SPECIAL
移住定住プロモーション動画から見る“強み”の見せ方
[画像引用]えっ! ここは、大阪? -「自然に生きる」 ニューノーマル時代の移住先として、
海と山に囲まれた大阪府阪南市を動画で紹介-
ここ数年、移住定住を促進するためのプロモーションとして動画を効果的に活用する事例が増加しています。
どのような情報発信を行えば、数ある選択肢の中から「ここに住みたい」と多くの人に思ってもらうことができるのか?
移住定住プロモーション動画には、ブランディングに対する意識が高く、“強み”の見せ方・伝え方が上手な作品が多くそろっています。
そこで今回は、最近公開されたプロモーション動画のなかから、特にユニークなものを5本ピックアップして、その特徴について分かりやすく解説します。
移住定住PR増加の背景
2020年に急速に広まったテレワークに伴い、テレワーク経験者の中でも特に20~30歳代は、地方移住への関心が高まっている傾向にあります。
こうした個人の意識の変化によって地方移住関心層も徐々に増加しており、その流れと歩調を合わせるように、柔軟な勤務形態(フレックス勤務、在宅勤務等)の導入やリモート採用の拡大等、企業側でも東京圏から地方への人の流れを後押しする動きがあります。
また、本社を都市部から地方へ移転する企業も少しずつ増えてきています。
移住定住PR動画の3つの特長
①強み・セールスポイントを絞った情報発信
地方移住への関心が高まるにつれその競争も激化しています。そのため、他の地域との差別化を図るために、必然的に自身の強みやセールスポイントの見せ方が上手く、発信力の高いプロモーション事例が多くなっています。
また、昨今では自然との共生や子育てのしやすさなど、テーマやコンセプトを明確に打ち出すことでより強いメッセージを発信する試みも増加しています。
②興味関心の度合いによって異なるアプローチを展開
移住促進動画の多くは、移住に関心を持ってもらうための「移住関心層へのPR」、関心を寄せた人に対する「情報収集系コンテンツ」、具体的な検討を始めた人への「サポート動画」など、移住に至るまでの心理的なプロセスを細かく分類して、ターゲットとなる視聴者のレイヤーを明確に設定しています。
興味関心の度合いによって発信するコンテンツの種類を柔軟に選択していくアプローチは、ジャンルを問わずプロモーション戦略を考える上で非常に重要です。
③多様化するライフスタイルを紹介
昨今では、働き方に対する意識だけでなく、セカンドハウスやルームシェア、同性間のパートナーシップなど、各人が希望するライフスタイルや理想の家族観も歳月とともに多様化しています。
そうした時代の変化に合わせ、今後増えていくと考えられる新しい働き方・価値観を持つ移住希望者を想定した、各自治体の新しい取り組みを紹介する作品が多くなっています。
事例紹介
①栃木県宇都宮市「キミと一緒に育つまち」篇(30秒Ver)
宇都宮市が2022年1月に公開した移住定住・ブランドムービーでは、今も昔も変わらない宇都宮の“強み”をうまく活かしながら、従来のイメージを刷新。
緑に囲まれて住みやすく、子育てしやすく、都心からのアクセスも良好。新しくて、ワクワクする宇都宮を発見する物語を届けています。
東京から家族で引越しを考えている子どもの目線で移住定住を描くアイデアも目新しくて素敵です。
②岐阜県笠松町 移住定住プロモーション動画
2022年12月に公開された岐阜県笠松町のプロモーション動画は、笠松競馬場を舞台に若者が新たな夢を見つけるまでのストーリーを笠松町在住の大学生が制作したものです。
「その地域にしかできないことがある」
明快なメッセージを映画の予告編のような心温まるシンプルな演出で伝えています。大学生が実家に帰省する内容になっており、移住定住のターゲット層が若者というのも面白いなと思いました。
③大阪府阪南市「自然に生きよう、自然に笑おう」~Live Naturally~
大阪市内へ電車で40分。関西国際空港からほど近い阪南市の移住定住促進ムービーです。
「自然に生きる」をテーマに、阪南市に移り住むことで自然の豊かさや人のぬくもりに触れながら絆を深めていった一組の家族の物語をエモーショナルに描いています。
大都会での暮らしによって少し関係性のバランスが崩れてしまった一家の設定が非常にユニーク。プロモーションを届けたいターゲットを明確に設定していることが分かります。
大阪市内へ電車で40分とアクセスも良好でありながら、海と山に囲まれた郊外ならではの強みを4分半のストーリの中でうまく伝えた一本です。
④千葉県富津市移住定住プロモーション映像
千葉県富津市では、都心に近い「ちょうどいい田舎」をコンセプトに地域の魅力をまとめたプロモーション動画を公開しています。
本作の注目ポイントは、興味・関心の薄い層へのアピールよりも、移住を実際に検討している人への「サポート動画」としての色合いが強い点です。
映像では、富津市の特色だけでなく、実際に移住された人たちに現在の暮らしの魅力についてのインタビューをふんだんに織り込んでいます。
人気のエリアを紹介しながらも、大型ショッピングモールや小中学校の位置など家族移住者に向けたきめ細やかな情報発信は、HowTo系の映像プロモーションを制作する上でも参考にしたいところです。
⑤福岡県朝倉市移住定住プロモーション動画
移住定住促進を目的に制作された朝倉市のプロモーション作品の特徴は、届けたい視聴者の層によって内容の異なる作品を公開していることです。
朝倉市で働く人や企業の活動にフォーカスした「産業編」、都会から朝倉市に移住してきた家族の暮らしの様子をドラマ風に描いた「暮らし編」の2つの動画があります。
▼産業編
▼暮らし編
13分30秒の「産業編」は、就職・転職を希望する移住者に向けて仕事探しのアイデアがたっぷり詰まった内容になっており、自然豊かで歴史のある城下町ならではの美しい景色が印象的な「暮らし編」では、母親目線で移住生活をテーマにしたショートストーリーが綴られています。
また、ダイジェスト版も用意されており「暮らし編」の総再生回数は、50万回を超えています。
ストーリー仕立てやドキュメンタリー風のインタビューなど、想定される視聴者のレイヤーによって情報発信のアプローチを柔軟に変える手法は、ケースを問わずあらゆるプロモーション戦略で活用できるので是非参考にしてみてください。
まとめ
以上、移住定住プロモーションの代表的な例を5つ紹介しました。
町自体をブランディングする意識が高く、“強み”の見せ方・伝え方が上手な作品が多くそろっていました。見せ方もインタビュー、ドキュメンタリー、ドラマ仕立てと様々。どの町も自分たちの良さをあの手この手でアピールしています。
今後も面白い事例があれば紹介していきます!
映像制作のエレファントストーンが運営する本メディアZOORELは、映像やクリエイティブにまつわるトレンドやノウハウを発信しています。最新情報は以下のメールマガジンにて更新中。お気軽にご登録ください!