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映像クリエイターにとってデザイン力が重要な理由【デザイン初心者向け】

映像クリエイターにとってデザイン力が重要な理由【デザイン初心者向け】

みなさんこんにちは、エレファントストーン エディターのクスミです。

日々の業務ではAfter Effectsを使用したアニメーションの制作や、アニメーション案件のディレクションなどを行なっています。

エレファントストーンへの入社前は独学で映像制作をしてきたのですが、「デザインが映像制作をするうえでいかに重要であるか」ということを紹介させていただきます。

映像制作に挑戦したい、もっと視野が広がるようレベルアップしていきたいとお考えの方は、ぜひ目を通していただけると嬉しいです。

どうして映像制作をはじめたのか。僕の自己紹介

僕は現在33歳で、映像制作に出会ったのは30歳の時です。

当時、コロナが蔓延し始めた頃、オーストラリアでのワーキングホリデーから帰国した僕は、「何か場所を選ばず稼げるスキルを身につけなくては。」と思い、とりあえず始めたのが映像制作でした。たった1回チュートリアル通りに作ったアニメーションに魅せられ「これだ。」と。

そして昨年、エレファントストーンに入社するまでは約2年間、独学でアニメーションの映像制作を勉強していました。

そんな独学していた日々のなかで、「デザインやイラスト、ディレクションもできた方が良いのか?」「どの程度まで習得するべきなのか?」と悩み、正直新しく学ぶものとして映像制作は選択を間違えたかな…とも思いました。

映像制作に限らず、なにかを学習するときに、

「何を勉強すればいいかわからなくなる。」とか
「どの程度の範囲まで手を伸ばせばよいのか悩む。」とか
「逆に手を出しすぎてもう訳が分からない。」というのは結構よくあることです。

それでも僕は今こうして、制作会社のエディターとしてアニメーション制作をやっています。

そこで今日は、

「オーストラリアから帰国後まもなくアニメーション制作に出会い、30歳独身・無職のおれが実家に1年間引きこもって独学したら世界が変わった。」

…異世界転生系マンガのタイトルかよ!みたいな日々を送った僕が、同じように映像制作を学習している方々、そして何より自分自身に向けて「もっと早く知りたかった記事」になることを目指して書いていきます。

自己紹介が長くなりましたが、いかにデザインの力を軽視できないか。つまりデザイン力は重要であるということと、最後におすすめの本やサイトを紹介できればと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

ポートフォリオサイトもあるのでぜひご覧ください。
ポートフォリオはこちら

映像制作においてデザインが持つ役割は「視聴者誘導とメンバーの意思疎通」

デザインによる視線誘導

映像制作において、デザインの力は侮れません。映像自体、連続した画なので伝えたいことを伝えるために何をどのように見せるかというのは非常に重要です。

デザインというと幅広い意味合いで使われる言葉ですが、技術的な領域でいうと主にグラフィックデザインとモーションデザインの2つのデザインがあります。映像制作をする上では、それぞれの要素を組み合わせて視線誘導を行うことが求められます。

もう少し具体的に説明します。

グラフィックデザインは、ロゴ、タイトル、背景、その他の装飾的な要素など、主にビジュアルを作成することに重点を置いています。一方モーションデザインは、これらの要素をアニメーションやトランジション(画面遷移)など、動きや時間、音をアレンジして仕上げていきます

グラフィックデザインとモーションデザインは、どちらも映像制作において重要であり、視聴者の注意を誘導する役割を担っていますが、グラフィックデザインは視覚的な合図やムードを作るために使われ、モーションデザインはトランジションをスムーズにし、ダイナミックなビジュアルを作り出すために使われます

デザインは視聴者が映像を見る前に「その映像に対してどのような印象を持つか」に影響します。良い印象を与え、雰囲気を作り、視聴者の注意を映像内に誘導するためには、よく練られたデザインが不可欠です。また、映像のメッセージを見失わないように、映像のテンポやトーンを統一するためにも重要なのです。

デザインを軸にプロジェクトメンバー同士の意思疎通を図る

また、特にクライアントワークの映像制作ではチームを組んでプロジェクトを進行していくケースがほとんどです。そのため、どの工程においてもプロジェクトメンバー同士でデザインを意識しながら行わなければなりません。

当然のことかもしれませんが、一つの映像を通してデザインの世界観や印象に「一貫性があること」はとても重要だからです。視聴者を映像に引き込むためには、視覚的に一貫性を持たせることはもちろん、デザインに合ったナレーションなど、聴覚的な面も含めて一貫性があることが大切です。デザインの雰囲気と音声に違和感があるだけで視聴者の集中が切れてしまいますが、一方で、世界観をしっかりと作り上げることができれば没入感を深め、最後まで集中して見てもらうことができるでしょう。

そのためデザインで共通認識を持つことは、各工程を担うプロジェクトメンバーとの意思疎通においても重要な役割を担っており、全ての映像クリエイターにとって必要なスキルといえるでしょう。

制作工程ごとのデザインの役割

映像制作はクライアントとクリエイター複数名で作っていくチームプロジェクトであることが多く、デザインはそのチームを束ねる重要な役割を担っています。中でも制作チームのメンバー同士は綿密に連携し、最終的にまとまりのある作品を作らなければなりません

絵コンテから編集、ナレーションに至るまで、すべての工程でデザインを意識してプロジェクトを進行する必要があるのです。

例えば絵コンテは映像制作の基本構成を示すため、シーンごとの要素やストーリーの流れはもちろん、ビジュアルデザインを含めた視聴者への伝え方を意識します。絵コンテでしっかりとデザインができているかどうかによって、クライアントへの説得力が変わりますし、制作メンバー間での意思疎通もしやすくなります。

編集においては、シーンの切り替えがスムーズであることでビジュアルデザインはより引き立ちます。そのため“動かし方をデザインする”ことには、視聴者の視線をコントロールすることでより少ない時間でより多くの情報を伝えるという役目があります。

また、ナレーションにおいてもタイミングや読み上げの速度、声のトーンや話し方がデザインにマッチしているかは、視聴者に適切な印象を与えるために重要です。そのため、デザインの世界観をしっかりと表現できているか、ナレーターさんと慎重にすり合わせながらそのデザインを仕上げていく必要があります。

全ての工程でデザインを意識するというよりかは、各工程でその映像の役割を理解し、それらを組み立てて映像全体をデザインすると言った方が適切かもしれません。

そのためデザイナーは、映像のメッセージを伝えるために、トーンに合わせたビジュアルを作成することができなければなりませんし、編集者は同様になぜその動きやテンポにしたのか、グラフィックやモーションのデザインにも理由が求められるでしょう。

結局映像制作では、どのようなポジション・作業でも“デザインすること”は切り離せませんね。

僕がデザインの参考にしたもの紹介

デザインの独学をするための情報提供をしている記事はたくさんありますが、ゼロから始める方、基本から学びたい方におすすめしたい本とオンラインの学習サイトを最後にご紹介します。

色々お伝えしてきましたが、自分自身もまだまだまだまだ勉強中です。現在はエレファントストーンで優れたグラフィックデザイン、優れたモーションデザインに囲まれながら、デザインの意識を強く持って映像制作に取り組んでいます。

デザインは、見る人の心をつかむ圧倒的なビジュアルを生み出す強力なツールになるだけでなく、身の回りのあらゆることに役立つ思考のひとつでもあります。

それゆえに身につけるのも簡単ではないですが、より映像制作を楽しむために根気強く継続していこうと思っています。

終わりに

デザインは映像制作に欠かせない要素であり、映像の良し悪しを左右するものです。映像クリエイターとして成功するためには、デザインの基本を学び、そこから応用させながら既成概念にとらわれない発想が求められてきます。

僕自身も全くの未経験からアニメーションを独学を始め、編集ソフトの使い方で精一杯だったこともあり、とにかくアニメーションの編集さえできれば良い。と思ってデザインを軽視していました。

しかし、どんなにいい動きをつけることが出来ても、色などの見た目が納得できないと映像として納得できない…!と思うようになったり、何もわからないと何をどのように動かすべきかもわからん…!とデザインの重要さに気づき、アニメーションの独学に加え、本やYouTube、オンラインの講座などでデザインを勉強し始めました。

そんな経験から、この記事では映像クリエイターにとってデザイン力が重要な理由をお伝えしました。

映像を学んでいる方々のなかで、何をどこまで学ぶべきか悩んでいる方、特にデザインを軽視していたあの当時の自分がいち早く読んでくれるのを望んでいます。(笑)

どうもありがとうございました。

この記事を書いた人

楠美雄平

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