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エレベーター内も広告の時代。デジタルサイネージが日常を“侵食”する?

エレベーター内も広告の時代。デジタルサイネージが日常を“侵食”する?

とあるマンションのエレベーター内に動画モニターが設置されていた。 今やエレベーターに動画モニターがあることは珍しいことではないが、多くは乗っている乗客が上から見られる、防犯のためといったものだ。

だが、そのエレベーターのモニターには動画広告が流されていた。これは百貨店や公共機関の話ではない。一介の雑居ビルで……である。

デジタルサイネージの広がり

電車や駅の地下道の柱、タクシーの中、今ではいたるところに「動画」がある。

かつて、渋谷のスクランブル交差点には大きな街頭ビジョンがありそれが街の象徴でもあったが、今やそうしたモニターは渋谷の同交差点だけでも3つ。街には動画モニター、街頭ビジョンといったものがあふれている。

一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムによると、こうした屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するメディアを総称して 「デジタルサイネージ」と呼ぶ。

隙間時間を活用せよ!動画広告の今

実際にGoogleで「エレベーター デジタルサイネージ」と検索すると、いくつかの会社でエレベーター内のデジタルサイネージを表示するモニターを販売していることがわかる。

ヤマトサイネージのウェブサイトにはこんな記載があります。

一度に大勢の人への情報配信は不可能ですが、利用者にほぼ確実に見てもらえるというメリットがあります。リサーチを行い、ターゲットを絞った情報配信が有効です。

──ヤマトサイネージ>エレベーターやトイレへの活用事例

実際に、ほかにもゴルフ場、トイレの中など、我々の想像以上に動画モニターの設置されている場所は増えているようだ。

これらは「ながら」情報として頭の中に入ってくるメリットがある。エレベーターの中は電波も通りにくく、秒単位ではあるが隙間時間が生まれる。そこを埋めるのが動画なのかもしれない。

特化型の動画広告が時代のトレンドになる!?

また、アイティ・ニュースには「限られた地域(場所)のメディアへ。よりピンポイントを狙った情報発信が、これからの注目ポイントになるでしょう」と記載されており、エレベーター内の動画広告もその一環であるという。

もちろん、マンションのエレベーターであれば住民に向けたメッセージを流すこともできるし、そのマンションに住んでいる層へ向けたCMも打つことができる。

上述の通り、今はテレビからWeb、そしてリアル社会へとCMの配信先が広がりを見せている。しかし、そうした配信先は新聞社や大手企業のようなマスメディアばかりではない。決してアクセス数は多くないものの、ユーザー層が特化したコアなコンテンツを持つ場所への広告配信も一方で有用となっている。

そう考えると、マンションやゴルフ場というのは一つの生活圏としてターゲットを絞りやすい。マンションは家賃の相場からだいたい同じような収入層の寄り合いであることが多いうえに、同じ地域に住んでいるわけだから欲しい地域情報も同じになる。例えば、スーパーやレストランの情報は誰にも有用である。

ゴルフ場であればゴルフが好き、また年齢層もある程度の年齢の男性が多い、などターゲットを絞ることができるだろう。

今や、約1,487億円(2017年矢野経済研究所調査)と1,000億円市場に成長したデジタルサイネージ業界。これからも我々はより身近に動画を体験していく時代になるのだろう。

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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