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エヴァブームで復活の予感!?名画に見るオープニングクレジット
『エヴァンゲリオン劇場版』に絶賛の声が相次いでいます。
リアルタイムで作品に出会った「エヴァ世代」だけではなく、さまざまな年齢層の人々が、作品について熱心に語っている状況がSNSからも伺えます。
先日、二度目の鑑賞に行ったのですが、その際に改めて感じたのが、冒頭で立ちあらわれるオープニング・クレジットの素晴らしさ。
近年ではあまり使われなくなった手法であるがために、かえって新鮮な印象を受けたのかもしれません。古き良き時代を想起させるクラシカルな演出ではありますが、懐かしさと同時に抑えがたい胸の高まりを覚えたのはきっと私だけではないでしょう。
そこで今回は、古典映画で表現されたオープニング・クレジットの代表的な例をいくつかご紹介したいと思います
創意工夫がなされたクラシック映画のオープニング・クレジット
映画作品の中で、監督名やタイトル、制作に関わったメインキャスト・スタッフ・企業・団体名を紹介するクレジットタイトル。
現在では、本編終了後にエンドロールという形で表示されることが多くなっていますが、1950年代から70年代にかけての映画では、本編がはじまる前のオープニングに監督名、メインキャスト、タイトルだけでなく、すべてのクレジットを流すのが一般的だったそうです。
役割や位置付けとしては、音楽のイントロに近いものがあるもしれません。のっけから観客の心を掴んでやろうと、クラシック映画には、あっと驚くような工夫がなされたオープニング・クレジットが数多く見られます。
では、実際にはどのようなものがあるのでしょうか?代表的なものをこれから確認してみましょう。
『サイコ』(1960)
クライム・サスペンス映画の原点とも言われるアルフレッド・ヒッチコック監督の名作『サイコ』。
全編モノクロでさまざまな映像テクニックが駆使されている作品ですが、オープニングに流れるクレジットタイトルも凝りに凝っていますよね。
個人的なツボは、文字化けしたようにボヤけながらフェイドアウトする映画タイトル。めちゃくちゃカッコよくないですか?異常殺人という作品テーマと密接に絡み合った表現になっていると思います。
『007 サンダーボール作戦』(1965)
“スパイ映画”というと多くの人が真っ先に思い出すのがこの作品ではないでしょうか。そう、ジェームス・ボンドの『007』シリーズです。
初めて映画化されたのは、1962年公開の『007 ドクター・ノオ』で、この『007 サンダーボール作戦』は第四作目にあたります。シリーズでは、はじめて水中アクションを取り入れ、オープニング・クレジットでもそのモチーフが美しい映像によって見事に暗示されてます。
2012公開の『007 スカイフォール』の雛形として語られることも多いので、ファンの方はぜひ見比べてみて下さい。
『大きな鳥と小さな鳥』(1966)
異端児の多いイタリア映画界の中でも、ひときわ妖しい輝きを放つ鬼才ピエロ・パオロ・パゾリーニ監督。1966年公開の『大きな鳥と小さな鳥』のオープニング・クレジットは、映画史に残る伝説と言っても決して過言ではありません。
ちょっと分かりづらいかもしれませんが、ぜひ歌と字幕に注目してみてください。気づきましたでしょうか?そう、キャスト・スタッフ名がそのまま歌詞になっているんです。
ちなみにこの驚きの音楽を担当したのは、映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネ。
この『ニューシネマ・パラダイス』のテーマ曲に象徴されるように、美しいメロディを書かせたら右に出る者がいない天才的な作曲家ですが(残念なことに2020年7月に逝去しています)、こんな作品も手がけてたんですね。多才すぎます。
作品のストーリーもまた、人語を解するおしゃべりなカラスがマルクス主義的なイデオロギーをまくし立てる衝撃的な内容なので、興味がある人はぜひ視聴してみてください。
『夕陽のガンマン』(1965)
エンニオ・モリコーネの大ファンなので、もう一つだけ紹介させて下さい。
マカロニ・ウェスタン(イタリアの西部劇)を代表する名作『夕陽のガンマン』のオープニングを飾るクレジットロールです。荒野に響き渡る口笛と銃声!いやー、もう最高すぎます。躍動感あふれる音楽も素晴らしいですよね。
派手なガンファイトやアクションシーンが楽しめる作品ですが、セルジオ・レオーネ監督(『荒野の用心棒』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』でも有名)は、クローズアップとロングショットの使い分けが絶妙で、その独自の映像スタイルは、後のアクション映画やヤクザ映画にも多大な影響を与えています。未聴の方は、ぜひ一度ご覧になってみてください!