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ミッションを追求する顧客とのコミュニケーションとは?『パタゴニア』のYouTube活用

ミッションを追求する顧客とのコミュニケーションとは?『パタゴニア』のYouTube活用

昨今では、これまでには見られなかったようなユニークな映像コンテンツを一般企業がYouTubeで公開しているケースを目にする機会が増えています。

企業YouTubeチャンネル紹介シリーズでは、BtoB/BtoC問わずその企業・事業・サービスの目的に沿うかたちでYouTubeチャンネルを活用している事例を厳選してお届けします。

今回は、エコロジカルな企業理念やスポーツと深く関連した商品プロモーションを行なっているアウトドアブランド・パタゴニア(Patagonia)のYouTubeチャンネルをピックアップしてご紹介します。

パタゴニアのYouTubeチャンネルとは?

【チャンネル創設】
2010年9月

【登録者数】
約2万5,700人

【再生回数】
約1,150万回

【概要】
『PatagoniaJP』は、クライミングやサーフィン、スキーなどさまざまなシーンで着用できるアウトドアウェアを製造・販売しているパタゴニアのYouTube公式チャンネルです。

気候変動などの環境問題に対する積極的なアクションを通し、社会における企業の存在意義を明確に宣言している同社では、YouTubeを積極的に活用しすることで、企業のパーパスにあった情報発信やブランド価値を高めるドキュメンタリー作品の公開に意欲的に取り組んでいます。

総再生回数は1,150万回、チャンネル登録者数は2万5,000人を上回り、企業のYouTubeチャンネルとしてトップクラスの水準を保ち続けています。

パタゴニアYouTubeチャンネルの特徴

『PatagoniaJP』チャンネル最大の特徴は、エコロジカルな企業理念の発信と自社利益の獲得を最適なバランスで実現していることです。

パタゴニアはビジネスの中心を地球環境の保護としています。今でこそ多くの企業が『SDGs』に対して積極的な姿勢を見せておりますが、早くから環境保護に取り組んできたことで先駆者的存在になっています。パタゴニアでは、YouTubeを通じて環境問題の解決に向けたポジティブな姿勢を示し続けることで、消費者の熱い共感を創出。視聴回数および企業価値の向上に繋げることに成功しています。

企業理念である環境問題や地球で生きることに関する映像を通して、新商品・看板商品のアピールをしているのも、同チャンネルの大きな特徴の一つです。

詳しく見ていきましょう。

企業理念を表現する動画

『PatagoniaJP』チャンネルでは、環境問題にまつわるストーリーに乗せてエコロジカルな企業理念を情熱的に発信しています。

チャンネルの中で最も再生されている本作の主役は、妥協を許さないプロフェッショナルな仕事ぶりを発揮するマテリアル開発者や製品マネージャーたち。

リサイクル素材で防水性・耐久性の高いアイテムを製造する長年の課題を解決したパタゴニア社の多大な努力を知ることができる1本です。

約42万回再生されているこちらの動画では、オーガニックコットンに対するエコロジカルな姿勢をPR。

環境危機への積極的なアクションと高い商品開発力の両立がブランドアイデンティティそしてユーザーの心をつかむ根底になっているように思えます。『SDGs』『サステナビリティ』という言葉をよく聞くようになる前から、こうしたアクションを自然に続けてきたところが素晴らしいですよね。

押し付けがましさを感じさせず、視聴者からの熱い支持を獲得している『PatagoniaJP』の取り組みは、そうした潮流の先駆的存在であり理想的なモデルケースの一つといえます。

アウトドアにまつわるショートフィルム

『PatagoniaJP』では、アウトドアを切り口にさまざまテーマのショートフィルムを20作品以上手がけています。

なぜ、商品の売り上げに直接的には結びつかないようなコンテンツをYouTubeで発信するのか?と疑問を感じる方もいらっしゃることと思いますが、社会性の高い映像作品には、新規ファンの獲得とブランドイメージの向上に寄与する明確なメリットがあります。

こちらの作品では、アメリカの大工の総人口のうち5%に満たない女性の大工にフォーカス。ジェンダーギャップという社会問題に切り込みながらも、高い構成力で視聴者を飽きさせず、強いメッセージ性にあふれた見応え満点の一本となっています。一歩一歩、じっくりと現状を変えようとするジェナ・ポラード氏の信念とパタゴニアの取り組みがぴったりと重なる点にも注目です。

鷹匠という職業の実態を取り上げた本作は、公開からわずか4週間で約10万回再生をマーク。ブランドの枠組みにとらわれない自由なテーマ設定が多方面で大きな反響を呼び、チャンネル内でも高い再生回数を記録しています。

また、『PatagoniaJP』では、上記2作以外にもアウトドアに関連する人やコミュニティ、産業用ヘンプや有機農業をテーマにしたドキュメンタリー調のショートフィルムを多数視聴することができます。

1本1本にこの地球環境で生きることへのメッセージが込められ、パタゴニアの理念を他の人のドキュメンタリーを通1本1本にこの地球環境で生きることへのメッセージが込められ、パタゴニアの理念を他の人のドキュメンタリーを通して伝えるアプローチは、どの動画にも通底しています。

スポーツを通じた商品PR

スノーボードやクライミングなど、スポーツと関わりの深いプロモーションを行なっている点も、『PatagoniaJP』のユニークな特徴の一つです。

「ハイ・エデュランスキット」をテーマに制作されたこちらの動画では、過酷な環境や極限の身体状況をサポートする同社のウエアの品質の高さを直観的に理解することが可能です。

パタゴニアブランドが、なぜ世界中のランナー・クライマーからの熱い支持を得ているのか?その理由をナレーションやテロップを使用せず映像と音楽だけで見事に表現しています。

こちらの作品では、一人のスノーボーダーの忘れられない思い出が一着のアウトドアウェアと深くリンクした心温まるショートストーリーが展開。可憐なデザインが目を引くベビー服(パタゴニアブランド)を着た赤ちゃんの姿があいくるしいですよね。

流行の移り変わりとともに消費されていく衣服とは対照的に、長い歳月とともに人から人へ受け継がれていく持続可能なウェアの尊さがよく伝わってきます。

エピソードを通して環境に配慮したプロダクトを志向するパタゴニア社の企業理念が表現されてている点にも注目です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、世界的なアウトドアブランド・パタゴニアのYouTubeチャンネル『PatagoniaJP』の取り組みをご紹介いたしました。

環境問題と深くリンクした映像コンテンツを数多く手がけているその制作スタンスは、現実的なテーマ性を帯びたプロモーションのモデルケースとして今後ますます注目度を高めていくはずです。

・企業のパーパスをどのような形で発信するか?
・社会的なメッセージと利益獲得をどう両立させるか?
・コンセプチュアルな商品アピールはどのように表現すればよいのか?

『PatagoniaJP』が公開している動画には、多くの企業が当面している諸問題を解決するヒントが詰まっているのでぜひ実際にチェックしてみて下さいね。

今後も企業のYouTubeチャンネル運用に関する情報について定期的にお届けしていくつもりです。お楽しみに!


 

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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