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絵画と映像の融合。クリエイター必見の名作MV5選をご紹介

絵画と映像の融合。クリエイター必見の名作MV5選をご紹介

古くから絵画や美術品との意外なコラボレーションを果たした作品が数多く発表されているMV。

例えば、最近はイラストレーターの古塔つみさんが、音楽ユニットYOASOBIのMVを中心としたキービジュアルを手がけ大きな注目を集めています。また4月5日には、スマートフォンやタブレットのカメラを画集の絵にかざすことで専用の音楽再生ページへ接続される音楽画集『幻燈』をヨルシカがリリースし反響を呼んでいます。

音響芸術と視覚芸術の思いもよらぬケミストリーによって新しいスタイルの創作物が誕生する潮流は、今後もさらに加速していくことでしょう。

そこで本記事では、絵画と音楽が奇跡的な融合を果たしたアーティスティックなMVを5本ピックアップしてご紹介します!

作品紹介

①Madonna「Open Your Heart」

『注目ポイント』
・実在の絵画が登場
・名画からインスピレーションを得たメイクやファッション

自立した力強い女性像の名手として知られるワルシャワ出身の画家タマラ・ド・レンピッカ。アール・デコを代表するレンピッカの大ファンであるマドンナは彼女の絵画を四枚所有しています。

2011年公開の「Open Your Heart」冒頭では、レンピッカの作品が登場。そこに描かれた女性たちの衣装やメイクに目を凝らして見ると、20世紀を代表するセックスシンボルとなったマドンナのビジュアルイメージに多大な影響を与えていることがわかります。

MVの世界では絵画や美術品を映像の中に登場させることで、視聴者の興味や関心を惹きつける手法が古くから使われていますが、本作はその好例ともいえる一本です。

②Foxes「Love Not Loving You」

『注目ポイント』
・名画をコラージュして新しい映像作品に
・描かれた人物ポーズをオシャレに物真似

2014年のデビュー以来、唯一無二の歌声と独特の世界観、同世代からの圧倒的な支持を集める共感力の高い歌詞で新時代のポップアイコンとして君臨しているフォクシーズ。

「Love Not Loving You」のMVでは、モナリザやヴィーナスの誕生など女性をモチーフにした有名絵画が多数登場。コラージュの手法を用いて世界的な名画をポップかつオシャレに再構築しています。

絵画に描かれている女性のポーズを真似する歌姫ルイザ・ローズ・アレンのファッショナブルでキュートな魅力全開。ミュージシャンとしての実力はもちろんのこと、ファッションアイコンとして大人気なのも頷けますよね。

また、こうした身体動作による模倣ネタは、SNSで拡散されやすいため話題性を作り出すための演出としても非常に効果的です。

③Ariana Grande「God is a woman」

『注目ポイント』
・カリカチュアの技法で名画をパロディ化
・神話のストーリーを換骨奪胎

アリアナ・グランデ「God is a woman」のMVは、ロダンの『考える人』のポーズや、システィーナ礼拝堂の天上の一部を象っているミケランジェロ『アダムの創造』をパロディしたユニークな作品です。

アリアナ・グランデを誹謗中傷する男性たちが、女神と化したアリアナ・グランデの崇高さや偉大さに平伏すアイロニカルなストーリーも大きな話題となった本作。

人物の性格や特徴を際立たせるために、グロテスクな誇張や歪曲をほどこした人物画(似顔絵)を描くカリカチュアの技法によって名画を現代化した作品として捉えてみても面白いかもしれません。

④THE LETHAL WEAPONS「東海道中膝栗毛」

『注目ポイント』
・最新テクノロジーで名作をトリミング
・映像と楽曲の大きなギャップ

ハードロック、へヴィメタルやファミリーコンピューターの音楽といった、古き良き80年代カルチャーへの限りない憧れを圧倒的な楽曲センスで表明し続けているザ・リーサルウェポンズ。

彼らが2020年に公開したMV「東海道中膝栗毛」は、楽曲名の通り十返舎一九の滑稽本を最新の編集技術によって映像化した作品です。ミステリアスな映像美に目を奪われながらも、名画の世界に迷い込んだバンドメンバー二人のお茶目なやりとりと英語なまりの歌声が相まって、思わずクスッとさせてくれる内容に仕上がっています。

アメリカ生まれの“サイボーグジョー”と、彼を発明した日本人プロデューサー“アイキッド”が放つMVは、どれも笑って泣ける衝撃作ばかり。少しでも刺さった方は、ぜひ他の楽曲もチェックしてみてください!

⑤Red Velvet「Feel My Rhythm」

『注目ポイント』
・名画の構図を映像で再現
・楽曲と映像に共通する脱構築の手法

ワールドツアーを実施するなど、国際レベルで注目度が高まっている韓国の5人組女性ガールズグループ、レッドベルベット。

2022年3月に公開された「Feel My Rhythm」のMVでは、ヒエロニムス・ボスの代表作「快楽の園」の世界観を落とし込みつつ、多数の名画を万華鏡のように組み合わせることで、ひとつのカラーに染まらないRed Velvetの多面的な魅力をアーティスティックに表現しています。

油絵のようなアニメーションが印象的な冒頭は、ジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア」、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの「オルフェウスの首を見つけたニンフたち」、フラゴナールの「ぶらんこ」などの絵画をシームレスに合成したもの。

絵画の構図や登場人物のポーズを忠実に再現しているメンバーたちの動きや位置関係にもぜひ注目してみてください。サンドロ・ボッティチェリの「春」、クロード・モネの「日傘をさす女」、ジャン=フランソワ・ミレーの「落穂拾い」を確認するとメンバーの立ち位置や映像内の構図が原作そっくりになっていることが分かります。

また、楽曲もバッハの名曲「G線上のアリア」をサンプリングしたものであり、こうした絵画や美術品を一度解体したうえで再構築するアイデアは様々な創作活動で活用することが出来ます。ぜひ参考にしてみてくださいね。

まとめ

以上、絵画や美術品などとコラボレーションしたMVを紹介しました。

今回紹介した作品は古い絵画とコラボしていることが多いのですが、使用する側のメリットとして著作権を気にせず無償で使うことができるということが挙げられます。画家の死後70年が経過すると著作権が消滅するようです。

アーティストの世界観を作る上で大きな役割を担う絵画、今後もこうした手法は発展していきそうですね。


 

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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