SPECIAL
シカタとエレファントストーン
ブランディングを軸に考える両社のこれから
本記事はお客様のブランディングに「デザイン」「映像」の会社が携わる意義【前編】および【中編】に続く最終回です。
お客様のブランディングに「デザイン」「映像」の会社が携わる意義【後編】
■=シカタ
■=エレファントストーン
ファシリテーター 西牟田
実はエレファントストーンもちょうど自社のブランディングに取り組んでいるところです。弊社がBtoB企業かつ組織づくりの段階にあるからこそ、ブランディングに悩まれているお客様の想いを汲み取って理解しやすい面はあるかもしれません。
永田「以前、もともとは大企業へのOEM供給だけを行なっていた工場が、生き残りを掛けて小売事業を始めたところ、ここ数年で急成長したという会社の社長の講演会に行ったんです。その時のお話が素敵でしたね。
聴講されていたとある町工場の方が、その社長に『小売をやっていればお客様の声を直接聞けるが、我々町工場の人間は聞くことが出来ない。どうすれば従業員のモチベーションや、仕事の意義を伝えられるか分からない。どうしたらいいでしょうか?』と相談していました。
それに対して登壇されていた社長が迷わず言ったんです。『例えばですが、町工場で作られているのはネジやナットや、何に使うか分からないパーツだったりするかもしれない。だけれどもそのパーツがPCや車、もしかしたらロケットの一部に使われているかもしれない。
そのパーツがあることで世の中に必要な製品が出来上がっているかもしれない。そんな素晴らしい仕事に関われていることを、経営者が気付かせてあげることが重要だと思います。』
きっとそれが、言葉だけでは伝わり難いことであっても、イメージを共有するために映像やデザインを使うことで伝えることができるのだと思います」
嶺「言語化しただけで終わらずに、それを伝え続けること、浸透させることが大切ですよね。それが簡単なことではない、というのは実感しています。
弊社もシカタさんがご提供されているような言葉を集約していく工程を踏みながら、今年の春まで約6カ月かけて行動指針を構築したんですよ。
目に見えるような分かりやすい変化があったわけではありませんが、社内の共通言語として明確な言葉が存在すると行動への意識が変わります。その変化は感じています。ただ、これからこの言葉を言い続けることにこそ意味があるんでしょうね」
鶴目「構築する過程も大事ですよね。行動指針はマネジャー5名が中心となって考えたのですが、初回のセッションではみんな『う〜〜ん……』って唸っているような状況だったのですよ。これ大丈夫なのかな?!って不安でした。でも、セッションを積み重ねていくとだんだんと見えてくる。こうやって共通言語ができていくんだなと実感しました。
この言葉が社内に浸透していくように、まずはマネージャーが意識的に使おうとしていますね」
鶴目「行動指針以外でも、言葉の捉え方が社内で共通の認識があるといいのかなって思っています。例えば『クリエイター』という言葉。クリエイターやクリエイティブという言葉が使われやすい環境だからこそ、僕らはその捉え方にこだわりがあるんです。映像を制作する社員だけがクリエイターと語られがちですが、弊社は『社員全員がクリエイター』。
お客様とのやり取りや進行管理をする『プロデューサー』、組織づくりやマーケティングを担う『経営戦略室』という部署があるんですが、映像作りはしないもののみんなクリエイティブな仕事をしているんですよ。
実際西牟田はプロデューサーというポジションなんですが、お客様から依頼を受けたら、目的や予算感を踏まえて使用する機材や撮影対象を考え、見積もりを提案するんですね。
社内のチーム編成も彼女次第。お客様の業種や撮影内容、相性などを考慮して『この人に任せよう』と決めるんです。ものすごくクリエイティブな仕事です」
嶺「現在、経営戦略室が中心となって進行している組織づくりも同様です。戦略的に評価制度を導入したり、今だと社内メンバーを巻き込んでMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を構築していく。それもクリエイティブだと思うんですよね」
北本「すごくいいですね」
ファシリテーター 西牟田
最後に、シカタさん、そして弊社エレファントストーンの今後についてもお話ができればと思います。
鶴目「シカタさんのお話にもありましたが、映像を納品した後のお客様のフォロー、サポートというのは弊社も課題としているところです。お客様により満足していただける質の高い映像を作ることと、映像を納品した先の運用や効果測定まできちんと対応していくことの両軸が必要だと考えていますね。
僕は社内でよく『”映像制作”っていう仕事はなくなっていく』という話をしています。スマホ1台で高画質な画を撮影できたり、フリーのソフトやアプリで編集ができたり、今やプロに限らず誰もが動画・映像を作ることができる時代。
そうした流れの中で、僕たちは当然スキルや技術の面で上回っていかなければなりませんし、さらに映像や映像制作以外の部分でお客様に提供できる価値を高めていく必要があります。それが、“ロジカルシンキング”や“ブランディング”だと捉えていますね」
嶺「特定のジャンル専門の映像制作会社さんがそのジャンルだけでは経営が厳しくなっていたり、大手CM制作会社さんでも案件の予算が下がってきていたり。あくまでも僕が直接聞いたレベルの話ですが、少なからずそういった現状がある。
じゃあ僕らはどういう将来像を目指していくのか、その方向性を定めていかなければならないなって思います。
よく鶴目やマネージャーと弊社の今後について話をするのですが、これまでと同じように全てのお客様に対してサービスを提供していくのか、それとも特定のお客様に限定していくのか、という議題もあります」
北本「弊社は基本的にお客様を選ぶことはしていないですね。例えば最初から『とにかくかっこいいデザインで○○を制作してほしい』というオーダーがきたとしても、まずは一回受け止めます。
そしてそういったケースも含めてどのようなお客様に対しても、僕らが考えているブランディングデザインの重要性をご理解いただきながら、話を進めていきます」
嶺「そうなんですね。『僕たちはこういう会社である』という提示の仕方を模索し続けることがやっぱり大事なんでしょうね」
永田「予算感も大事ですが、そこで折り合いをつけることができれば、案件の内容に関係なく提案し続けていいのではないかと思います。
嶺「シカタさんは今後のビジョンとして、ブランディングデザインの上流から下流まで各スペシャリストを増やしていこうとされているのでしょうか」
北本「はい、そうですね。お客様に対して提供できるサービスの幅を広く、そして質を高めるために、組織を拡大していきたいと考えています。
採用サイトには企業理念をきちんと記載しているのですが、その理念に共感しつつも、僕らにはない強みを持っているスペシャリストを仲間に迎えたいですね。現在一緒に働いている4名はまさにそういうメンバーですし、理念に共感してもらった方にご入社いただくのがお互いにとってプラスになると思います。
ゆくゆくはお客様に映像のご提案もしたいなと思っているんですよ。静止画よりも情報が多く、訴求力も高い。まだ社内ではそこまで手が回らない状況なので、そうした依頼を受けましたらエレファントストーンさんにご相談したいと考えています」
鶴目「ありがとうございます。ぜひ案件でご一緒したいですね!
弊社も映像制作だけではなく、Webサイトやロゴ制作などの相談も併せていただくことがあります。そういったときに、お互いの強みを活かしてコラボレーションできたら素晴らしいなと思います」
前編:「デザイン」から「ブランドづくり」へ——シカタ株式会社に聞いた、創業の経緯『お客様の価値を最大化する』
中編:ブランディングってそもそも何?「デザイン」と「映像」の会社がお客様に提供できる価値
今回トークセッションをご一緒させていただいたシカタ株式会社様のWebサイトはこちらです。エレファントストーンは今後もクリエイティブにかかわるさまざまな企業のみなさまとトークセッションを行っていきたいと考えております。ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。
また、ブランディング映像はもちろん、それ以外にもさまざまな映像制作にまつわるご相談を無料で承っております。「こんなにちょっとしたことを聞いても大丈夫かなぁ……」大丈夫です! こちらのフォームよりお気軽にご相談ください。
映像制作のエレファントストーンが運営する本メディアZOORELは、映像やクリエイティブにまつわるトレンドやノウハウを発信しています。最新情報は以下のメールマガジンにて更新中。お気軽にご登録ください!