MARKETING
企業CMにも採用
VR2.0時代のVR活用法
先日、VRの歴史について紹介した。VRといえばそれでも「ヘッドマウントディスプレイをしてその中で臨場感のある“飛び出す”動画を楽しめる」と思っている人がほとんどだろう。筆者もその一人であった。
現在はVRを使ったさまざまな取り組みが行われている。こうした新しいエンターテインメントは通常YouTuberをはじめとしたクリエイターが注目をするはずだが、早くも企業のPR動画案件として活用されていることが非常に興味深い。
今回はVR × 企業PRの活用事例を紹介しよう。
ギャツビー お化け屋敷 5D 戦慄爽快 史上最恐、ニオイケア体験。
5月に発表され抽選で100名に配られたのがデオドラントスプレーのギャツビーがホラーとVRを掛け合わせたコンテンツ「ギャツビー お化け屋敷 5D 戦慄爽快 史上最恐、ニオイケア体験。」だ。
現在はYouTubeも特設サイトも非公開になっているが、概要はこうだ。
2人1組で体験可能。1人は体験者(動画を視聴する人)、もう1人は協力者となる。体験者がゴーグルを使いVRでホラー動画を見ている間、協力者は協力者用動画の指示を元に、「ギャツビー」の製品を体験者に使用する。これにより、体験者は動画のストーリーを五感で体感でき、“爽快ホラー”感を得ることができる。
ストーリーも本格的だ。「とある廃墟の洋館に肝試しにやってきたあなた(体験者)と彼女役の山田杏奈さん。山田さんが懐中電灯をつけると、そこには落ち武者のような乱れ髪を水で濡らした青い目、鼻、口の不気味なピエロが現れ、2人に襲いかかります。落ち武者ピエロと童ピエロが待ち構え、逃げ場のない恐怖の中、なんとか洋館からの脱出を試みますが、ついに山田さんの手を放してしまうあなた。最後には衝撃の展開が!?」
※本コンテンツのVR動画においては、体験者はカップルの彼氏役となり、彼氏の目線で物語が進行します。
ギャツビーのVRホラーが怖すぎる。。。夏は近い。。。https://t.co/V0w4sOFE1I#PR #史上最恐ニオイケア体験 pic.twitter.com/imsJe2eyPH
— SEIKIN セイキン (@SeikinTV) May 30, 2019
ようは、洋館からの脱出ホラーゲーム体験となっており、ギャツビーは装備品といったところだろうか。VR動画を見るというだけでとどまっているところを、商品を使ってゴーストバスターズよろしくアトラクション化してしまうという視点は最高にクールだ。
あのGoogleも? ファッションの歴史を360度動画で再現
『YouTube』を運営するGoogleも特設サイトにて360度VR動画にチャレンジしている。
『We Wear Culture』と名付けられたサイトはファッションの歴史を学ぶだけの教育コンテンツとなっている。
例えば、シャネルのリトルブラックドレス(LBD)、アントウェルペンの6人からはダーク・ビッケンバーグの1998SSコレクションでの靴などが取り上げられている。
特に驚くべきは、360度VR動画だ。
動画を再生してみよう。左上の矢印が4つ描かれたコントローラーを使ったり、画面上をクリック&ドラッグしたりすれば、動画を再生しながら、Google EarthやGoogleマップのように上に横にと移動、コントロールができる。
語彙力が足りないが、音楽や動画が進行する中で上下左右に動く姿というのは「すごい」としかいいようのないものだ。
見られるコンテンツは450にものぼり、上記の特設サイトのほか『Google Arts and Culture』アプリでも体験ができる。ゴーグルは必要がなく、アプリかサイトに行くだけでVR体験ができてしまうのだ。
こうしたVR360度動画は博物館のコレクションや歴史的なアーカイブにこそ活かされるべきだと指摘する人も多い。家にいながら歴史的な名作絵画を鑑賞できる時代が、来るのかもしれない。
工場見学をVRで。カゴメの挑戦
トマトジュースでおなじみのカゴメはトマトの収穫からジュースになるまでの工場見学を360度VR動画という形で行っている。
例えば最初のトマトの収穫のシーン、矢印を少しいじってあげれば手元のトマトを見ることができる。これこそ体験型!!
大人になると社会科見学に行くようなシーンはないが、大人の社会科見学はここ20年ほどでジワリと伸びているコンテンツだ。私もビール工場をはじめ、いくつか行ったことがある。
製造工程一つとっても「規模感」「衛生管理」など子供には感じれなかったビジネススケールやこだわりを見ることができて非常に面白い。
ただ、工場ってだいたい遠いのだ……。それがYouTubeを通して見ることができる、というのは非常に手軽!! 子供の学習教材というよりは大人に見てもらいたい動画だ。
まとめ
このようにVR動画は今や企業がPRのために積極的に取り入れている。VRというとダイナミックな動画体験ができることから、「アトラクション」としてエンターテインメント的な採用に限られると思いきや、教育やPR、アーカイブの保存など多様な使い道で発展をみせている。今後もどんなアイデアが出てくるのか非常に楽しみだ。
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