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刺さる映像をつくるための「インサイト」の考え方

刺さる映像をつくるための「インサイト」の考え方

こんにちは!エレファントストーンのマーケター小田嶋です。

皆さんは“インサイト”という言葉をご存知でしょうか?

私はエレファントストーンでマーケターとして働き始めてから初めてこの言葉を知りました。この“インサイト”とはユーザー視点で考える上で重要であり、映像制作においても必要不可欠な要素です。

本記事では、そんなインサイトの意味とは?なぜ映像制作において必要なのか?を皆さんにお伝えできればと思います。

映像コンテンツにとっての「インサイト」は「ユーザーが本当に見たい(知りたい)情報」

インサイトって何?

インサイトとはマーケティング用語で「消費者(顧客)の気持ちや行動を洞察し、それに必要なもの、ことなどを発見すること」を意味します。つまり、消費者(顧客)の思考をよく理解し、本当に知りたいことってなんだろう?を深掘りする作業と言えます。(参考

なぜ映像にインサイトがいるの?

近年、ネット環境やスマホの普及、さらにはYouTubeやSNSの流行により「いつでも、どこでも、沢山の情報(映像)を見れる」便利な時代となりました。しかし、便利になった反面で消費者(顧客)の情報過多による疲弊・拒絶が起こり始めています。

画像参照:https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1820145116#abstract-2

溢れかえった情報の山のなかで、顧客に拒絶されず、輝ける映像をつくるために必要な観点は「見せたい映像」ではなく「見たくなる映像」をつくる視点を持つことです。

そして、「見たくなる映像」をつくるためにはユーザー(顧客)が本当に知りたいことは何か?の仮説を立て、発見していく必要があります。だからこそ、映像制作においてインサイトが必要不可欠な要素なのです。

インサイトを理解するために必要な5W1H

消費者(顧客)の気持ちや行動を理解するのに必要不可欠なフレームワークが5W1Hです。

「Who:誰に」 = ターゲットはどんな人物か?
「When:いつ」 = いつその情報や商品を求めるか?
「Why:なぜ」 = ユーザーはなぜそれを知りたいのか?
「What:何を」= 何を訴求したら興味をもつか?
「Where:どこで」= メディアなどどこでユーザーと接触するか?
「How:どのように」= そのメディアに適した配信手法は何か?

画像参照:https://blog.hubspot.jp/marketing/marketing-glossary-5w1h

中でもWho(誰に)を起点に仮説を立てることが肝となり、まず「Who:誰に」を明確する作業に時間をかけることで、あとの項目の仮説がより強固になります。

また、「Who:誰に」届けたい映像なのかをより深く理解するためには、映像をつくりたいと考えているクライアントとの認識すり合わせもとても重要になります。

そのためエレファントストーンでは、初回打ち合わせ段階からマーケターやディレクターが同席し、マーケティング視点・クリエイティブ視点など多角的にインサイトの分析を行うパターンが多いです。

映像を制作するにもインサイトって必要なの?

改めて、インサイトとは「消費者の気持ちや行動を洞察し、それに必要なもの、ことなどを発見すること」です。映像を制作する場合もこれは重要です。なぜなら、映像の視聴者(=消費者)には必ず“その情報が必要な理由”が存在するためです。

例えば、新たにITシステムの導入を検討している視聴者に向けて映像を制作するとします。その視聴者はなぜITシステムの導入を検討し、なぜ映像を視聴するのでしょうか?分解してみます。

新しいITシステムの導入を検討している
→ なぜなら、業務効率を上げたいから
→ なぜなら、上層部からそのように指示があり情報収集しているから
→ なぜなら、上層部はあまりシステム関係には詳しくないから
→ なぜなら、ITシステムは複雑でわかりにくく、情報も少ないから

こんな風に分解できそうです。この場合、視聴者は潜在意識として「もっと分かりやすいサービス紹介をしてほしい。上申しやすい情報をもっと公開してほしい」という考えを持っていると考えられます。

そのため、この視聴者にサービスを売り込むのであれば、ただサービスの良さや費用感を伝えるだけでなく「導入した時のイメージが社内全員に分かりやすく伝わるサービス紹介動画」が必要です。

このようにインサイトを読み解くことで、視聴者が本当に求めている情報を伝えることができるため、インサイトは映像を制作する際に考慮すべき要素となります。

インサイトを入れることで効果を発揮した映像事例

PIXTA様_出張撮影サービス「fotowa」ブランディング映像

本映像は、家族・子ども向け出張撮影プラットフォーム「fotowa」のブランディングムービ一です。あらゆるご家族に寄り添うというfotowaが大切にしている価値観への共感を生み、サービスに興味を持ってもらうことを目的に制作しました。

この映像の制作にあたり、fotowaのターゲットが「スタジオ撮影ではなく出張撮影サービスを検討する理由は何か?」「新生児の写真を残したいという思いは何か?」というインサイトを以下の通り深掘りしました。

インサイト① なぜ出張撮影サービスを選ぶのか

家族写真や子どもの写真を思い出に残したいというインサイトは昔から変わらないものの、「写真を撮る」という行動がスマホの普及により「より手軽で、どこでも取れるもの」に変化。

さらにInstagramなどでのインスタ映えの流行に伴い「より手軽で、どこでも撮れて、+より良い写真」というニーズに変動。近年はどこでも誰でも写真を撮れるからこそ、「自然体の良い写真を残したい」という欲求に変化している。

インサイト② 新生児の写真を残したいインサイト

子どもが成長する姿はもちろん、「その時、その一瞬しか見られない姿や表情」を「いつか子どもが大きくなったときに一緒に見返せるように」という想いがある。そして、出張撮影だからこその「子どもと一緒に写っている写真」を残したい。

これらを踏まえて、fotowaが「かけがえのないこの瞬間を写真に残したい」「こんなにも愛されていることをいつかあなたに感じてほしい」という気持ちに寄り添うサービスであることを伝えられるブランディングムービーとすることを決定しました。実際に制作した映像がこちらです。

新生児を育てるお母さんへYouTube動画広告としても配信した結果、視聴率57%(業界平均:20-50%)完全視聴率36%(業界平均:20-30%)を記録。1分55秒という長尺の映像ながら最後まで動画を視聴したユーザーが多く、映像を通じてfotowaに魅力を感じてもらうことに繋がっています。

インサイトを活かして効果を発揮した本映像について、その制作をお客様と振り返った対談記事も公開中。ぜひあわせてご覧ください!

【お客様対談】業界平均を大きく上回る視聴維持率を達成。ブランディング映像成功の要因は、両社の目線の一致にあった

まとめ

インサイト(「顧客が本当に求めている情報や心理を知ること」)は効率的に物を売る・サービスを売るために効果的なだけでなく、企業のブランディングにも寄与します。

エレファントストーンではそうした背景から、何かを誰かに伝える(届ける)という役割を持つ映像において、顧客インサイトは必要不可欠な要素だと考えています。だからこそ、映像の初回打ち合わせの段階から社内のマーケターが同席してインサイトを分析する機会を多く設けているのです。

もし、映像制作を検討しているけれど「誰に届ける映像かが定まっておらず困っている」という場合は特に、我々マーケターがターゲットの設定からお手伝いさせていただきますので、お気軽にご相談ください!


 

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この記事を書いた人

小田嶋伶奈
エレファントストーンのマーケター

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