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職能型チームの解散。ポジション混合型チームで映像制作会社が目指す姿

職能型チームの解散。ポジション混合型チームで映像制作会社が目指す姿

こんにちは、エレファントストーン 広報の渋井です。

クリエイティブ企業って、ポジションによって仕事が明確に分かれているイメージですよね。大手広告代理店を舞台とした漫画『左利きのエレン』のようにポジションごとに異なるプライドがぶつかりあうなんてことも…?

そんな中、いちクリエイティブ企業、映像制作会社のエレファントストーンは、職能ごとにチームを組む体制を昨年10月よりガラッと変更しました。職能型のチーム体制からポジション混合型のチーム体制に。各チームごとの目標達成を目指し、従来のポジションにかかわらず所属メンバーにどんな役割を与えるかは、チームマネージャーに委ねられることになりました。

今回はその改変が行われた理由、改変後の各チームの状況・変化、体制変更によるメリットをお伝えしていきます。

職能型チーム体制を見直した理由

エレファントストーンは、元々職能ごとにチームを組む体制をとっていました。そこから、現在はポジションの垣根を超えた様々なメンバーが一つのチームとして編成される体制に。旧体制と新体制を比較すると、現在は以下のようになっています。

ポジションごとにチームを組み、役割を明確にした方が業務効率アップが期待できるのではないか、と思われるかもしれませんが、この体制変更の背景にあったのは“職能の垣根を超えてチームワークを生むことで、今まで以上に円滑に仕事を進められる体制をつくりたい”という想いでした。

職能型チーム体制の利点は一人ひとりの役割を制限することで業務の効率化がはかれること。ただ、エレファントストーンの場合、人数が急拡大する中で業務範囲を仕切らないと管理が難しくなったと同時に「自分の仕事はここまで」という意識が不要な線引きを生み、業務連携がうまくいかないケースが出てきてしまいました。どうすればメンバー同士がこれまで以上に円滑に連携し、中長期的に成果を出せるようなチーム・組織をつくれるだろうか。あらゆる可能性や方向性を思考した結果、今回の体制変革が行われました。

現在、エレファントストーンの制作チームは職能型チーム体制を見直し、ポジション混合型のチーム体制にシフト。あわせて、従来のポジションの仕切りをなくして、大袈裟に言えばプロジェクトに応じて異なる役割を担えるような体制になりました。これには、単に誰もがオールマイティにならなければいけないという訳ではなく、むしろ“一人ひとりの役割(案件単位での)を明確にする”という意図があります。

役割の定義を職能単位ではなく案件単位とすることで、各人は案件ごとに異なる役割を担います。そのため、一人ひとりが持つ多種多様な強み(=スキルや経験、特性など)を活かしながら仕事を請け負うことが可能です。また、その結果「自分は今回ここまで担当出来そうだ、ここはチームのメンバーに任せた方が良いだろう」という判断が簡単になり、スムーズな案件進行が可能になるのではないかという狙いもあります。

各チームが目指す姿も変化

現在、エレファントストーンのクリエイティブチームはどのチームもポジション混合型となり、その中で目指す在り方やコミュニケーションの方法も変化しています。そこで今回は各チームを束ねるメンバーに、チーム体制の変化によるチームビルディングに対する考え方の変化を聞いてきました!

チーム紹介

  • 伊藤ユニット
    (従来のプロデューサー&ディレクター&エディター&マーケターが所属するチーム)
    取締役COO兼プロデューサーの伊藤が束ねる総勢27名の大型チーム、通称伊藤ユニット。またの名を伊藤組。プロデューサー、ディレクター、エディター、マーケターが一同に所属する。組織が大きいが故、ユニットの中に複数グループが存在。
  • 嶺チーム
    (従来のプロデューサー&ディレクター&エディターが所属するチーム)
    マネージャー兼ディレクターの嶺が束ねるプロデューサー2名、ディレクター3名、エディター1名の嶺チーム。嶺曰く「チーム・男子校」。今後のチームの在り方をメンバー全員で考えるために一泊二日で静岡に合宿に行くなど、気合いを感じるチーム。合宿の行き先は当日までメンバーの誰も知らなかった。
  • 山部チーム
    (従来のプロデューサー&ディレクターが所属するチーム)
    マネージャー兼ディレクターの山部が束ねるプロデューサー2名、ディレクター4名の山部チーム。新卒1〜2年目がチームの半数を占める。唯一チーム内にエディターがいないため、アジア事業課や社外パートナーとの連携が鍵(アジア事業課についてはまたの機会にお伝えしますね)。今のところ合宿はしない。

目指すチームの在り方

伊藤さん
伊藤ユニットが目指す在り方は大きく二つです。

①ユニット内ポジション別チーム体制の確立(分業制)
伊藤ユニットは、全27名という規模を活かし、あえて従来の職能型を引き継いだグループ体制を導入しました。ユニット内のメンバー全員の個々の役割を明確にして、仕事を頼みやすくしたり、その役割に集中しやすくしたりすることで、業務の効率化を目指しています。これには、「自分の仕事はここ」という認識を統一しやすくし、これまでかかっていたコミュニケーションコストを減らした上で、各人の役割を狭めることにより成長速度を上げる狙いもありますね。

②ナレッジの共有スピードの加速化
制作チームの約3分の2が所属しているので、その人数の強みを活かし、各人の知見をタイムリーに共有できる組織にしていきたいです。他者とのナレッジ共有がしやすい環境をつくることにより、各メンバーのスペシャリスト化を加速させます!

嶺さん
嶺チームが目指すのは「3つのC(コミュニケーション・クリエイティブ・コスト)の達成」!お客さまから「嶺チームに依頼したい」と思ってもらえる個人・チームで勝利する体制の構築を目指しています。そのために必要なのが3つのC。3つのCとは「コミュニケーションの円滑化」「クリエイティブの精度の向上」「制作にかかるコスト・コミュニケーションにかかるコストの削減」を意味します。

そして3つのC達成のために重要なのが行動指針。チーム内の共通認識としてこの行動指針を3つのCという形で体現しようと定めました。例えば、“「行動指針① 想像力を、ホスピタリティに活かした」「Communication」をとる”といったイメージです。結果的にお客さまからの信頼の獲得=チームの勝利、評価の向上によるキャリアの構築=個人の勝利に繋げます!

山部さん
山部チームが目指す在り方は大きく三つです。

①コアスキルの底上げ
山部チームは新卒1〜2年目が半分を占めるので、若手の成長をキーとして、その成長をはかるためのエレファントストーンが定めるコアスキルを日々の業務にどれだけ紐付けられるのか、で勝負していきます。

②チームリソースの最適化
人数が少ないので、適材適所でポジションの垣根を超えて業務連携を図ることに決めました。“どこに誰のリソースをさくと案件がスムーズに進行できるのか”を追求しています。人数が限られている中でチームとして勝つために、ディレクター・プロデューサーというポジションの概念を取っ払い、各メンバーが自分のできることを増やせるようにしていきます!

③細部にこだわる
クリエイティブの面だけではない日々の業務で発生する経費精算・提出物の期日を守る等、ビジネスパーソンとして守るべきルールの徹底も山部チームが目指すところです。基礎ができることで確認や出し戻しにかかるコストを削減し、より案件進行にフォーカスできる体制をつくっていきたいです。

体制の変化によるチームづくりに対する考え方の変化

伊藤さん
異なるポジションが多い=視点や考えていることが違う可能性が高いため、今まで以上にコミュニケーションの強化が必要だと感じています。同じポジション同士でチームを組んでいた際は言葉を割愛していても伝わっていた部分のコミュニケーションを今まで以上に丁寧にしていますね。

嶺さん
最近は、“打ち合わせの時間は減らした方が良い”論に逆行するようになりました。目標達成までのプロセスとチーム内コミュニケーションを重視し、いかにコミュニケーションコストを抑えてみんなの認識を揃えられるか、を肝としたチームを目指します。実際に、しっかりと認識を揃えるために6人でのコミュニケーションの時間を大切にしています。

具体的には毎日夕方に締め会として30分の時間を取り、業務報告や3つのC・YOS※の共有を行い、その日の失敗・成功からどう動くべきかを話し合いで導き出す取り組みも実施中です。

※YOSとは“Y=喜び、O=お困り、S=しくじり”として各自の日常を共有する取り組みを指します。

山部さん
まず、“ポジションの垣根を超えた体制をつくる”等、方針を明確に持つようになりました。旧体制では、社内のトッププレイヤーとして活躍できる人と一緒につくり上げるチームだった結果、良いクリエイティブをつくる目線に寄りすぎ、チーム全体の目線があっていなかったように思います。

体制の変化に伴って、チームとして一つになることの重要性を実感し、ポジションの垣根を超えた適材適所の状態をつくる意識になりました。「誰かの課題は自分の課題」という意識をチームメンバーが持てるようにしていきたいです。

体制の変化による映像制作における業務連携方法の変化

伊藤さん
伊藤ユニットは旧エレファントストーンの縮小版とも言える体制のため、体制変更による案件における動き方の変化は少ないかな?と思います。

嶺さん
リーダーの嶺が決めてチームに指示して動くのではなく、みんなで決めてみんなで動くことがコミュニケーションコストの削減に必要です。そのため、よりチームと個人がwin-winになる状態を意識して動くようになったかなと思います。合宿では、自分がベストパフォーマンスを発揮できる状態・自分が乗り越えたい壁・チームメンバーへの要求を共有し合ったので、今後チーム内で要求しあえる土壌づくりに力を入れていきたいですね。

山部さん
山部チームではこれまでディレクターが担当していたコンテづくりや香盤表づくりをプロデューサーのメンバーが担当する等、日々動き方が変化しています。ポジションの垣根が低くなっていますね。全員で一つの目標に向かわないと連携がとれなくなり、チームとして勝てないので、“みんなで考える”ことも増えました。

・・・

規模が大きいチームはあえてポジション別チーム体制を再導入。規模が小さいチームは、連携がとりやすいからこその適材適所の体制を確立。チームを横断した各ポジションのメンバーが集結して各案件を動かすのではなく、チームごとに案件を動かす形が主となったことで、各チームのチームとして勝つ意識が高まっているように思えます。

伊藤さん、嶺さん、山部さん、ありがとうございました!

まとめ

各チームマネージャーからコミュニケーションの重要性が話題に上がったことにも通じるように、チーム体制の変更と共に、よりチームの一体感向上を意識しやすい環境に変化したように感じます。また、各チームが掲げる方針もメンバーのカラーが今まで以上に反映されたものになってきているのではないでしょうか。

一方で、制作を中心にマネジメントを行っていたディレクターがマネージャーに立つチーム(特に嶺チーム・山部チーム)は、チームの勝利のために営業戦略・収益性も考える必要があるという新たな壁も見えてきています。

会社の勝利のためのポジション別チーム体制の見直し。今後、どんな良さ・課題が見えてきたかをまたお伝えできればと思います。

 

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この記事を書いた人

渋井美香
エレファントストーンの経営戦略室 ブランドマネジメント課所属

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