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最新の展示会で見せたNHKのVR、AR活用方法が革新的
国際放送機器展「Inter BEE 2021」が11月17日開幕した。幕張メッセでは19日(金)まで、オンラインでは12月17日(金)まで開催中だ。映像についての新しい話題が盛りだくさん。お届けしたい内容が多いのだが、筆者が目を引いたのはNHKのVR、ARの使い方だ。
NHKは「Inter BEE 2021特設ページ」をもうけるほどの力の入れようだが、「未来のメディア」と題してVR、ARの活用方法を紹介している。これが非常に興味深いので紹介していきたい。
立体的な映像を見せるのではないVR、ARの使い方 「空間共有コンテンツ視聴システム」
まずはじめ、そして筆者一押しは「空間共有コンテンツ視聴システム」だ。ようはこれまでVR、ARの使い方というのはVR、ARをいかした映像をどう作るかという勝負だった。ところが、「空間共有コンテンツ視聴システム」はその逆。ユーザー側をAR、VR空間に表示しようという取り組みだ。
https://www.nhk.or.jp/strl/interbee2021/c1.htmlより
ユーザーは自分の映像がVR、AR上で表示される。そして、他の同じように表示されたユーザーと同じ空間にいることができる。もちろんユーザーとはヘッドセットを通じて会話などのコミュニケーションを持つことができる。
つまり、自宅に居ながら映像内空間に入り込んで相手と会話をしながら映像に楽しめるというのだ。
NHKによると
このシステムにあわせて、BS8Kの番組「見たことのない文化財」の世界を出演者と同じように追体験できるコンテンツを制作しました。離れた場所の家族や友人と協力して観察したい個所に懐中電灯の光をあてたり、内部の様子を一緒に体感することで、遮光器土偶のことをより深く知ることができます。
しており、特設サイトでは映像を楽しめるようになっている。
AR技術を活用した番組への没入体験
続いて特集されているのがAR技術を活用した番組への没入体験だ。「オブジェクトベース音響技術」とNHKは銘打っているが、これはZOORELでも以前紹介した「空間オーディオ(Spatial Audio)」の概念と同じだろう。
ユーザーは番組映像内を移動することができるのだが、それぞれの音の発信源に位置がありタブレットを動かすことで音の「出具合」が変わってくる。
NHKは
タブレット端末から、視点位置・視線方向の情報をオブジェクトベース音響の再生装置に送信し、視点位置・視点方向に応じた音の聞こえ方を再現します。タブレット端末の動きに合わせて、自由視点映像と音を連動させることで、より高い没入感を提供します。
と没入感の高さをアピールしている。
未来の没入型VRディスプレー
有機ELディスプレイ3枚を湾曲させて設置。NHKは「ディスプレーを湾曲させることにより、頭部を包み込むようなディスプレーを実現しました。」としている。
専用の椅子に座ると180度を映像で覆う形になり視野のほぼすべてが映像となる。つまり、これが没入感を高めるという。
https://www.nhk.or.jp/strl/interbee2021/c3.htmlより
これまでVRの欠点としてはまだまだ家庭用のヘッドマウントディスプレイでは視野角が狭いことがあった。これならば180度をカバーするのでそうしたことはない。しかし、各家庭にこれを配備することは難しく、NHKとしてどう一般に活用していくのかが気になるところだ。
それ以外にもたくさんのブース、カンファレンスが用意されている。時代に合わせてかオンラインで家にいながらにしてカンファレンスを見られるのもありがたい。絶賛開催中なので皆様も会場、オンラインで堪能しませんか?