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「デザイン」から「ブランドづくり」へ——
シカタ株式会社に聞いた、創業の経緯『お客様の価値を最大化する』

「デザイン」から「ブランドづくり」へ—— シカタ株式会社に聞いた、創業の経緯『お客様の価値を最大化する』

エレファントストーンは、ここ数年でお客様から「ブランディング動画」の制作依頼をいただくことが増えてきました。「ブランディング」の奥深さと重要性を痛感していた矢先、ご縁をいただいたのが、ブランディングデザインを手がけているシカタ株式会社さんです。

190年の歴史を持つ「角田清兵衛商店」のブランディングや、新しい食器のあり方を問い直したライフスタイルブランド「LBB」のブランディングなど、幅広い企業や商品、サービスのブランディングデザインに携わってきた実績をお持ちです。

今回は同社の代表取締役兼ビジネスデザイナー 北本さんと執行役員兼ビジネスデザイナー 永田さんの2名にご協力いただき、弊社の代表 鶴目、ディレクター 嶺、プロデューサー 西牟田を含む計5名で「ブランディング」についてトークセッションを実施しました。

「デザイン」と「映像」、異なる分野ながらも「ブランディング」という言葉を軸に見えてきた共通点。私たちが企業のブランディングに携わる意義とは何なのか。前編・中編・後編のシリーズでお届けします!

お客様のブランディグに『デザイン』『映像』の会社が携わる意義【前編】

=シカタ
=エレファントストーン

ファシリテーター 西牟田
本日はよろしくお願いいたします!まずは、シカタ株式会社さんの成り立ちについて教えていただきたいと思います。

「ビジネスデザイナーという肩書きが特徴的だと感じたのですが、北本さんはデザイナーのご出身ですよね?」

北本「実は法学部出身でして、もともとはデザインのキャリアを積んでいなかったんです。大学に行きながら夜間の専門学校に2年間通った経験を基にいくつかのデザイン会社を受けました」

シカタ株式会社 代表取締役兼ビジネスデザイナー 北本浩一郎 様

「法学部のご出身とは驚きました」

北本「そうなんですよ。2001年に西麻布にあるデザイン会社に入社して、4年ほど映画関連のポスターやパンフレット、DVDなどのデザインに携わった後、関西の広告会社で大手企業のお客様を対象にさまざまなお仕事をさせていただきました。

当時は厳しい指導を受けながらも楽しくデザインの仕事をしていましたが、ご依頼いただいた会社の誰の意見や要望を反映しているのか認識がしにくかったですね。そういう状況下でしばらくデザインをしていると、“お客様に対して本当に価値のあるデザインを提供できているのだろうか”と危機感を抱くようになりました。

そこで、自分の考えるデザインのあり方を探っていくために代官山にあるブランディングデザイン会社に入社しました。そこでは経営者や事業責任者の方と直接お仕事をさせていただき、ネーミングやロゴ、名刺、封筒、カタログ、Webサイトなど、会社や事業のツール一式を担当していました。

お客様と顔を合わせて綿密なヒアリングをし、デザインを通してアウトプットをする。“これこそ本来デザインのあるべき姿”だと思ったとともに、日本の企業はもっともっとブランディングを行っていく必要があるのではないかと思うようになりました」

ファシリテーター 西牟田
そこでのブランディングのご経験が、現在のシカタ株式会社さんの事業や価値観に通じていらっしゃるんですね。

北本「はい。その会社では約5年、多種多様な業界・業種のお客様とお付き合いをさせていただきました。

そうした中、会社や事業のツールを制作、納品して終わりというワークフローと、自分の思い描くブランディングの概念に少しずつ隔たりを感じるようになったんです。デザインを始める前のお客様との関わり方や、ツールの納品後にも責任を持つべきではないだろうかって。

もっと経営の中心からブランディングに携わることができれば、お客様に対してより高い価値を提供できるはずだと思い、2013年4月にシカタ株式会社を立ち上げました」

社名の「シカタ」は、代表 北本さんの出身地である兵庫県加古川市”志方町”に由来しており、お客様の志す方向へ伴走していくという意味が込められている

「立ち上げ時はお一人だったのでしょうか?」

北本「一人でした。そこから徐々にスタッフが増えていき、執行役員という役職は永田がはじめてです。私はデザイナー出身でお客様から依頼を受ける側だった一方、永田はブランドを提供する側にいた経験があるので、お客様への提案についても、お互いの視点から補完し合えるんですよ」

シカタ株式会社 執行役員兼ビジネスデザイナー 永田大介 様

永田「私は営業出身なので、鶴目さんと通ずる部分もあるかもしれません。以前は飲食事業を展開している企業や、北欧の有名食器ブランドを取扱う企業で働いていました。

飲食事業を展開している会社がちょうど大きな成長フェーズにあった当時、全社員に共有されたのがいわゆる“企業理念”“ビジョン”“行動指針”の三つでした。企業ブランディングの主軸です。

単純に紙ベースのテキストで伝えられたのではなく、イメージビジュアルと音楽に合わせてその“企業理念”“ビジョン”“行動指針”がスクリーンに映し出され、社長が熱い想いを込めて詩を詠むように読み上げる。帰り際には一人一人、社長から手渡しでその三つの言葉とイメージビジュアルが描かれた手帳が渡されました。今思えば“クレド”と同じ意味合いですね。

日増しにその三つの言葉が会社と社員、店舗とサービスに浸透していくのを実感しました。言葉の力でみんなの考え方やマインドが一致していく状況は貴重な体験だったと思っています」

ファシリテーター 西牟田

デザイナー出身の北本さんと営業出身の永田さん、それぞれ異なる立ち位置から”ブランディング”に出会って今に至るわけですね!
シカタ株式会社のブランディングの取り組みについてお話を伺っていきたいと思います。創業当初からブランディングにも携わっていらっしゃったのでしょうか?

北本「ゼロから事業をスタートして、人のつながりを通じて仕事はどんどん増えていきましたが、当時はいずれもデザインの案件でした。

それでも、ブランディングの重要性をお伝えするように心がけていました。どのようなツールのデザインであっても納品して終わりにならないように、『こういう風にするのはいかがでしょうか?』とどんどん提案していくんです。

『そこまでは結構です』と断られることのほうが圧倒的に多かったですよ。でも、そうした提案を通じて徐々に関わらせていただく範囲が増え、現在のように川上から川下までビジネス全体のデザインをお任せいただけるお客様が増えてきたというのが経緯としてあります」

鶴目「一つの実績ができると、それをもとに説得力のある話ができるようになりますよね。実績が次の実績を生んでいく。積み重ねだなっていうのは強く感じます」

北本「実績ができると自信にもつながりますよね。そして、先ほどお伝えしたように永田が営業出身なので、会社や事業のツールを納品した後にどのように展開していくかといった相談もできます。そうした意味でも幅広く提案できていますね」

永田「長年の営業経験は強みになっていると思います。お客様が何を考えているか、何を求めているのか。さらに言えば、それすらお客様は気付いていない、わからなくなっている事が多いと思っています。そういった時に『本当に必要なものはこれではないでしょうか?』と提案する。

それがまさに求めているものであれば、より深い信頼関係が構築できるので、本質的な問題解決に繋げられると思っています。

『営業』という言葉は、モノを売りつけられるような印象を抱かれる方も多いので弊社では使っていませんが、営業側の視点を持ってお客様の気持ちを汲み取ることは重要な役割だと認識しています」

「永田さんがおっしゃっていた、“お客様に何をしてあげられるだろうか”という視点やスタンスを僕らも持っています。それは営業出身の鶴目の影響を少なからず受けているのかもしれません」

鶴目「『映像会社』といいながらも、社内に編集機能を持っていない企業は多くあります。実は創業当時はそのようなビジネスモデルを考えてはいたのですが、やっぱり自分たちでクリエイティブを作っていきたいなと思ったんですよね。

テンプレートのような映像を作るのであれば、いくらでもシステム化できます。でも、弊社が制作しているような『ブランディング動画』となると、映像技術、編集技術というスキルも重要ですが、お客様の業界や会社を深く理解することや、お客様に接するスタンスも同じくらい重要なんですよ。

いくらスキルがあって優秀な方でも、そうした温度感が一致していないと、お客様からの信頼を失いかねないなと。そういった意味では、自社のブランディングもしっかりしていかないといけないな、という課題感があります」

ブランディングトークセッションはまだまだ続きます!
中編:ブランディングってそもそも何? 「デザイン」と「映像」の会社がお客様に提供できる価値
後編:シカタとエレファントストーン、ブランディングを軸に考える両社のこれから


 

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この記事を書いた人

秋山真衣
エレファントストーンの経営戦略室 ブランドマネジメント課 マネージャー

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