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48時間で30年間が水の泡、ドルチェ&ガッバーナは何が悪かったのか

48時間で30年間が水の泡、ドルチェ&ガッバーナは何が悪かったのか

ドルガバの愛称で日本の著名人にもファンの多いドルチェ&ガッバーナが炎上騒ぎとなっている。

ことの発端は11月19日にアップされたひとつのプロモーション映像だ。

(現在は削除されている動画のスクリーンショットから。)

ピザなどのイタリア料理を箸で食べるアジア系美女が映し出された映像は、人種差別的であると指摘があった。さらに棒状のお菓子であるカンノーロを食べる女性に対して「これは大きすぎるのでは?」とセクハラ的な発言も飛び出し、女性差別との声も上がっている。

そうした声に対してステファノ・ガッバーナ氏は悪びれもせず。ユーザーから送られたダイレクトメッセージに対して「中国は無知で汚くて臭いマフィア」と侮辱するような返信をした。こうしたやり取りがリークされ著名アカウントに取り上げたことで一気に拡散、#BoycottDolceのハッシュタグが炎上に拍車をかけていった。

結果、21日に上海で予定していたファッションショーに出場予定であったモデルやゲストが次々に不参加の声明を発表。これを受けて、11月21日に上海で予定していたファッションショーは中止になっている。

その後ガッバーナ氏は、アカウントはハッキングされていて自分が投稿した内容ではない、という苦しい声明を発表した。

また、23日にはドルチェ氏とガッバーナ氏が共同でWeiboに謝罪動画をあげたがもう時すでに遅し、主要なECサイトやお店からドルチェ&ガッバーナの製品は撤去されるなど中国市場を失った格好となっている。

(Weiboより謝罪動画のスクリーンショット)

これを受けて、各方面では「19日から21日までの48時間で30年間築き上げたきた信頼を失った」とする見方が多い。

実際にSNSではドルガバの洋服を燃やす、箸で食べる、切り刻むなどの動画が投稿され、炎上騒ぎは収まらない状態となっている。

一方で語弊を恐れずにいえば、たった1つの動画が全てを狂わせ、謝罪も動画でする、というのが現代の映像の重要性を如実に証明しているともいえる。

(2018-19AW、ウィメンズのショーより。洋服は素晴らしいのだが……)

パリコレなどのデザイナーズブランドやビッグメゾンの多くのデザイナーの中には過激な発言をすることは珍しくない。過去にもジョン・ガリアーノのデザイナーであったジョン・ガリアーノ(現在はメゾン・マルジェラを手掛ける)がパリのカフェでカップルに暴言を吐いたり、ヒットラーが好きだといった内容の発言をYouTubeにアップしたことによりデザイナー職を辞任するなど、こうした騒ぎは今に始まったことではない。

良く解釈すれば、そうした個性的な性格や突拍子の無い部分が誰にも作れないような素晴らしい洋服を作る才能になるのかもしれない。これまでもドルチェ&ガッバーナはブラックジョーク的な表現を使ったり、ガッバーナ氏が過激な発言や表現を好み度々炎上騒ぎを起こしてきた。だが、それを力に変えて中国市場でも力をつけてきただけに、今回はその後の対応が何にせよ悪すぎた。それに尽きるだろう。

こうした対応の悪さやこうした動画にOKを出すという部分はドルガバの社内体質もあるのかもしれない。9月に詐欺にあい会社のお金約3億円を失った日本法人の社長に対して裁判を起こしたり、ドルチェ&ガッバーナはワンマンの会社だといわれている。多くのファッションブランドは現在どこかの傘下に入りいくつかの大きなグループに所属しているが、ドルガバに関してはそれがないのだ。ある意味で尖った才能をそのまま世に発信できるもいえるのだろうが、最悪の形でそれが露呈してしまった。

それにしても、動画&SNS全盛のインターネット界、炎上のスピードの速さが伊達じゃない。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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