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CMから見る企業のSDGsへの取り組み【5つの事例紹介】

CMから見る企業のSDGsへの取り組み【5つの事例紹介】

エコバッグやマイボトルをはじめ、私たちの暮らしに少しずつ浸透してきつつあるSDGs(持続可能な開発目標 )。国境を越えたユニバーサルな目標として、昨今ではさまざまな場面で取り組みが加速化していますが、そのなかでも目にする機会が増えているのが企業が発信するSDGsに向けたポジティブなメッセージです。

そこで本記事では、SDGsをテーマに制作された企業CMを5本ピックアップしてご紹介します。

気運が高まるSDGs

2015年9月に国連で採択された「SDGs」は、時間が経つにつれ大きな広がりを見せ、各国政府や大企業が積極的に推進する気運が高まっています。気候変動や環境劣化に関する取り組みのイメージが強いSDGsですが、その内容は、貧困や飢饉、格差や不平等、平和と公正やジェンダー平等などきわめて広範な社会問題を包括したものになっています。

例えばアパレルの世界でいえば、毎シーズン大量の洋服が作られ廃棄されている現状から、ステラ・マッカートニーのようにサステナビリティを意識した取り組みをするブランドが注目を浴びました。日本でも動物の革を使わないブランドが増えており、マッシュホールディングスをはじめヴィーガンレザーやエコレザーに置き換わる動きがあります。ユニクロが店舗に不要になった洋服を回収する箱を置いているのも、リユース・リサイクルなどSDGsを目的とした取り組みの一環です。

実際に、SDGsの文書では17の大きな目標が掲げられています。それらの目標を達成するための169の具体的なターゲットと国連加盟193カ国がシェアすべき242(重複箇所をのぞくと232)の指標が併せて示されています。

【ポイント】
・2015年以降、世界的な目標として大きな広がりを見せている
・気候変動や環境汚染だけでなくさまざまな社会問題を包括したマクロな取り組み
・国連加盟国が全会一致で採択した文書には、目標達成に向けた具体的な行動指針が示されている

企業CMのここに注目

上述したように、私たちの世界を取り巻く諸問題の解決を目標として掲げるSDGsの本質は、より善いものへと「Transforming Our World(私たちの世界を変革すること)」にあります。

そのため、企業が発するSDGsのメッセージもまた多様性を孕んだものとなっています。この後ご紹介するプロモーション事例の視聴に際して、次の3つの点に着目するとその狙いや独自性についての理解が深まることでしょう。

・シリアスになりがちなSDGsの実践を、どのように多くの人が視聴するCMとしてコンテンツ化しているか

・同じテーマで作られたCMの映像表現やアプローチの違いを見比べることで、各企業の特色をよりクリアに再発見できる
 
・企業のアイデンティティーとSDGsの価値観、自社製品の強みを融合させたメッセージを発する近年のトレンドをチェック

事例紹介

1 大和証券グループ

大和証券グループでは、2030年のゴール(SDGsの目標達成)に向け、グループの目指すべき姿を長期ビジョン「2030Vision」として策定。そのコアコンセプトである「貯蓄からSDGsへ」をスタイリッシュな映像で表現しています。

人・自然・エネルギーというSDGsの基本構想に“貯蓄”の発想を織り交ぜたメッセージは大和証券グループならではのもの。ファイナンス企業としてのパーパスと矜持を感じることのできる一本です。

2 野村証券グループ

野村證券/NOMURA 公式チャンネルでは、昨夏公開したCMでSDGsと真正面から向き合ったシンプルで力強いメッセージを発しています。

「Drive Sustinabrity.」という、市場経済を支え続けてきた企業ならではの強みを活かしたコンセプトが斬新です。

多様な力を掛け合わせることで、サステナブルな歩みを加速させながら、豊かな社会の創造に貢献していく。そんな野村グループならではのSDGsにかける熱い思いが全面から伝わってくる一本です。

3 大林組

「つくるを拓く」を企業理念に掲げる建築大手・大林組はSDGsに取り組んでいる企業の一つです。

昨年9月に公開されたCMでは、「光合成する建築」をテーマに現代建築と自然エネルギーが混然一体となった新しい未来の景色をビビッドに描かれています。

“光合成で発電する建築”というサイエンスフィクションのようなアイデアが実現しつつあり、しかもそれをきちんと映像として体験できる点もユニークな一本です。

4 住友金属鉱山

430年以上の歴史を持つ、住友金属鉱山。創業以来変わらない想い、未来への意志を伝えたCMは、企業理念とSDGsの価値観が深く結びついた内容になっています。

非日常感のある映像を通して“地球の意思を人の想像力へとつなげる仕事”というスケールの大きな企業アイデンティティーをPRしたのちに、小さなオフィスの風景に切り替わる構成が独創的。ブランディングムービーとしても参考になる作品です。

5 タカラレーベン

総合不動産業、メガソーラー事業、ホテル事業などを全国で展開している不動産総合デベロッパーとして、『人と暮らしの幸せを誰よりも真剣に考えたい。すべての人が安心して暮らせる住まいと街をつくりたい』という想いをYouTubeで発信し続けてる株式会社タカラレーベン。

“サスティナビリティ”をテーマにしたCMシリーズも2022年の9月からスタートしており、その第一作目「アートビオトープ『水庭』篇」(60秒)では、水と木と苔に満ち溢れた緑豊かな森を背景にタカラレーベンの企業理念を落ち着いたナレーションでPR。

企業ビジョンである『幸せを考える。幸せつくる。』というメッセージがどのような形でSDGsを取り組みながら展開していくのか。今後も目が離せません。

まとめ

どの動画も、世界の在り方そのものを根本から変えようというSDGsの目標と真摯に向き合うことで、企業の理念やパーパス(社会的な存在意義)がより見える化されていることがよく伝わる内容になっています。

ここ最近、商品やサービスそのものだけではなく、その背景にある企業の価値観やビジョンに惹かれる顧客の声がSNSでも目立つようになっており、企業ブランディングや地方創生を考える上でもSDGsの目標はとても重要な指針といえます。今後も映像制作のヒントになるような企業CMを厳選してお届けしていくつもりですので、どうぞお楽しみに!

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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