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PR動画のメリットとつくり方のポイント
近年、多くの企業や自治体が、提供するサービスやその地域の魅力を認知してもらうための取り組みとしてPR動画を制作しています。企業や地域独自の魅力を訴求したPR動画は、急速に普及が進むSNSとの相性がよく、より多くのターゲットにアプローチしやすいコンテンツの1つになっています。例えば、宮崎県小林市の以下の移住促進PR動画は、YouTubeで公開された後Twitterで話題となり、現在は300万回再生を記録しています。
▼宮崎県小林市 移住促進PRムービー “ンダモシタン小林”
NHKの特集によると、この動画がきっかけで小林市は国内の多くの人から認知を獲得し、移住の問合せ件数の増加やふるさと納税の寄付額の増加にも繋がったそうです。
参考:https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/5419.html
そこで本記事では、上記のようなPR動画のメリットやつくり方のポイント、活用事例などをご紹介します。「何を参考にPR動画を作成すればいいのか悩んでいる」「事例やつくり方のコツを知りたい」という方はぜひご参考にしてください。
PR動画とは?
PR動画とは「企業や地方自治体が商品・サービス・地域の良さや魅力を伝えるために活用する動画」のことです。 そもそも「PR」はpublic relationsの略語で、「パブリックリレーションズとは、組織体とその存続を左右するパブリックとの間に、相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持するマネジメント機能である。」と定義されています。
PRを「宣伝」と捉えていたという方も多いかと思いますが、ここでいうPRとは、商品・サービスの売り込みを指す言葉ではなく、企業や地方自治体の存在を好意的に受け入れてもらうことを意味します。ただ、実際はPR動画を宣伝のための動画として扱っている場合も多いため、PR動画としてつくったものを販売促進の手段として展開しているケースもあるでしょう。
PR動画には色々な活用方法が存在するため、ここからは実際に企業や地方自治体がどのように魅力を伝えているのかをご紹介します。
PR動画のメリット
PR動画を上手く活用すれば、企業の商品やサービス、地方自治体の魅力を幅広く認知してもらうきっかけになり得ます。実際にPR動画を活用するメリットには以下が挙げられます。
・短時間で、多くの情報や魅力を宣伝できる
・視覚・聴覚で伝える情報は、記憶に残りやすい
・カタチのないコンセプトや魅力を表現出来る
・SNSとの相性がよく、シェアによる認知拡大が狙える
それぞれについて詳しくご紹介していきます。
短時間で、多くの情報や魅力を宣伝できる
1分間の映像は、文字情報に換算すると180万文字分の情報量をもっていると言われています。静止画像やテキストによるコンテンツに比べ短時間でも多くの情報を伝えることが可能です。そのため、1分という短尺の商品PR動画でも、商品の機能説明、使用イメージ、開発者の想いなど、文章では伝わりにくい商品の魅力を充分に届けることができるでしょう。例えば展示会等でPR動画を利用すればパッと見ただけでどんな商品なのかを伝えることが可能なため、展示会来場者がブースに興味を持つきっかけをつくることができるでしょう。
視覚・聴覚で伝える情報は、記憶に残りやすい
言語情報と比較して視覚情報や聴覚情報は、より人の記憶に定着しやすいと言われてます。PR動画は、画像や文章よりもダイレクトに視覚、聴覚に訴えかけることができるため、視聴者に大きなインパクトを残すことに繋がります。例えば、観光PR動画の場合、文章や口頭では伝わりにくいその土地の空気感や美しい風景を映像化することで観光地の魅力を印象付けることができます。訴求したい内容をPR動画として展開することが、視聴者への魅力づけのきっかけになるでしょう。
参照調査:メラビアンの法則とは?【例をわかりやすく】第一印象
カタチのないコンセプトや魅力を表現出来る
PR動画は言葉では説明しにくいコンセプトや魅力を表現することができます。動画を活用すれば、実写撮影やイラスト、アニメーションで伝えたいことを表現することが可能なため、文字だけでは理解しにくい魅力も伝わりやすいです。例えば企業のフィロソフィーや観光地の風景、名産品の魅力などが該当します。企業や地域独自のかたちのない魅力を伝えやすいという特徴はPR動画ならではと言えるでしょう。
SNSとの相性がよく、シェアによる認知拡大が狙える
SNS上でPR動画は相性がよく、うまく活用することで企業や地方の認知拡大にも繋がるでしょう。視聴者が没入しやすい要素やトレンド感、話題性がある要素が入ったPR動画は、視聴者の共感を呼び、SNSで拡散されやすいです。例えば、以下の事例は、誰もが共感できるような辛い「あるある」をコミカルに表現した動画です。この動画には再生時間が3分間なのでチキンラーメンをつくっている時間を楽しみながら待てるという特徴もあります。2022年8月時点で1,700万回再生されており、SNS上でも「ツボに入った」「面白い」とたくさん拡散されています。
チキンラーメン アクマのキムラー「プッツンタイマー」
SNSには、リツイートやシェアといった機能があることが多く、自分のフォロワーに自分が面白いと感じた情報を気軽に共有する文化があります。この特性を活かし動画の拡散を促すことで、効率的に認知拡大を実現できるでしょう。
参照記事:バイラル動画の特徴と拡散された動画の事例
PR動画をつくるためのポイント
次に、PR動画を使った施策を成功に近づけるためのポイントをご紹介します。PR動画を公開するまでの大きな流れとして「企画 – 撮影 – 編集 – 配信」があります。その中で特に重要なのは「企画」です。なぜなら映像制作における企画は設計図のようなもので撮影 – 編集等、多くのプロセスがこの企画に沿って動くからです。そこで具体的に企画を3つのポイントに分解して解説します。
PR動画をつくる目的を明確にする
まずはPR動画の目的、つまり「動画を通して実現したいこと」を明確にしましょう。目的が不明確な場合、どのようなメッセージを伝えたいのかが曖昧なPR動画になってしまうので注意する必要があります。例えば、企画するときにこんな目的が挙げられると良いかもしれません。
・企業のリブランディングを行い、先進的・革新的な企業だと思ってもらいたい
・新商品を多くの人に知ってもらい、サービスの魅力や使用効果を印象付けたい
・市町村や都道府県の魅力を伝え、観光に来てもらいたい、または移住してもらいたい
このように「PR動画を見ることで、どのような状態になってもらいたいか」という目的を整理することで、伝えたい相手に訴求しやすいメッセージやコンセプトが決められるでしょう。
PR動画のターゲットを明確にする
次に、PR動画のターゲット、つまり「視聴してもらいたい人」を明確にしておきましょう。ターゲットによって適した訴求内容は異なるため、ターゲットに刺さるポイント・演出を考慮したPR動画を作成することが重要です。もしターゲットがあやふやなままPR動画をつくってしまうと、伝えたいメッセージが刺さらない可能性があるので注意しましょう。例えば以下のように、つくる映像によって様々なターゲットが考えられます。伝えるべきポイントや与えたい印象も合わせて整理すると、ターゲットに期待する行動変化を促す動画に近づけることが出来ます。
「企業PR」の場合のターゲット
企業PRの場合、ターゲットは新たに自社を知ってもらいたい層や、認知はしているが自社を正しく理解してもらいたい層が考えられます。具体的には、消費者、クライアントやパートナー企業、そして求職者が挙げられるでしょう。
「商品/サービスPR」の場合のターゲット
商品/サービスPRの場合、ターゲットは商品やサービスを利用しそうな層、使ってもらいたい層が考えられます。具体的には、潜在顧客、検討客、顕在顧客の3つの層等が想定できるでしょう。
「地方自治体の観光PR」の場合のターゲット
地方自治体の観光PRの場合、ターゲットは地方へ観光に訪れたい層や訪日外国人が考えられます。例えば都市部に住む人々や海外からの観光客などが該当します。また、ターゲットが日帰りなのか、連泊なのかを想定しておくのも良いでしょう。実際の旅行者の行動を予測しておけば、よりターゲットが参考にしやすい動画になるよう、企画を検討できます。
「地方自治体の移住促進PR」の場合のターゲット
地方自治体の移住促進PRの場合、ターゲットは地方移住を考えている層が考えられます。例えば、都会の生活に疲れた人や、自然に囲まれた環境で暮らしたいと思っている人、家族のことを考えて住環境を改善したい人、地方の産業や文化に興味がある人などが想定できるでしょう。
つくりたいPR動画のイメージを明確にする
PR動画のイメージ、つまり「映像の雰囲気や演出」を明確にして動画制作に関わる人と共通認識を持ちましょう。「漠然とかっこいい動画にしたい」という要望を動画を制作する人に伝えても、その「かっこいい」の定義やイメージは人それぞれです。そのため、事前に共通認識を持っていない場合は完成した動画が想定とは異なるものになってしまう可能性があります。イメージ通りのPR動画を作成するためにも、次のような手順で、つくりたいPR動画のイメージを整理すると良いでしょう。
・イメージに近い、または参考になるような動画や画像を用意する
・競合他社が配信している動画をリサーチする
・PR動画に盛り込みたい要素をまとめる
例えば、都内在住の30代男性をターゲットとする新自動車のPR動画を制作するのであれば、以下のようなイメージで進めていくと良いでしょう。
・過去に世の中で公開された自動車CMや、自動車の登場する映画のワンシーンで、気になるものを用意する
・競合他社のCMを参照してそのワンシーンにある「疾走感」「スピーディ」な印象を自社でも訴求したい、言語化する
・PR動画に盛り込みたい要素として「運転する30代男性」「道路を走る新自動車」「都内を走る様子」「企業ロゴ」と列挙する
また、どのような色味やフォントにしたいのかをまとめておくと良いです。そうすることで、制作に関わる人が共通の動画のイメージを持ちやすくなるでしょう。
目的ごとのPR動画活用シーン
今回は弊社エレファントストーンの制作事例の中からご紹介いたします。
企業紹介PR動画
株式会社コメダ
この動画は株式会社コメダが行っているサステナビリティ活動を紹介するアニメーション動画です。動画の目的は、会社が大切にしている「くつろぎ」のこだわりを店舗スタッフに日々の接客で体現してもらうことと、会社のサステナビリティ活動の理解を浸透させることです。企業のサステナビリティ活動は具体的に想像しにくい面がありますが、アニメーションを用いながら親近感のあるストーリー調で進めることで企業の取り組みを楽しみながら理解してもらえるようにしています。アニメーション表現を用いたPR動画は、文章ではイメージしにくいメッセージや企業の取り組みを分かりやすく伝えたい時に活用すると良いでしょう。
商品PR動画
株式会社スピークバディ
この動画は株式会社スピークバディのAI英会話アプリを紹介するPR動画です。ターゲットとしたユーザーにアプリを紹介することを目的に制作しています。こちらの動画では女性タレントを用いて、英語学習への意識が高い層が自宅で簡単に英会話学習ができることを訴求しています。また、実写パートの途中にアニメーションを用いることで、可愛らしい印象を与えアプリの世界観を表現しているのもポイントです。どのような演出や表現が動画を見てもらいたいターゲットに訴求できるのかを参考にすると良いでしょう。
観光PR動画
株式会社小田急エージェンシー
この動画は株式会社小田急エージェンシーの観光PR動画です。外国人観光客に向けて小田急電鉄を利用した観光をPRすることを目的に制作しています。視聴者が実際に旅行する姿をイメージしやすいように、旅する人物の後ろ姿を登場させ各観光地の紹介をしています。映像にはタイムラプス、ハイパーラプス、ドローンといった手法を取り入れ、ダイナミックかつ実際にその場所を旅しているかのような臨場感が味わえる仕上がりになっています。旅行者目線でリアルな観光地の魅力や情報を伝えている観光PR動画としておすすめの事例です。
移住PR動画
熊本県長洲町役場
この動画の目的は熊本県長洲町役場のIターン・Uターン促進です。視聴者が移住先での暮らしをイメージしやすくなるよう、地域を観光地的に紹介するのではなく、長洲町の風景や子供たちの学校生活、漁業や工場の仕事の様子、家庭の食事の場面等を映し、どこか懐かしさを感じさせ視聴者に共感してもらいやすい映像に仕上げています。
Iターン・Uターンの促進を目的としている場合は、上記の映像のようにその地域のありのままの人々の暮らしや土地の魅力を訴求し、映されたシーンを視聴者に自分ごと化して捉えてもらいやすくするのもおすすめです。
まとめ
今回は、PR動画のメリットや効果的なPR動画を作成するポイント、目的ごとのPR動画活用事例についてご紹介しました。まずはじめに「何を、誰に伝えたいか」「具体的に誰に伝えたいか」「どこで視聴してもらいたいか」「どんな内容にしたいか」を整理することが、PR動画の成功に繋がります。
私たちエレファントストーンは、様々なお客様の目的の整理からしっかりと向き合って、お客様の想いを形にする映像づくりをしています。「PR動画をつくりたいけれど、目的やターゲットの整理ができない」「そもそも伝えるべき魅力が分からない」と思ったときは、まずは弊社にお気軽にご相談ください。映像の目的やイメージ、ご予算などをお伺いし、それに合わせた「松竹梅」のオリジナルプランを無料でご提案させていただきます。皆様からのご連絡をお待ちしております。
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