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令和のアイドルはバーチャル?「VTuber」とは何か
アイドルとは、Wikipediaによると
「偶像」「崇拝される人や物」「あこがれの的」「熱狂的なファンをもつ人」を指す英語(idol)に由来する語。 稲増龍夫やカネコシュウヘイは、日本の芸能界における「アイドル」を『成長過程をファンと共有し、存在そのものの魅力で活躍する人物』
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AB
と定義している。
現代の日本のアイドルといえば、誰であろうか? 乃木坂46、韓流アイドル、いや、令和のアイドルはあなたの隣の一般人かもしれない。
『YouTube』の流行と、YouTubeを拠点に映像配信を行うYouTuberという形態は新しいアイドルの形を創出した。そして、今、そのステップはさらに進んだ。「VTuber」の登場である。
VTuberとは?
『VTuber』とは「バーチャル・ユーチューバー」の略で、「ブイチューバー」と読む。自称世界初のバーチャルYouTuber「キズナアイ」を筆頭に2018年頃に爆発的に数が増え、その人気は令和元年の今さらなる広がりを見せている。
VTuberとは、動画サイトなどで2Dや3Dのアバターを使った配信活動をしている呼称である。内容はYouTuberと変わらず、主に雑談やゲーム実況などを行っている。
バーチャルというと「初音ミクのようなキャラクターを好きに喋らせるようなもの」と勘違いされることが多い。それは大きな誤解である。初音ミクは、音声ソフトのイメージキャラクターであり、“教育”をすることで自作の曲などを歌わせることができた。「ボーカロイド」と呼ばれるものの代表例であった。
それに対して、VTuberは自分の声、自作のイラストを使って活動をする。あくまで、自分なのだ。
2016年12月1日。
全部ここから始まりました。
私を生んでくれた人間のみんな、本当にありがとうございます!
これからも未来にむかって突き進んでいくキズナアイを、どうぞよろしくお願いします。
ありがとう平成!
令和も。
あなたとつながりたい!ლ(´ڡ`ლ)💕 pic.twitter.com/HNafCntF4m— Kizuna AI@5/15 1st アルバム”hello,world”リリース! (@aichan_nel) 2019年4月30日
引用:https://twitter.com/aichan_nel/status/1123210393671880704?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1123210393671880704%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fzoorel.elephantstone.net%2Farchive%2F1614%2F
VTuberの作り方
バーチャルというともう一つ大きな誤解を受ける。それは誰しもが簡単に思い通りの理想の自分になれるというものだ。
VTuberは上述の通り、「自作のイラスト(アバター)」、「声」、そして「動き」の3つによって成り立つ。ところが、その3つが思い通りに行くかというと全くそうではないのだ。
細かく見ていこう。
1.アバター
アバターは、VTuberにとって容姿にあたる。基本的にはネット文化ということもあり、アニメに似た2DのCGが用いられることが多い。もちろん、3DCGのケースも最近は多い。3Dでは『VRoid Studio』や『blender』が用いられることが多い。
2.声
声は、ボイスチェンジャーによって変換して行う。有名なVTuberはボイストランスフォーマーであるRoland VT-4でリアルタイムに声を変換して配信している。
引用:https://www.roland.com/jp/products/vt-4/
画像はRoland VT-4、品切れが続いている
安上がりで仕上げる場合にはPCの無料ソフトウェアである「恋声(koigoe)」を使ったボイスチェンジ機能を用いる。しかし、ソフトウェアを使ったボイスチェンジは多少のラグがある。
ただし、こうした機材では不自然に仕上がったり、そもそもきちんと変換されないことも多い。「理想の声」というと声優が思い浮かぶが、声優さんのような声にするには元の声も鍛えなければならない。
さらに、男性から女性、女性から男性の声にする場合も同様で、元の声や抑揚がある程度できないと不自然さばかりが際立つ結果となる。
そのために、元の声をあえて変えないで“ギャップ萌え”を目指すという配信者も存在する。
3.動き
1で作成したモデルを自らの動きに合わせて動かすことが必要になる。これには、モーションキャプチャーの技術などが求められる。
よく使われるのは、『Face Rig』+『Live 2D』の組み合わせだ。Live 2Dは2Dの原画の画風を保ったままでキャラクターを動かすことができる。それに、Face Rigというリアルタイムで顔の表情を読みとり、キャラクターの動きに反映させるツールと併用することで自分の用意したキャラクターが自分の動き、表情に合わせて動くことができる。
この2つのソフトウェアを合わせたような『Adobe Character Animator』を使って作成されることも多い。
大事なのは、自分がキャラクターを演じる能力がなければアバターの動きも乏しいものになってしまうということだ。そのために、あえて動かさないという選択肢をとる猛者や、生放送ではなく録画して編集するタイプの者もいる。
バーチャル社会も甘くない
そう、ここまで読んだものならば気づくだろう。これは「甘くない現実世界」だということだ。
VTuberはしばしば間違った批判を受ける。それは冴えない男性が自分の理想の姿を投影してオンラインの社会で2Dキャラクターとして活躍するという現実逃避としての姿だ。
だが、現実には全くそうではない。VTuberは魅力的なキャラクターを生み出す技術、そしてそれを演じる能力両方が求められる。いうなれば、「一人芝居」に近いのではないだろうか?
2D社会でまで美少女、イケメンになれないとは世の中のなんと世知辛いことか。
当然、VTuberには人気のあるものとそうでないものが存在する。次回は有名なVTuberとその恐るべき世界を軽く紹介する。
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