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“アニメーションの神様”特集が、日本各地で開催中
©ふゅーじょんぷろだくと
ユーリー・ノルシュテイン監督をご存じだろうか?
ロシア・アニメーションの巨匠として高名な彼は、これまで国内外で30以上の映画賞を受賞し、手塚治虫・高畑功・宮崎駿監督をはじめ世界中のアーティストからの敬愛を集めている。
その作風は、セルロイドに緻密に書き込まれた切り絵を用いた唯一無二のもので、作品を発表するたびにアニメ界の常識を覆し続けてきた。
まさに生きる伝説であり巨匠中の巨匠──「アニメーションの神様」とまで称されるノルシュテイン監督の特集が、いま日本各地で開催されている。
撮影されて30余年──未完の大作の内幕に迫ったドキュメンタリー映画も上映中
そんな世界中のファン待望のノルシュテイン監督の新作『外套(がいとう)』は、小説家ゴーゴリ―の傑作を下敷きにした作品となっている。
現在、作品冒頭がYouTubeで無料公開されている『外套』。
ストーリーはこうだ。なけなしのお金で買った外套を盗まれ、失意のうちに亡くなった下級の役人アカーキー・アカーキエヴィッチが、なくした外套をもとめ幽霊になって夜な夜な街を徘徊する。
風采のあがらない人間の哀れな姿を描く物語だが、なんと本作、1981年から30年以上撮影されているものの未だに完成されていない。
そんな中、現在公開されている『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』は、その知られざる内幕に迫ったドキュメンタリー映画だ。
アニメーションの神様、ユーリー・ノルシュテインの深部に迫るドキュメンタリーがついに公開!制作開始から30年経った今もまだ完成に至っていない『外套』。世界が待望するこの作品はいつ完成するのか、なぜ『外套』なのか。未完の映像を織り交ぜながら、ノルシュテインが自身の心の内を語る。 pic.twitter.com/LYYntrrmt2
— 映画『ユーリー・ノルシュテイン 外套をつくる』 (@gaitou2019) 2019年1月21日
本作では、ノルシュテイン監督自身が「この30年……外套のことだけ考えてきた」とその胸中を赤裸々に吐露している。
制作現場の貴重な映像とともに、創作上の苦悩や彼独自の芸術観についても血の通った言葉で語られていて、アニメーションにとどまらず、もの作りに携わっている人やクリエイターを志す人ならば、観ていて必ずやグッとくるものがあるはず!
どこに行けば観れる?
ノルシュテイン監督がこれまで創作したアニメは、CMや未完のものも含めて10作品。
寡作の芸術家して知られるが、発表した作品はそのどれもが輝かしい傑作ばかりだ。
ユジク阿佐ヶ谷をはじめとする『ユーリー・シュタイン監督特集』では、「世界アニメーション史上最も素晴らしい作品」とも称される『話の話』ほか代表作6作品をデジタルリマスター(2K修復版)された高画質で楽しむことができるようになっている。
主要映画館の上映スケジュールは下記の通り。
■ユジク阿佐ヶ谷
『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』(ドキュメンタリー) 5月17(金)まで
『ユーリー・シュタイン監督特集』(アニメ傑作選) 5月11日(土)〜5月17日(金)
■宇都宮ヒカリ座
『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』(ドキュメンタリー) 8月17日(土)~8月30日(金)
■京都シネマ
『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』(ドキュメンタリー) 6月1日(土)~6月14日(金)
■シネ・リーブル梅田
『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』(ドキュメンタリー) 5月24日(金)~
■福岡KBCシネマ
『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』(ドキュメンタリー) 6月18日(火)~
『ユーリー・シュタイン監督特集』(アニメ傑作選) 6月18日(火)~
そのほか各地の映画館でも順次公開の予定なので、詳しくは公式ホームページを参考にしてほしい。