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第46回 日本アカデミー賞受賞作品が決定!
話題賞には『ONE PEACE FILM RED』

第46回 日本アカデミー賞受賞作品が決定! 話題賞には『ONE PEACE FILM RED』

3月10日に東京・グランドプリンスホテル新高輪で授賞式が開催された『第46回 日本アカデミー賞』。

最優秀作品賞に輝いた『ある男』は、監督賞(石川慶監督)、主演男優賞(妻夫木聡)、助演男優賞(窪田正孝)、助演女優賞(安藤サクラ)などを含め、今年最多となる8つの最優秀賞を受賞。

邦画界に旋風を巻き起こした注目作としてスポットライトを浴びていますが、同時期に一般の方の投票によって選出されるユニークな賞も発表されていたのをご存知でしょうか?

そこで今回は、『第46回 日本アカデミー賞』の話題賞について詳しくお届けしていきます!

第46回 日本アカデミー賞の注目作『ある男』

『ある男』は、芥川賞作家・平野啓一郎原作 の「愛」と「過去」をめぐる、感動のヒューマンミステリー作品です。

「自分が愛していた夫は、全くの別人だった。」

衝撃の事実から始まる本作のメガホンをとった石川慶監督は、短編映画やドキュメンタリー作品などの制作でキャリアを積み、2019年に公開された『蜜蜂と遠雷』で地歩を築いた今大注目の映画監督です。

発表されている作品はどれも素晴らしいものばかりですが、特に長編映画デビューを果たした『愚行録』(2017年)は、人間の愚かさを炙り出し、邦画ファンや映画関係者から激賞を浴びた傑作です。

犯人不明のまま、世間を騒然とさせた一家殺人事件の真相とともに、周囲から理想的な夫婦と思われていた二人の本性が浮かび上がってくるミステリー作品で、ラストには予想を覆す衝撃の展開が待ち受けています。もし未見の方は、ぜひ『ある男』と併せて鑑賞してみてはいかがでしょうか。

話題賞について

1978年に創設され今年で46回目の開催を迎えた「日本アカデミー賞」。

作品賞や監督賞といった15部門の正賞とその他7部門による全22部門で構成されている日本最大の映画賞ですが、本記事でご紹介する「話題賞」はその他7部門の中の1部門にあたります。

「日本映画人による日本映画人のための日本映画の祭典を」という理念を掲げるアカデミー賞の選考は、日本アカデミー賞協会会員(日本国内の映画関係者、および配給会社の関係者)の投票によって行われています。

その一方「話題賞」は、ニッポン放送のラジオ番組「オールナイトニッポン」のリスナー投票(公式サイトの特設ページにて)で決められます。

その年にもっとも話題になったと思う“作品”と“俳優”の2つの部門からなる話題賞は、長い歴史と伝統を誇る日本アカデミー賞の中でも、映画ファンたちの意見がダイレクトで反映される唯一の賞となっています。

また、俳優部門では、実在の俳優だけでなく、声優や作品内のアニメキャラクターにも投票できる点も非常にユニークな特徴の一つとなっており、過去には『E.T.』(1983年)に登場する架空の地球外生命体が受賞したこともあります。

日本アカデミー賞「話題賞」 歴代受賞作

※「話題賞」は第1回(1978年)、第2回(1979年)はなく、第3回(1980年)以降から発表されております。ここでは、2010年以降の受賞作をご紹介いたします。

第33回(2010年) 作品部門:アマルフィ 女神の報酬 俳優部門:綾瀬はるか

第34回(2011年) 作品部門:SP 野望篇 俳優部門:岡村隆史

第35回(2012年) 作品部門:モテキ 俳優部門:前田敦子

第36回(2013年) 作品部門:桐島、部活やめるってよ 俳優部門:大島優子(AKB48)

第37回(2014年) 作品部門:真夏の方程式 俳優部門:若林正恭(オードリー)

第38回(2015年) 作品部門: るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編 俳優部門:岡田准一

第39回(2016年) 作品部門:バクマン。 俳優部門:ももいろクローバーZ

第40回(2017年) 作品部門:君の名は。 俳優部門:岩田剛典

第41回(2018年) 作品部門:君の膵臓をたべたい 俳優部門:菅田将暉

第42回(2019年) 作品部門:カメラを止めるな! 俳優部門:伊藤健太郎

第43回(2020年) 作品部門:決算!忠臣蔵 俳優部門:星野源

第44回(2021年) 作品部門:劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 俳優部門:小栗旬

第45回(2022年) 作品部門:シン・エヴァンゲリオン劇場版 俳優部門:菅田将暉

第46回(2023年) 作品部門:ONE PIECE FILM RED 俳優部門:松村北斗

2007年の『フラガール』、2013年の『桐島、部活やめるってよ』を例外として、基本的に日本アカデミー賞の最優秀作品賞と話題賞の受賞作は異なる作品が選出されています。

また、日本アカデミー賞では、一つの部門として最優秀アニメーション部門が独立していますが、話題賞ではアニメーション作品とその他の実写映画作品の区別がありません。

そのため、1980年の『銀河鉄道999』をはじめ、話題賞では最優秀作品賞よりもアニメーション作品が受賞作に輝く機会が多くなっています。また、漫画が原作の作品もとても多くなっています。

第46回 日本アカデミー賞「話題賞」 選ばれた作品/俳優は!?

【作品賞】『ONE PIECE FILM RED』

今年の話題賞に輝いたのは、総合プロデューサーを原作者の尾田栄一郎さんが担当した『ONE PIECE FILM RED』 です。

2022年8月6日(土)に公開され、コンスタントに興行収入50億前後を稼ぐ人気シリーズの中でも、198億円越えと桁違いの大ヒットロングランを記録しました。

物語のカギを握るヒロインは、世界でもっとも愛されている歌姫のウタ。彼女が劇中で歌う楽曲「新時代」は、多数の音楽番組やCMでオンエアされた昨年の邦楽シーン屈指の人気曲。CGキャラのウタが出演したCM/予告編だけでなく、『第73回NHK紅白歌合戦』でも歌われた曲なので、テレビや劇場で実際に目にした人も多いのではないのでしょうか。

なお、現在Amazon Primeで配信中。会員であれば無料で視聴することができます。

【俳優賞】松村北斗さん

今年の俳優賞は、アニメ『すずめの戸締り』で宗像草太役の声優を務め、実写版『ホリック xxxHOLIiC』では俳優として主人公の百目鬼静役を演じた松村北斗さんが受賞しています。

『すずめの戸締まり』

世界中のアニメファンが注目する新海誠監督の集大成にして最高傑作の呼び声が高い『すずめの戸締まり』。

2022年11月11日の公開からわずか7日間で興行収入27億円の大ヒットを記録し、期待を上回るセンセーションを巻き起こした昨年の邦画を代表する一本です。

俳優であり、男性アイドルグループ・ SixTONESのメンバーである松村北斗さんは、死者たちの住まう“常世”に通じる扉の「閉じ師」である宗像草太役として声の出演を果たし、高い評価を得ています。東北大震災という重いテーマが裏にある中で、主人公を演じきった姿が印象的です。

『ホリック xxxHOLiC』

累計1,400万部を突破している創作集団・CLAMPが手掛けた作品の中でも、人の心の闇に寄り憑く“アヤカシ”をモチーフにした独特の世界観からコアな人気を誇る『ホリック xxxHOLiC』。

伝説的大ヒットコミックを蜷川実花監督(代表作『ヘルタースケルター』『Diner ダイナー』など)が、艶やかで華やかな圧巻ビジュアルで実写映画化した本作は、神木隆之介さん、柴咲コウさん、玉城ティナさんを起用した豪華なキャスティングも相まって大きな話題を呼びました。

松村北斗さんは、アヤカシが視える孤独な高校生・四月一日(ワタヌキ)の同級生である百目鬼静役をクールに熱演。原作ファンからも多くの支持を得ています。

まとめ

常にハリウッドと比べられる邦画作品。邦画には日本らしいわびさびや間があり、そうしたセリフや画で語らない渋さがウリだと思っています。

そんな中で、3年連続で話題賞はアニメーション作品になりました。ジャパニメーションと呼ばれ高い評価を得ながら、近年は資金力をかける中国の躍進もあって日本アニメの危機とも捉える声もありましたが、国内で大きな盛り上がりを見せました。

今年も多くの映画作品が公開されています。『THE FIRST SLAM DUNK』をはじめ、すでに大きなヒットを生んだ作品もあり、来年の受賞作がどんな顔ぶれになるのか楽しみですね。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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