HOW TO・TIPS
動画のファイル形式の種類と特徴
編集した動画を書き出す際には「MP4」「MOV」といった動画ファイル形式を選択する必要があります。しかし、各種ファイル形式の違いが分からないと、ご自身の用途に合ったファイル形式を選ぶ際に迷ってしまうのではないのでしょうか。
用途に合ったファイル形式で書き出さないと、場合によってはスマホやパソコンといったデバイス上で再生できなかったり、SNSに投稿できなかったりしてしまいます。そこで本記事では、弊社エレファントストーンのクリエイターの使用法を元に動画のファイル形式の特徴や使用シーンをご紹介していきます。
動画における「ファイル形式」とは
動画は映像ファイルと音声ファイルで成り立っており、これらを一つにまとめたものを「ファイル形式」もしくは「コンテナ」と呼びます。ファイル形式には「MP4」や「AVI」をはじめ多数の種類があります。用途に応じてファイル形式を使い分けるためには、動画を管理する上で押さえておくべき以下の3つの要素があります。
- コンテナ:映像、音声を一つにまとめたもの。動画における「ファイル形式」はコンテナを指す。(例)「MP4」「AVI」など
- 拡張子:ファイルの末尾につけられる文字列。コンテナの識別ができる。(例)「.mp4」「.avi」など
- コーデック:動画ファイルを圧縮するための技術。(例)「H.264」「H.265」など
次項にて、動画を圧縮する技術「コーデック」について解説します。
動画を圧縮する技術「コーデック」とは
コーデックとは動画ファイルを圧縮するための技術のことです。一般的に動画は1秒間に30枚の静止画データで成り立っているため、圧縮をかけて書き出さないと膨大なファイルサイズになってしまいます。そのため、動画を書き出す際には動画ファイルに応じたコーデックを選択する必要があります。
コーデックには複数の種類があり、選択したコーデックによって画質や圧縮時の負荷、再生できる再生プレイヤーが変わってきます。さらに、書き出したいコンテナに応じて使用できるコーデックも異なります。下記では、2022年現在において主流なコーデック「H.264」「H.265」をご紹介します。
H.264
最もメジャーなコーデック形式で、高画質での書き出しが可能です。2003年に国際規格となり、多くの動画編集ソフトや再生プレイヤーで使用することができ、汎用性が高いのが特徴。YouTubeへのアップロードにおいても、公式情報として「H.264」での書き出しを推奨しています。画質を4K以上で書き出さない限りは、基本的にH.264で書き出すことをおすすめします。
H.265
2013年に国際規格となり、AppleやAmazon、Netflixなども使用している、まさに「次世代の規格」とも言えるコーデックです。圧縮率はH.264の2倍のため、同画質での書き出しを行うとH.264で書き出したデータの半分のファイルサイズになる優れもの。しかし、動画編集ソフトや再生プレイヤーがH.265に対応していないものが多く、2022年現在、使用シーンが限られてしまうのが現状です。大きくファイルサイズを減らすことができるため、4K以上の画質で書き出したい場合にはおすすめなコーデックです。
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以下は、本記事でご紹介するコンテナと使用できるコーデックを一覧化したものです。
既に書き出したいファイル形式が決まっている場合、使用できるコーデックも確認しておくと良いでしょう。
よく使われている動画のファイル形式
本項では、2022年現在においてよく使われている動画ファイル形式(コンテナ)の特徴や再生環境、おすすめの使用シーンをご紹介します。再生する媒体に合ったファイル形式を見つける参考にしてください。
MP4(.mp4)
高画質、高圧縮率で最も主流なファイル形式です。書き出すファイル形式に迷ったときはMP4にしておくことをおすすめします。MP4はApple社が開発したファイル形式で、圧縮率が高いためデータサイズが小さくても高画質な動画が楽しめます。あらゆる機器、アプリでの再生が可能で、Mac/WindowsどちらのOSにも対応と汎用性の高さもメリット。また、YouTubeやInstagram、Facebook、TwitterといったSNSでサポートされているファイル形式のため、書き出した動画をSNSに投稿する場合もMP4を選んでおくと良いでしょう。
MOV(.mov)
MP4同様、Apple社が開発したファイル形式です。高画質での再生ができるため大型のテレビなどで再生する場合におすすめです。一方で再生プレイヤー「QuickTime Player」が搭載されていないWindows環境下においては再生できないため、MOVファイルをそのままWindowsパソコンで再生する可能性がある場合は留意しましょう。MacOS上との相性が良いため、書き出した動画データを用いて動画編集を行う場合、MOVで書き出しておくと良いでしょう。
WMV(.wmv)
WMVはWindows Media Videoの略で、Windows標準のファイル形式です。MP4ファイルよりも画質を落とすことなくファイルサイズを小さくでき、デバイス上の負荷を減らすことができるのがメリットです。さらに、デジタル著作権管理(DRM)と呼ばれるコピーガード機能が付与されているため、著作物を配信する動画配信サービスでも採用されています。使用シーンとしては、ネットワークや電子メール経由での動画共有が挙げられます。
AVI(.avi)
Microsoft社が開発したファイル形式。1992年以前に開発されており、知名度も高いです。最高画質での書き出しを行う場合にはおすすめですが、MP4に比べると約3倍ほどデータサイズが大きくなってしまうのが難点。しかし、多くのコーデックが使用でき、再生環境も豊富なため汎用性が高いです。Windows環境下において、動画の再生・編集を行う場合にはAVIでの書き出しを行うと良いでしょう。
WebM(.webm)
Google社が開発・公開しているファイル形式です。ウェブ上で取り扱いやすいようファイルサイズが軽量、それでいて高画質なのがメリットです。Google Chromeをはじめ、HTML5環境のブラウザ上で再生ができます。一方、ウェブ以外での視聴環境には不向きで、再生できないメディアプレイヤーが多いのは注意したいところ。書き出した動画を動画共有サイトをはじめ、オンライン上に掲載するのであれば、WebMでの書き出しをおすすめします。
FLV(.flv)
Adobe社が開発した動画ファイル形式。ファイルサイズが非常に軽いのが特徴で、プレイヤーさえあれば再生できるため一時期はウェブサイトの多くで採用されていました。しかし、ブラウザの標準機能で再生できるHTML5環境が台頭してからは使用シーンは少なくなってしまい、2020年12月にAdobe社がFlash Playerのサポートを終了を発表しています。2022年現在においては、FLVでの書き出しのメリットは少ないのが実情です。
MPEG2(.mpg)
MPEG-2は大きく「MPEG2-PS」と「MPEG2-TS」の2種類に分けられます。「MPEG2-PS」は主にDVDやビデオといった蓄積メディアに使用されるファイル形式で、画質もDVD相当です。家庭用DVDを制作する際には、MPEG2-PSでの書き出しを検討しましょう。
一方、「MPEG2-TS」は世界中の地上波放送で使用されているファイル形式で、テレビ番組ほどの画質となり、ファイルサイズも大きいのが特徴です。MPEG2-TSは基本的にテレビ番組を制作することを仕事としていない限り、使用することはないでしょう。
ASF(.asf)
「AVI」の後継としてマイクロソフト社が開発。「ストリーミング再生」と呼ばれる、ダウンロードすることなくインターネット上を通じた動画配信に特化したファイル形式です。映像、音声に限らず、メタデータ・画像・テキスト等のメディアデータも入れ込むことができるのがメリットです。ただし、Windows環境下でも再生できるプレイヤーは異なるため、複数のメディアデータを入れ込みたいケースを除いて、使用シーンは多くありません。弊社エレファントストーンでもお客様から指定があった場合のみ、ASFで書き出ししています。
VOB(.vob)
Video Object Fileの略で、DVDでのみ使われている動画形式です。DVDの再生が可能なメディアプレイヤーでの再生ができ、目次の作成やチャプター選択で好きなシーンから再生できるといったメリットがあります。書き出した動画データをDVDに記録したい場合には、VOBでの書き出しを検討しましょう。なお、パソコン上でVOBの動画を確認したい場合、ファイル形式の変換ツールを用いてMP4など任意のファイルへ変換することで視聴できます。
MKV(.mkv)
1つのファイルの中に音声と映像の他に、字幕データを格納できる動画ファイル形式です。MP4ファイルよりサイズが大きい分、高画質での動画再生を可能にし、HD(ハイビジョン)動画の書き出しにも使われます。複数の言語での字幕データを入れられたり、再生中の字幕オンオフ選択ができたり、一つの動画に多言語字幕を入れたい場合におすすめのファイル形式です。
動画のファイル形式に関するQ&A
動画のファイル形式にまつわる、よくあるQ&Aを整理しました。
Q1:できるだけ解像度の高いファイル形式で保存したい場合は?
再生するOSによって異なり、Macの場合は「MOV」、Windowsは「AVI」を選択するのがおすすめです。どちらも、低圧縮のファイル形式のため、高画質な動画を書き出せます。
Q2:YouTubeへの投稿に適したファイル形式は?
公式サイトにもあるように、YouTube でサポートされているファイル形式は多数ありますが、おすすめは「MP4」です。圧縮率に優れた規格でファイルサイズが小さく、さらに高画質を維持して投稿ができます。
Q3:自社サイトで動画を配信したい場合は?
動画を直接埋め込む場合は「MP4」や「WebM」、「FLV」といった汎用性が高く、ファイルサイズも小さいファイル形式がおすすめです。低圧縮で重いファイル形式ですとユーザビリティが落ち、サイトの表示速度にも影響が出てしまう恐れがあります。
Q4:動画ファイル形式を変換する方法は?
「Convertio」というサイトで、任意のファイル形式への変換が可能です。オンライン上で完結するためソフトのダウンロードが不要、さらにログイン不要と使い勝手の良さも利点。プルダウンメニューの「ビデオ」から、任意のファイル形式を指定し、該当動画ファイルをアップロードすれば変換できます。対応ファイル形式は30以上なので、ファイル形式の変換はこのサイトがあれば事足りるといっても過言ではありません。
Q5:スマートフォンに取り込んで再生・編集したい場合にはどのファイル形式が良い?
AndroidとiPhoneでは再生できる動画ファイル形式が異なります。iPhoneの場合は「MP4」「MOV」、Androidの場合は「MP4」「AVI」がおすすめです。どちらの場合にも、汎用性の高い「MP4」で取り込んでおくことで、スマートフォン端末上での再生はもちろん、編集アプリへの取り込みもスムーズに行えることでしょう。
最後に
動画における各ファイル形式の特徴や、ファイル形式にまつわるよくある疑問と解決策をご紹介しました。最後に本記事でご紹介した各ファイル形式の特徴をまとめました。
- MP4:高画質、高圧縮率で最も主流なファイル形式。迷った時におすすめ。
- MOV:高画質で書き出したい、Apple製品で動画編集や再生する場合におすすめ。
- WMV:Windows環境下ではメジャー。同じ画質でMP4より軽いファイルサイズを実現。
- AVI:Windows環境下で、高画質に書き出す場合におすすめ。ただし、MP4の約3倍のファイルサイズになるのが難点。
- WebM:ウェブ上での視聴を見越したファイル形式。HTML5環境のブラウザで再生したい場合におすすめ。
- FLV:ファイルサイズが圧倒的に軽く、動画共有プラットフォームで採用されている。
- MPEG2-PS:家庭用DVDを制作する際におすすめ。
- MPEG2-TS:世界中の地上波放送で使用されているファイル形式。
- ASF:「AVI」の後継。メタデータ・画像・テキスト等のデータも格納可能。
- VOB:家庭用DVDでのみ使われている動画形式。目次の作成やチャプター選択といった機能が使用できる。
- MKV:字幕データも格納できる。多言語字幕を入れたい動画での使用がおすすめ。
上記やQ&Aの内容を元に、ご自身の用途に合ったファイル形式が見つかっていれば嬉しいです。
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