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インバウンド向け動画のテンプレート!佐賀モデルって!?
外国人向け、国内旅行向けを問わず、観光客を誘致するための手段としてPR動画の注目度が日増しに高まっています。シリーズ連載「結果にコミットした観光PR動画」の第4回目となる今回は、エポックメイキングな成功を収めた佐賀市のプロモーション戦略を詳しくご紹介。
現在のインバウンド向けPR動画のテンプレートを作ったと言っても過言ではない名作です。ぜひご一読くださいませ!
2,000万再生突破の佐賀市
[地域]
佐賀市
[アピールポイント]
インバウンド旅行客の拡大
[効果]
外国人観光客数前年比150%超え
オリエンタルな魅力満載の名作
2017年9月に公開され、現在(2021年7月時)の再生回数は2,100万回を突破し、2017年には18万9625人 だった外国人訪問客が、2018年には32万8,026人(2018年)にまで増加。そのエポックメイキングな成功から「佐賀モデル」という言葉まで生まれた名作がこちらの「Surf Slow Saga」です。
外国人観光客をターゲットにした動画ならではの、言葉を超えた映像美が印象的な本作。なにより、バルーンが空を舞う幻想的な景色に冒頭から目を奪わますよね。“開始10秒が勝負“とも言われるYouTube動画の鉄則を踏まえた見事な構成になっています。
また、地方の強みである「のどかさ」「豊かな自然」だけでなく、「民藝品」「ご当地グルメ」「歴史的建造物」「伝統芸能」といった、日本ならではのオリエンタルな雰囲気を前面に押し出している点も見過ごせないポイントです。
プロモーションの企画段階から海外のツーリストにささる地域の強みを徹底的に分析し、見事に炙りだしていることが伺えます。
実際に佐賀を訪れた外国人観光客を対象としたアンケートでは、23・7%と4分の1近くの人が上のPR動画を視聴し、さらにそのうちの9割以上の人が旅行先の決め手になったと回答しています。
このことからも、プロモーションでのYouTube活用がいかに結果にコミットしたかがよくわかります。
Googleと協働。成否を分けた予算配分
インバウンド向けプロモーションの模範ともいえる佐賀市のYouTube動画ですが、良質なコンテンツを作ることが、必ずしも結果につながるとは限りません。バズを創出するためには、制作と同等かそれ以上に「どのように発信するか」がとても大切です。
佐賀市では、動画づくりと並行して、Googleに相談することで地域の特徴に合致する最適なプロモーション戦略を導き出しています。
限られた予算をどのように分配するか?
これは、すべての観光プロモーションに共通する課題ですよね。より具体的には、動画製作費、広告費、マーケティング費といったもろもろの「予算のウエイトをどこに置くか」をあらかじめ決めておくことが成否を分けるポイントになります。
Googleの分析レポートによると、動画プロモーションを成功に導く予算配分には黄金比といえるようなものがあります。それは「製作費:広告配信費:運用分析費」の割合が「3:6:1」という予算配分であり、佐賀市もこの成功法則の仮説を適用しています。
コンテンツの配信費用にリソースを割き、効果的な広告を選択(YouTubeTrueView広告をターゲットの国をメインに配信)したことが、当初の目標だった250万回を大きく上回る成果につながったことは間違いないでしょう。
次に生かすデータ分析もワンセット
もう一つこの「佐賀モデル」を理解する上で押さえておきたいポイントは、「動画を公開して終わり」という態度は、シティプロモーションでは原則的にご法度であることです。動画広告の配信から取得することができる、国別の視聴者数、視聴者のセグメント情報(年齢・性別・興味等)を基に綿密なマーケティング分析を行い、次回のプロモーションへ向けた「PDCA(計画・実行・評価・改善)」の好サイクルを作り出すことが重要です。
佐賀県では、その後も精力的にインバウンド向けのPR動画を制作しており、今年の3月には旧作のリメイクにあたる「いつかまた訪れたい佐賀市」が公開されています。
前回の映像の中からカヤックやサイクリング、川遊びといった自然体験にフォーカスをあて、今後の観光産業の要とも言われるアドヴェンチャーツーリズムを意識した内容になっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。現在は、いまだ外国人観光客の誘致が難しい状況が続いていますが、世界各国から大勢のツーリストが日本に訪れる日は遠くない必ずやってきます。
「PDCA(計画・実行・評価・改善)」のサイクルを緻密に検証し、「佐賀モデル」と呼ばれるほどの大きな成功を収めた佐賀市のシティープロモーションには、インバウンド向けYouTube広告のアイデアやヒントが詰まっています。なにより、映像コンテンツそのものが外国人ユーザー向けのモデルケースといえる作品なので、ぜひ実際に試聴してみてくださいね。
今後も本記事では、結果にコミットした観光PR動画のユニークな事例をご紹介していくつもりです。お楽しみに!