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2010年代を彩ったご当地映画をルックバック!

2010年代を彩ったご当地映画をルックバック!

画像引用:https://lemino.docomo.ne.jp/contents/Y3JpZDovL3BsYWxhLmlwdHZmLmpwL3ZvZC8wMDAwMDAwMDAwXzAwZ3lnN3kwZGI=

こんにちは!ZOORELを運営する映像制作会社エレファントストーンです。

昨今、『80年後のあなたに』や『サンセット・サンライズ』など、地方PRの要素を取り入れた邦画が話題を呼んでいます。昭和30年代から盛んに制作されてきたご当地映画は、「地方プロモーションの先駆け」として、その土地の魅力を伝える役割を担っており、現代の地域PR動画のルーツとも言えます。

そこで、2000年以降に公開されたご当地映画を年代別(10年単位)に4~5本程度取り上げ、シリーズ連載のかたちでご紹介していきます。第2回目となる今回は、2010年代を彩ったご当地映画を5本お届けします!(第1回はこちら

2010年代を彩ったご当地映画 事例紹介

1. 書道ガールズ!! わたしたちの甲子園

【配信サービス】
Hulu、Amazon Prime Video、TVer、Lemino、DMM TV

【舞台】
四国

【作品の魅力】
2010年公開の『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』は、高校の書道部がパフォーマンス書道甲子園を通じて町おこしに挑む青春ドラマです。

「紙の町」として知られる四国・東予地域(現在の四国中央市)が舞台となっており、書道紙産業を背景に、若者たちの挑戦と地域の再興が描かれています。地元活性化×青春学園ものという構成がユニークで、町と若者の両方の“再生”を描く熱い展開が独特の魅力を生み出しました。地元紙と連携し、実際の高校生パフォーマーが出演したことで地域の注目と参加型の盛り上がりも話題に。実話に基づく熱いストーリーとエネルギッシュな演出が、多くの観客の共感を呼びました。

2. RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

【配信サービス】
U-NEXT、Hulu、Lemino、Amazon Prime Video、TVer、DMM TV

【舞台】
島根県

【作品の魅力】
『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(2010年公開)は、ご当地映画としての魅力が満載の心温まるヒューマンドラマです。

島根の“原風景”と鉄道としてのリアリティを描いた映像が素晴らしく、島根東部の田園風景や宍道湖を望む“一畑電車”(通称バタデン)が、物語に優しい郷愁と自然の美しさを与えています。とりわけ、実際の運転士が本物のローカル線を操作する手法でリアルに再現された運転シーンは白眉の名場面。鉄道映画としての没入感が高い作品です。

島根県に帰郷した中年サラリーマン(中井貴一さんが好演)が、母の入院をきっかけに人生を見つめ直し、鉄道運転士という夢に挑戦する。50代以降の転職という大人向けのテーマをあつかった物語は、世代を超えて多くの人に感動を与えました。ロングショットや電車と風景を対比させる美しい構図、宍道湖の静けさが映し出されるカットなど、観光プロモーションを制作する上でのヒントが詰まった一本です。

3. クハナ!

【配信サービス】
TVer

【舞台】
三重県

【作品の魅力】
“地方創生ムービー2.0”と呼ばれるも『クハナ!』は、三重県桑名市を舞台に、廃校寸前の小学校で子どもたちがジャズバンドに挑戦する青春映画です。映画『アンフェア』の原作者であり、『ドラゴン桜』など多くの人気ドラマの脚本家としても知られる秦建日子氏と、三重県桑名市の有志ボランティアがタッグを組み、企画から2年半をかけ完成させました 。

本作の大きな特徴は、従来のご当地映画とは一線を画し、「ただロケ地が使われただけ」ではなく、地元の人材と資源を生かした作品作りが行われている点です。地域住民の熱意が著名脚本家のハートを動かしたことで映画が制作され、そのことによって新しいコミュニティが育まれ、現在もなお桑名市で音楽のまちづくりが進む。その画期的な取り組みが評価され、「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー2016」(内閣府・農水省・経産省が後援)の地方創生大賞に輝いた本作は、映画製作が地域の未来へと続くムーブメントへと発展した好例と言えるでしょう。

4. カノン

【配信サービス】
U-NEXT、Hulu、Amazon Prime Video、TVer、DMM TV

【舞台】
富山県

【作品の魅力】
2016年公開の映画「カノン」は、富山を舞台に、母と娘たちの家族の再生を描いたヒューマンドラマ。物語の中に、県の風景・文化・産業をナチュラルに織り込んだ「ご当地映画」「地域発信型映画」の模範的な事例として紹介したい一本です。

認知症をモチーフにしたこの映画は、家族の再生を描く感動的なドラマであると同時に、富山湾、立山連峰、田園風景など、四季折々の自然が多数登場。

とくに、富山湾や伝統行事など、地域の風景も丁寧に描写しており、地元の街並み、商店街、古民家などが多くロケ地として使用することで「暮らしの中の富山」を体感できる内容に。

「観光地っぽい場所を見せる」よりも「そこに暮らす人々の温かさを伝える」ことに主眼が置かれており、結果として地方の魅力が自然に伝わる作品になっています。

5. 種まく旅人 くにうみの郷

【配信サービス】
U-NEXT、Amazon Prime Video

【舞台】
兵庫県淡路島

【作品の魅力】
『種まく旅人 くにうみの郷』(2015年公開)は、兵庫県・淡路島を舞台に、地域の魅力を映画を通して広く発信する観光プロモーション要素が強い作品です。実際に淡路市・南あわじ市を中心にロケが行われ、自然豊かな農村風景や海岸線、棚田、漁港、町並みなどが美しい映像で表現されています。

農業をテーマにした本作では、若い世代が農業の価値を再認識し、“農のある暮らし”の魅力を描くことで、移住のメリットや「体験型観光(アグリツーリズム)」の可能性を示唆する内容になっています。また、淡路島の名産である「玉ねぎ」が物語の中心的な題材になっており、農業体験・出荷風景・調理シーンなどで繰り返し登場。単なる設定ではなく、地域の基幹産業とブランド価値のPRとして非常に有効なアプローチになっています。

まとめ

ご当地をテーマにした映画には、映画という側面だけでなく地方プロモーションを考える重要なヒントがたくさん散りばめられているので、ぜひ実際に視聴してみてくださいね!

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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