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ロケツーリズムという考え方

ロケツーリズムという考え方

優れた映像作品ではたまに実在の地域が登場する作品が登場します。例えば新海誠監督の映画『天気の子』やドラマ『傷だらけの天使』では代々木の同じ廃ビルが大事な舞台となりました。

こうした実在の場所は後にファンが訪れて記念写真をとったり、旅行先に選ぶといった行動が確認されています。アニメ業界では「聖地巡礼」「巡礼」などと呼びますが、正式名称があります。「ロケツーリズム」です。

ロケツーリズムとは?

ロケツーリズムはすでに国をあげてインバウンド需要をも狙った政策になっています。観光庁のホームページでは政策のコーナーにロケツーリズムが記載され以下のように書かれています。

映画・ドラマのロケ地を訪ね、風景と食を堪能し、人々の“おもてなし”に触れ、 その地域のファンになることであり、朝の連続テレビ小説や大河ドラマの例を見ても分かるように、そのインパクトも大きいことから、ロケ地となった地域での持続的な観光振興の取組につながる観光資源として有望である。

ーー観光庁より

簡単にいえば、地方が映像作品の企画を誘致することで、作品の制作陣が長期滞在するという直接的な売り上げ効果、作品完成後はその作品を通してファンを増やし、そのファンが“巡礼”を果たすことで観光誘致へ結び付けようという動きです。映画、ドラマと観光庁のホームページではうたわれていますが、アニメ、漫画、それ以外の映像作品などでも成功事例は確認されています。

「ロケ地巡り」「フィルムツーリズム」「アニメツーリズム」という名前で呼ばれることもあります。

ロケツーリズムの効果

改めてここまでをまとめてみましょう。

1.ファンによる聖地巡礼という名の観光客の増加
2.撮影スタッフの滞在による売り上げアップ、SNSを通したPR効果
3.インバウンド需要

が見込めるわけです。

ロケツーリズムの成功事例

では、実際にどのような成功事例があるのでしょうか? 詳しい成功事例を紹介しましょう。

長野県千曲市

なんと市長が船頭役となりロケを誘致し「2019年度ロケツーリズムアワード」地域大賞を受賞したのが千曲市です。「信州ちくまロケ杏力隊」を立ち上げ官民一体で撮影をサポート、わずか2年で数々の作品を誘致することに成功しました。

その代表例が吉本興業による『透子のセカイ』(主演:吉本美憂)です。は映画を通して地元の活性化を目指すプロジェクト「地域発信型映画」として作成された。映画であるがミュージカル的な要素も加わっています。

さらに『4月の君、スピカ。』『ファンシー』『フィルムに宿る魂』などのロケにも使われました。

面白いのが作品の中で地域発のオリジナルグルメ「ちくまあんずコッペを開発したことです。作品で使われたばかりか、スタッフへの差し入れなどにも使ったことで出演した俳優などがSNSでPRをしてくれました。このことが自然な広がりを見せ、千曲市にいったら「ちくまあんずコッペを食べようという動きにつながっています。

岐阜県飛騨市

先にも登場した新海誠監督の大ヒット作『君の名は。』では糸守町という架空の土地が登場します。このモデルが岐阜県飛騨市古川町だというので一気に観光客が増加、タイアッププロモーションも功を奏し100万人を超える観光客が押し寄せました。2018年の「ロケツーリズムアワード」で最優秀賞にも輝いています。

すでに飛騨市「君の名は。」応援委員会というSNSアカウントもありロケ地をめぐるツアー例を紹介するなど市をあげた動きも見られます。

『君の名は。』では古川町だけでなく長野県諏訪市や飛騨市のほかの町、周辺の市も舞台になっておりそちらも合わせて巡るファンも多いようです。

ちなみに糸守湖にあたる湖はないそうで、それがまたミステリーというか「あそこがそうだったのではないか?」など考察、憶測を生んでいるようです。

佐賀県

ロケツーリズムという言葉をGoogleに入れると、予測変換にも含まれるのが「ロケツーリズム 佐賀」というキーワードです。そう、佐賀にタイ人がたくさん訪れているのです。2013年に370人だったタイ人観光客が今や10倍以上に膨れ上がっています。

その立役者は『佐賀FC(フィルムコミッション)』です。2005年に設立され、映像作品の誘致を狙いタイ映画『タイムライン』の舞台となることを射止めました。2014年に映画が公開されると大ヒットを記録、ロケ地となった佐賀へファンが押し寄せる事態となったのです。

ヒットしたことで胡坐をかかなかったのが佐賀の素晴らしいところです。

AJ THAI Vol.3〜ADVENTURE SAGA〜2014.2.10よりバンコクメトロなどで配布開始!日本(佐賀県)ロケが物語の重要な場面となったタイ映画Timeline จดหมาย ความทรงจำのBehind the…

Adventure Japanさんの投稿 2014年2月9日日曜日

 

タイの地下鉄で配布されている『AJ THAI』などタイのメディアで佐賀の紹介がなされた後も努力を怠りません。

地域の住民がタイ語の案内表記を作ったり、海外映画の作品誘致に動いたり佐賀を積極的にアピールし続けたのです。すでにラインTVドラマ『STAY Saga~わたしが恋した佐賀~』など他作品も公開されています。

当サイトを運営しているエレファントストーンは、地域のありのままの”姿”を映像にするサービスWebサイト『フィルさと』を運営しています。地方PR動画やインバウンド向けの映像などの制作実績もご紹介しているので、よかったらのぞいてみてくださいね。

また、「まだイメージが湧いていないけれど観光客増加のために映像を作ってみたい」「映像を作るとしたらいくらくらいかかるのかな?」など、少しでも制作に興味をもったという方はお気軽にご相談ください! 皆さまからのご連絡をお待ちしております。


 

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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