずつ映像に合わせてマスクのキーフレームを調整していきます。
4.最後に白平面の下に黒平面を配置し、白黒の顔のマスクアニメーションが完成しました。(画像参照)
続いてこのマスクを使用して美肌の効果を作っていきます!
【作業内容】
1.まず「all」*という名前のコンポジションを作成します。(*このコンポジション内に全てのレタッチ効果をまとめていきます。)
2.「all」の中に元素材の映像と上述で作成した「mask」のコンポジションを入れます。
3.元素材の名称を「肌補正(ベース)」にリネームします。
4.「肌補正(ベース)」に下記エフェクトを適用します。
・ダスト&スクラッチ (目安 : しきい値→5)
・ブラー (目安 : ブラー→30)
5.「肌補正(ベース)」のレイヤーのトラックマットを「mask」レイヤーに選択し、ルミナンスキーに設定します。
6.最後に「肌補正(ベース)」の描画モードを比較(明)に設定します。
肌全体のトーンアップと、そばかすや口元のしわが少し軽減されました(下記画像参照)
Before
After
しわや肌の赤みなどを調整する
続いてベースでカバーしきれていないしわや赤みといった細かい部分の補正をしていきます。
この作業は、メイクで例えるとコンシーラーのような役割になります。気になるスポットをマスクで囲い、少しずつ調整していきます。
【作業内容】しわの場合
1.「all」のコンポジション内の「肌補正(ベース)」の上に元素材の映像を入れます。
2.上記で入れた元素材の名称を、修正する箇所の名前にリネームします。(例 : ほうれい線)
3.修正する箇所をマスクで囲い、5フレームずつ映像に合わせてマスクを調整してキーフレームを打っていきます。
4.エフェクト「ブラー」を適用し、値を調整していきます。(目安 : 10〜30くらい)
【作業内容】黒子や疾患などの場合(今回は頬の赤みをとっていきます) ※1〜3まではしわと同様の作業になります。
4.エフェクト「色を変更」を適用し、変更するカラーのスポイトで修正箇所の色味を抽出します。
5.表示を「カラー補正マスク」に設定し、「マッチングの許容度」「マッチングの柔軟度」の数値を微調整して修正したい箇所のみにカラーマスクが反映されるようにします。
6.カラーマスクが作成できたら、表示を「レイヤー補正」に戻し、色相・明度・彩度の数値を微調整していきます。(数値を大きく変えすぎると映像を動かした時に違和感が出てしまうため、ここは控えめに調整することがポイントになります)
※各パーツごとにレイヤーを分けて補正をしていきます。この調整をどれだけ行うかによってレタッチの質が変わってきます。
肌の質感を調整
最後に肌の質感を微調整します。これまでの工程でぼかしを加えたことにより、肌がマットな質感になってしまい、リアリティが感じづらくなってしまいました。最後の工程は、メイクで例えるとティッシュオフ。ぼかしすぎてのっぺりとした印象にならないよう、肌に質感を戻す作業になります。
まずは肌の質感のフィルターを作成します
【作業内容】
1.「texture」という名前のコンポジションを作成し、素材の映像(同じもの)を2つ入れます。
2.レイヤーが上になっている素材に下記エフェクトを適用します。
・「ブラー(ガウス)(ブラーの値は人物のサイズによって調整が必要です。寄りのカットだと10くらい、引きのカットだと5くらいが目安です)
・反転
4.エフェクトを適用したレイヤーの不透明度を50%にします。
5.最後にエフェクトを適用したレイヤーの描画モードを「リニアライト」に設定します。
続いて、他のレタッチの上に質感のフィルターを乗せていきます
【作業内容】
1.「all」のコンポジションの一番上に「texture」を入れます。
2.「texture」の上に元素材を入れます。
3.「texture」の描画モードを「リニアライト」に設定します。
4.「texture」レイヤーのトラックマットを「元素材」レイヤーに選択し、ルミナンスキーに設定します。
肌のぼかし具合が調整され、自然な質感を復元することができました。
完成
レタッチが完成しました。元素材と比べてみると肌の全体的なトーンアップ、しわやそばかす、赤みの軽減ができているように思います。
今回は調整しませんでしたが他にも、首のしわであったり歯の黄ばみ、頬や額のてかりなどもレタッチ箇所としてよくあがるポイントになります。
まとめ
ここまで、After Effectsを使ったレタッチ補正のやり方をご説明してきました。
弊社でも美容系の映像の編集やモデルを起用した映像のご依頼も増えており、人物をより魅力的に見せるレタッチ作業の必要性を感じることがあります。短い尺の映像や、動きが単調な映像などは、今回ご説明した方法で簡単に補正することができるのでぜひ試してみてください。
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