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映像制作会社の採用担当が自社に映像を発注してみた【社内要件定義編】
こんにちは、エレファントストーンの渡辺です!
映像制作会社エレファントストーンで新卒・中途の採用担当をしております。
今期、弊社では社内の制作チームに依頼をして採用映像を制作しました。プロジェクトが始まってから納品に至るまでの数ヶ月間、担当者として上司や制作チームとやりとりを重ねてきました。
その中でとくに感じたのが、映像制作を依頼する際の担当者(発注主)視点の情報が少ないということです。
確かに、数ヶ月かけたプロジェクトで得た知見や苦労話をわざわざ外部の人間に紹介する方なんてそうそういらっしゃらないのかもしれません。
しかし、私はただの採用担当ではなく、映像制作会社の採用担当です。
これから映像を制作する採用担当の方のためにできることを考え、自社での制作を通して起きた失敗談、そこに対しての対処法を紹介していきたいと思います。
本記事では、社内要件定義編として制作会社に発注する前段階の社内でのエピソードに絞ってまとめていきます。
そもそも採用映像を制作しようと思ったワケ
そもそも、なぜ弊社が採用映像を作ろうと思ったのか。
エレファントストーンでは2020年から新卒採用を本格的にスタートし、ありがたいことに毎年沢山の学生が弊社のことを見つけ、応募してくれています。
ただ、沢山ある企業の中から弊社を見つけてくれた学生に対して、会社説明会や面接などの選考フローを通して「役員・マネージャー・採用担当の話しか聞けない」ことにずっとジレンマを感じていました。
採用担当は学生と一番近くで就職活動に伴走して行く立場ではありますが、自分が学生だった時に採用担当の言葉を素直に受け入れられたかというと、そうではありません。漠然と「採用担当よりもその他社員の話すことの方が信用できる」と思っていました。そのため、採用担当以外の働いているメンバーたちの想いや行動も交えながら、会社の考え方をもっとわかりやすいかたちで届けられる方法はないか頭を悩ませていました。
また、オンラインでの採用活動が主流になる中で、ここ数年間、映像制作の会社ながら説明会の大半をパワポ資料と口頭説明で行っておりました。
Webサイト上の情報や会社説明会での口頭説明だけでは、学生にとって実際の業務や雰囲気、制度の仕組みについて具体的なイメージがしにくい部分があり、改善を図りたいと考えていました。
上記の課題を解決するために、会社説明会の際に採用担当以外のメンバーをアサインして座談会を開催するなどしており、学生からの反応はとても良かったのですが…メンバーの予定によって参加メンバーや話す内容に差が出てしまうといった課題もありました。
どうしたらより充実した説明会にできるかを考えたときに、採用映像の制作が話題に上がるようになったのです。
そんなこんなで採用映像を制作することが決まりました!
担当者の使命「社内承認を得よ」
いざ採用映像を作ることが決まったら、どんな映像を作るのか、社内で要件を検討していきます。要件定義をしていく上で、担当者の大きな使命の1つが「社内の承認を得る」ことです。
正式に制作チームに依頼する前に、まずは映像制作をすることに対して承認を得るという工程があります。かける費用と工数に対して、それ以上の効果を得られるのか説得しないといけないわけです。
何かしらのプロジェクトを進行したことのある方ならお分かりかと思いますが、上司を説得するってかなり時間がかかりますよね…
自分が思っている以上にしっかりと内容を詰めて提案する必要が出てきます。
これから要件定義を始める方向けに、参考までに社内提案に向けて私が整理した項目と流れを紹介していきます。
要件定義の流れ
現状の課題を整理する
まず、新卒採用において現状の課題は何なのかを下記のように整理しました。
ここで課題を明確にできないと「完成した映像が本当に作りたいものと違った」となりかねないので、自分たちが今抱えている課題を一度洗い出すのがおすすめです。
採用計画を検討する
課題を整理した上で、今期はどんなスケジュール・フローで採用を進めるのか検討しました。
リクルートサイトやインターンなど動画を活用できる場面が様々ある中で、選考に進む学生全員が参加する会社説明会で動画を活用することに決めました。
企業によって採用映像の効果的な使い方は異なるので、ここでしっかりと選考フローを検討することで「エントリー獲得の時点で見てもらった方が効果的なのでは?」「選考に進む中で理解を深めてもらった方が良いのでは?」といった発見がある可能性があります。
このタイミングで、どこで映像を使うのが最適なのか考えておくのがおすすめです!
※上記の選考フローは変更になる場合がございます。
会社説明会の流れを決める
選考フローを検討した際、改めて会社説明会で映像を使うことになったため、説明会の内容と流れを決めていきました。説明会で伝えたいことに合わせて映像の内容も考える必要があるため、採用チームで何度もじっくり時間をかけて擦り合わせをしたのを覚えています。
説明会の流れをもとに、資料(口頭)で伝えるパートと、映像で表現するパートを検討します。
映像は視覚的・聴覚的に表現でき、口頭での説明よりも多くの情報を伝えることができるので、正直全部映像にしたくなりました。とはいえ、リアルタイムで説明会を実施する意義も残したい…。ではどこを映像で伝えるのが効果的なのか、社内で時間をかけて話し合いをしました。
迷った場合は「このパートを映像にすることで、きちんと課題を解決できるのか」「ここは本当に映像でないと伝えられないのか」を考えるのがおすすめです!
限られた予算と時間を最大限に活用する方法を考えましょう。
映像の要件を決める
映像の狙い、何を伝える映像にするのか、どんな構成の映像にしたいのか、トンマナ、雰囲気など、制作チームに依頼する際の要件を決めていきました。
色々な表現方法がある中で、自分たちはどんな映像を目指すのかを考えるために、様々な企業の採用映像を見ました。
どのような映像を想像しているのか目に見えない分、参考映像を見つけておくことは社内提案時も、ゆくゆく制作チームに依頼する時もとても助けになります。
ただ、採用映像って求職者向けの映像なので、公開されていないケースが本当に多いです。多くの企業が採用映像を作っている今、すごく力を入れて制作したものが沢山あるはずなのに、YouTubeや制作会社のHPに事例として掲載されているものしか参考にできないのが正直辛かったです。採用映像だけでなく、企業のブランディング映像や会社紹介映像などを参考に、自分たちなら映像で何を映したいのかを考えていきましょう。
ここまでの内容を決めるのに何時間もかけてリサーチ。資料に落とし込んで上長に提案→承認を得たらマネージャーに提案→承認を得たら代表に提案、とブラッシュアップと提案を繰り返し、7月頭から始まったプロジェクトも、あっという間に8月26日・・・
11月までの納品を目指していたのにもう8月が終わる、やばい!となってしまうわけです。
社内要件定義を制するために重要なポイント
今回、このプロジェクトを通して、社内での要件定義を制するために重要だと感じたポイントが2つあります。
①決めることを事前に明確化する
私たちが時間がかかってしまった理由の1つに、担当者である自分がどう動いたら良いのか、発注するまでに何を決める必要があるのかわかっていなかったということがあります。
手探りで進める中で「これも決めなきゃ」「この情報も追加しなきゃ」とやっていたらそりゃ時間もかかりますよね。
あらかじめ、社内の承認を貰うまでにどんな情報を入れる必要があるかを整理して取り組むのがおすすめです。そうすることで、提案の出し戻しを減らすことができますし、上司の貴重な時間を余計に貰ってしまったなんてことも防げます。
先ほど紹介した項目をぜひ参考にしてみてください!
②承認フローを把握しておく
正式に制作チームに発注するまでに誰からの承認を得る必要があるのか、社内の承認フローを把握しておくのは本当に大事です。
弊社では上長・マネージャー・代表の3段階だったので比較的スムーズに進められましたが、さらに細かく分かれている企業の場合は承認に1ヶ月程度かかるなんてこともあるかと思います。
要件定義を始める段階で、あらかじめスケジュールに承認フローを組み込んでおきましょう。
企画段階は、社内の皆さんとの擦り合わせをいかにうまく進められるかがプロジェクトをスムーズに進めるための鍵となります。
上記の①決めてることを明確にする②承認フローを把握しておくを事前に頭に入れておき、社内メンバーとスムーズに擦り合わせていきましょう!
まとめ
ようやく企画が終わりました・・・
正直なところ「映像の企画なんてそんなに重くないだろう」と甘く見ていました。想像以上に時間も労力もかかります。
この記事を読んでいる皆さんは、本日紹介した内容を参考に少しでもスムーズに進めていただけたら嬉しいです。
そして、ここからは制作チームと連携して映像の制作段階に入っていきます。「考えるフェーズ終わった〜!」と達成感を感じたのも束の間、ここからまた考えるフェーズに入ります。
次回は【発注編】として、制作チームとのやりとりを紹介致します!次回もお楽しみに!
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