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サッカー、野球、テニス……スポーツにおけるビデオ判定の是非

サッカー、野球、テニス……スポーツにおけるビデオ判定の是非

サッカーの2019年アジアカップが開かれている。この大会では準々決勝以降、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が採用されている。動画を見るためだけの審判がおり、別室で試合の動画をチェックしているのだ。

24日、日本代表はその準々決勝でベトナム代表と戦い1-0で勝利した。しかし、最初にゴールと思われたDF吉田麻也の得点はVARによって取り消され、そして、決勝点となったMF堂安律のPKはVARで獲得したものだった。

また、同日に行われたテニスの全豪オープンでも、大坂なおみがビデオ判定を要求しそれにより決勝進出を決める一打となった。こちらは「ホークアイ」と呼ばれる審判補助システムで、テニス界では「チャレンジ制度」という名前で広がっている。

VARのような動画を使いプレーシーンを検証する試みは、サッカー界はおろかスポーツ界で広がっている。とりわけ、サッカーで取り組みが広がったのは1点が非常に重いスポーツであること、誤審が重要な試合に限って取沙汰されることが多いからだ。

多くは、マスコミの恰好の餌食となり、中には国をあげて抗議するというシーンも見られるようになった。

こうしたビデオ判定の広がりは国際舞台だけではない。日本のプロ野球でもリクエスト制度という形でリプレーを検証する制度が始まった。

2018年から導入され、今季はさらに「本塁での衝突プレー、併殺崩しの危険なスライディング」「投手の投球が頭部に当たったかどうか」「本塁打かどうかを除く、フェンス際の打球」と新たに3点がリクエスト対象に加わるという。

 

こうした動画でスポーツの判定をより確実にしよう、という取り組みは進んでいる。しかし、当然のことながらその是非もある。

反対派は、その結果を人間が裁定するというところのブレもまた人間味であり“味”であるという考え方だ。例えば、サッカー界ではかつてアルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナが本来ならば反則である手にボールをあててゴールをしたが、審判が見逃していたためにゴールと認められた。これは“神の手”として今も語り継がれている伝説となっている。

また、賛成派であったが反対派に回る人も少数派ではあるがいる。それは、リプレーを検証するということは試合の流れを断ち切る行為でもあるからだ。実際、サッカーにしても野球にしても一度試合を中断することがある。それは興ざめではないか、という意見だ。

賛成派は、もちろん未だに多い。それは、単純に現代のスポーツがかつてよりもよりスピーディでより器具類が向上する傾向にあるからだ。

そのために、同じプレーでも判定をするには目視では厳しい場面がでている。こうした時代においては、審判がいかに素晴らしい者であっても100%の正確性を持った判定を下せるかは疑問が残るからだ。

 

「動画」で振り返りができることでスポーツ界の歴史は確実に変わっている。あなたはどうお考えですか?

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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