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『ボヘミアン・ラプソディ』だけじゃない、サッカーとロックの深いい話

『ボヘミアン・ラプソディ』だけじゃない、サッカーとロックの深いい話

伝説のロックスター、フレディ・マーキュリーの人生を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大きな話題を集めています。

フレディが在籍したQUEENの「We Will Rock You」「We Are The Champions」といった楽曲は、サッカーの世界でもスタジアムアンセムとして国籍や年齢、性別を超え、広く愛唱されています。

フレディ自身は「We Are The Champions」を作曲したときにサッカーの観客のことを考えていたと過去に語っています。劇中で見事なまでに再現された伝説のチャリティーコンサート「ライブ・エイド」の舞台となったのもまた、「サッカーの聖地」として知られるウェンブリー・スタジアムでした。

「ロックとサッカー」――
どうやらこの二つの大きな文化は、異質でありながらもとても親密な関わりを持っているようです。

中でもとりわけ結びつきが深くて印象的な5組をピックアップして紹介したいと思います。セレクトが少し古いのですがご了承いただければ幸いです。

ウェイン・ルーニーとステレオフォニックス

マンチェスター・ユナイテッドやエヴァートンで活躍したイングランド代表FWウェイン・ルーニー選手の右腕には”Just Enough Education To Perform”というタトゥーが彫られていますが、これはウェールズのロックバンド『ステレオフォニックス』のアルバム名です。

早々に学業をあきらめたルーニー選手は、この言葉にいたく感銘を受け、座右の銘としてからだに刻みつけたそうです。

プライベートでの交流も深く、バンドが新作を発表する前にはルーニー選手にデモを送って感想を求めたり、結婚式ではサプライズ演奏をしてルーニー選手を感激させたりと、仲の良いエピソードがたくさんあります。

ただ、バンドのメンバーはみなウェールズ出身。イングランド戦ではどんな気持ちでルーニー選手の活躍を見守っていたのか、いらぬ想像もしてしまいます。

Stereophonics 「Dakota」

2000年代を代表するUKロックバンドである彼らの中でも特にキャッチ―で人気の高い曲。心地よい疾走感と浮遊感にあふれ、ドライブにも最適です。

ダビド・デ・ヘアとスリップノット

マンチェスター・ユナイテッドのドレッシングルーム(更衣室)では、DJに任命された選手が試合前に音楽を流し、チームの士気を高めるのが慣わしとなっているそうです。

チーム内で人気なのは、みんなで歌って踊れるハウスミュージックやR&Bのアップテンポなナンバーなのだとか。しかしゴールキーパーのデ・ヘア選手は当時チームキャプテン兼専任DJだったパトリス・エブラ選手に、気合が入るからヘヴィメタルバンドの『ナパームデス』や『スレイヤー』をセットリストに追加してほしいと願い出たそうです。

このスペイン代表の守護神はヘヴィメタルの愛好家で、一番好きなミュージシャンは『スリップノット』とのこと。そんな彼の真剣な申し出でしたが、その後もドレッシングルームにへヴィメタルが鳴り響くことはなかったそうです。

Slipknot 「Psychosocial」

日本では”猟奇趣味的激烈音楽集団”のキャッチコピーで知られる唯一無二な彼らの渾身の一曲。

カルロス・プジョルとナパーム・デス

へヴィメタルというとこの人も黙っていないでしょう。

くるくるのロングヘア―がトレードマークのスペイン代表DFだったプジョル選手ですが、髪を切り忘れた、ただのロン毛ではありません。そこにはへヴィメタルへの深い愛と心からのリスペクトが込められています。

IBANEZ(アイバニーズ)のギターを持たせてヘッドバンキングしようものなら、きっととんでもなく凄腕のギタリストに見えることでしょう。

彼がピッチの上で表現する荒々しいファイティングスピリットを目にすると、プジョル選手が敬愛する『ナパーム・デス』の音楽が聞こえてくるような気さえします。

自宅でヤギを飼ったり、チベット仏教に惹かれヨガをトレーニングに取り入れたりと、風変わりな行動の多いプジョル選手ですが、それもきっとへヴィメタルの導きゆえのことでしょう。

Napalm Death 「You Suffer」

ナパーム・デスはメタル界ではレジェンドとして知られるイギリスのバンドです。グラインド・コアとも評されるエクストリームなサウンドが特徴ですが、東日本大震災の直後に東北ツアーを決行したり、テレビ番組『YOUは何しに日本へ?』に出演したりと、心優しい大の親日家としても有名です。

曲は代表作の一つで演奏時間はわずか1.316秒。

ウェールズ代表とマニック・ストリート・プリ―チャーズ

個人だけでなく代表チームとロックミュージックにも縁があります。

2016年に開催された『UEFA EURO 2016』は、ウェールズ代表にとって1958年ワールドカップ以来、実に58年ぶりにとなる大きな国際大会の舞台でした。

その歴史的な快挙にオフィシャル・アンセムとして感動的な応援歌を贈ったのが、ウェールズでは国民的なロックバンドとして知られる『マニック・ストリート・プリ―チャーズ』です。

メンバーはみんな大のサッカーファン。なんと曲の構想は、ウェールズがEURO2016の出場を決めた10年以上前から練られていたそうです。

1958年ブラジル戦の敗戦、出場直前で逃した1978年ワールドカップ予選の悲劇、自殺でこの世を去った自国のスーパースターだったガリー・スピードへの想い……歌詞のなかにウェールズ代表が歩んできた苦難の歴史がまるで叙事詩のように描かれており、サッカー・アンセムにふさわしい素晴らしい作品となっています。

Manic Street Preachers 「Together Stronger (C’mon Wales)」

サビでは、勇壮なメロディーにのせてガレス・ベイル、アーロン・ラムジー、ライアン・ギグスといった新旧のスタープレイヤーの名前が歌われ、ウェールズファンでなくとも熱い思いが胸の奥からこみ上げてくるはずです。

全サッカーファンにぜひ聴いてもらいたい一押しの曲です。

ボヘミアン・ラプソディと替え歌

冒頭の映画タイトルにもなっているQUENNの名曲『ボヘミアン・ラプソディ』ですが、昨年ひそかにこの曲の替え歌が話題になっていたようです。

それは、YouTubeでチャンネル登録者数が10,000人を超える外国のお笑いコンビ「The Exploding Heads」によるパロディカバーで、詞のすべてをサッカー選手、監督、クラブチーム、スタジアムの名前に替えて歌っています。

コメディアンとは思えない歌唱力の高さもさることながら、そのマニア度の高さはかなりのものです。6分近い楽曲なだけに、マイナーな名前が次から次に登場し、頭の中に”?マーク”が浮かびっぱなしになってしまうかもしれません。

すべての名前がわかる人がいたら、バロンドール級のサッカー通なのでしょうが、ちょっと怖いです。

Bohemian Rhapsody With Footballers

「エムボマ~」の歌いだしから始まるAメロ(54秒~)が、全Jリーグファンの耳に届くことをひそかに願っています。


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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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