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天気、気象データで広告を変える?「ウェザーマーチャンダイジング」の世界
2月13日、デジタルマーケティングのコンサルティング会社である株式会社ルグランは「気象連動型サイネージ広告の本格運用を開始した」とプレスリリースを発表しました。
ルグランは、西新宿エリアで「スマートポール」と呼ばれる5Gや高速Wi-Fi、センサー等が入った設備を使ったプロジェクトのメンバーであり、2022年11月よりデジタルサイネージに気象のデータを組み合わせて配信する内容を変える仕組み作りを進めていました。
気象の変化によって人の消費行動に変化は生まれる?
気象の変化が人間の消費行動に変化を与えるということは、すでに多くの企業や研究者が認識しており、そのデータを活用して商品やサービスの販売促進計画を立てることを「ウェザーマーチャンダイジング」と呼びます。
2018年の『宣伝会議』では、「雨あるいは雨のち曇り」かつ「日降水量20mm以上」という条件が両方同時に満たされる場合、百貨店の婦人服売り場の売上は減少することが分かったとされています。
皆さんの中でも、雨の日はオンラインで商品を買う、出前をとる、カフェで雨宿りをする、晴れた日は実店舗に見に行く、と天気によって行動に変化が生まれていると感じる瞬間があるのではないでしょうか。
実際に、これまでもデジタルマーケティングの世界で天気の情報は使われてきました。特にWeb広告ではすでにCookieを通してデータが使用されています。具体的に、「どこどこad」は気象データをWeb広告の出し分けに使っています。また、「駅すぱあと広告」では気温によって広告を出し分けています。
そしてその技術が今回、デジタルサイネージへと波及したのです。
気象とデジタルサイネージ
気象データの活用をマーケティング戦略の一部に取り入れると、ユーザーの心理の把握がしやすくなり、販促のための広告に反映しやすい傾向があります。
実際、暑い日には冷たいドリンクを飲みたくなって、雨の日には行く予定のなかったカフェに行って雨宿りをしたり、早く家に帰りたくなったりすると思います。
上記のように消費者である自分達の行動の起点を改めて考えてみると、気象の変化によって顧客がどう行動するのか予測を立てやすいだけでなく、消費背景も分析しやすいです。
ここからは、気象連動型サイネージ広告の具体的な事例を2つ見ていきましょう。
ルグランの気象連動型サイネージ広告事例
冒頭で紹介したルグランが実施した株式会社ゴンチャ ジャパン、日本サブウェイ合同会社のデジタルサイネージ広告です。両社から広告出稿を受けているルグランは、ゴンチャではホットティー、サブウェイではピザを寒い日に紹介するように設計しているそうです。
PR TIMESより
また、ルグランは、2025年に3,186億円まで成長が見込めると予測されている国内のデジタルサイネージ市場のうち、約2,200億円はコンテンツや広告の制作・配信システムの成長によるものと説明。
同社は、2017年に気象データを活用したファッションテックサービス「TNQL(テンキュール)」、2021年には気象に連動して広告を簡単に配信できるツール「weathermarketing.net」を開発する等、気象データをマーケティング施策に活用するためのツール開発に注力しているようです。
天気によって変化する人々のニーズに寄り添ったコンテンツをデジタルサイネージに掲出するサービスに本格的に取り組み、デジタルサイネージの市場規模の拡大と「人の役に立つ広告」の実現を目指していく、と述べています。
日本気象協会の気象連動型サイネージ広告事例
日本気象協会が実施した株式会社PORTOの「気象指数連動スポンサード広告」です。本事例では、気象情報だけでなく「熱中症情報」や「洗濯指数」等を表示するデジタルサイネージに広告枠を設けて、天気や指数の内容に応じて広告の出し分けをしているそうです。
こちらの広告では気象情報を表示してユーザーに周知するだけでなく、その情報に合わせた広告を表示できるため、通常の広告と比べてより効果的な商品・サービスの訴求が可能だと考えられています。
まとめ
このように気象データはWeb広告の枠を超えて街中のデジタルサイネージで活用され始めています。
引き続き気象データとデジタルサイネージについて、情報の進展があり次第お届けしてまいりますね。
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