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『Paymo Biz』がサービス終了。名CMを惜しむ声多数

『Paymo Biz』がサービス終了。名CMを惜しむ声多数

6月4日、AnyPayは『Paymo Biz』を2020年3月末にすべてのサービスを終了すると発表した。

AnyPayは「わりかんを思い出に」をコンセプトに飲み会の幹事へ向けたサービスPaymoを提供していたが、これも今年5月にサービスを終了していた。今後は投資事業が中心になるのではないかと見られている。

電子マネーによる決済サービスはPayPay、Line Payなどの登場により一気に激化しており、サービス競争が激しくなる中での撤退とみられる。

サービスを映像化する

しかし、2017年1月にPaymoのサービスが登場した当時は革新的なサービスであった。飲み会の際に幹事が大多数から集金をするのは非常に面倒くさい。誰からお金を集めていない、お釣りはー、そうした問題をアプリによる個人間の送金で解消しようとしたのだ。

だが、そのサービスを言葉にするのは少々面倒だ。

そこでPaymoは映像に多額の資金を投じたのだ。

これが当時業界を震撼させたPaymoのCM?、PV?である。3分程度の映像は「一発撮り(カットせずに1回で全てのシーンを撮る)」とも、「一発撮り風に見せている」とも言われている。また、CGを一切使っていないのでテーブルクロス引きも実際に成功させていると思われる。

CMと考えれば長い映像であるが、サービス内容と連動しており訴求力が高く、モデルの子も可愛く時間を感じさせない。

楽曲「それでいいの!」はフレンズのボーカルであるおかもとえみが歌い、トラックは江本祐介(本人曰くラップでも参加しているとか)が手掛けた。

当時、タクシーに乗るとこのサービスのCMが流れてきたので、「割り勘アプリって何ぞや?」と思いながらもDLした覚えがある。

実際にYouTubeでは250万回以上が再生され、SNSを通して口コミで人気が広がっていった。

アプリをDLしてもらうには? その答えが映像だった?

Webサイトと違い、アプリを普及するのは非常に難しいと言われている。

Webサイトは流入口がGoogle、Yahoo!、外部配信など多岐にわたる中で、アプリはiPhoneでいえばランキングしか大きな窓口がないからだ。

そのためにWebサイトでは1000万、2000万とPVのあるサイトでもアプリは苦戦しているとか、先にまだアプリがない時代にアプリを出したことで先行者利益で人気のあるアプリもある。

広告代理店と話をすると、アプリをDLさせるには例えばお金を払って広告を打つしかないと言われる。しかし、その多くがDLしたらxxポイントキャッシュバックみたいなキャンペーンを打つことの提案である。

もしくは、DLしてもらうにあたり「サービスをよくするためにシステムにお金をかける」とか「人員を強化しよう」という考えを持つだろう。

その中で、割り勘アプリという新しいサービスを訴求させ、調べてもらう策として「映像」を作るというのがAnyPayの策だったと考えられる。

映像で訴求することでアプリの認知度を高めるという手法は、非常に効果的だった。それだけに、センスのある会社のサービス終了は一抹の寂しさを覚える。

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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