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富山では映像を学んで作れる施設がある

富山では映像を学んで作れる施設がある

ここ最近、映像を活用して「シティプロモーション」や「まちおこし」を行う自治体の取り組みが盛んになっています。

前回は、“映像のまち”として観る・撮る・創るが一体となった川崎市の事例を取り上げましたが、今回は映像を通して生きがいとうるおいのある生活づくりを行っている富山県の取り組みをご紹介。

映像づくりにおいて参考になる点が多いので、ぜひ実際に視聴してみてください。

プロから映像づくりを学べる富山県映像センター

富山県の取り組みの特徴は、まちのコミュニケーションツールとして創設された「映像センター」を通して、地域の暮らしに深く映像が浸透していることです。

“まなぶ・いかす・つくる・あつめる”をコンセプトに映像を活用した文化・学習活動を行う同施設は、地域の生涯学習支援の一環として平成5年に開設され、これまでさまざまな取り組みを行っています。

まなぶ

・110インチある高精細のハイビジョンを使用可能なハイビジョン学習室を設置。
・映像センターが所蔵する貴重な映像資料や優れた映像を一般公開し、あわせて映像フェスティバルも開催。
・16ミリ映写機技術認定講習会を実施。映写機の使い方を学習した地域の人々が、学校や公民館活動等での映写会で16ミリ映写機を積極的に活用。
・映像制作やビデオ編集を学ぶ講座を定期的に開催

前回ご紹介した川崎市と同じく、自治体が映像制作のレクチャーを積極的に行っているのが興味深いですね。

映像制作講座は、プロのもと一日で短編作品をつくることにチャレンジする内容になっていて、基本的な映像制作と編集テクニックを学習できるように企画されています。

また、撮影・編集だけにとどまらず、著作権の問題や映像ナレーションのテクニックを学習できる回もあり、身近にあったら絶対に参加したいなというのが率直な感想です。

多くの人が気軽に動画づくりに取り組む“映像文化のいま“をよく反映しているように思えます。

いかす

・ビデオ撮影や映像編集・活用等に関する地域の人びとの相談に無料で対応。あわせて映像関連の情報提供・収集も。
・センター所蔵の16ミリ映画・ビデオテープ・DVDなど豊富な映像リソースを貸し出し、文化・学習活動を支援。
・300本あまりのふるさと富山に関する映像のなから自由に選択して視聴可能な“ふるさとブース“を館内に設置。

この“ふるさとブース”の取り組みで面白いは、地域の人びとが撮影した「旬の富山」の映像を募集して一般公開するだけでなく、DVD化して貸し出しまで行なっていることです。あわせて自主映像作品のフェスティバル「県民カレッジ学遊祭」も定期的に開催されています。

自分の撮影した映像が上映されたり、コンテンツ化されて地域の人びとに共有されたらうれしいですよね。また、映像を創ろうという意欲もますます湧いてくるはず。高齢の方に映像づくりに関心を持ってもらうきっかけにもなるので、ぜひ他の自治体にも波及してほしい取り組みです。

つくる

・ノンリニア編集機12セット、リニア編集機2セットを備えた映像工房でメディア指導員や職員が実際に制作をレクチャー。
・富山県民の生涯学習に資する映像コンテンツを地域の人びとのボランティア活動を通して制作。
・ふるさと富山の自然や暮らしに関する映像コンテンツを、高精細のハイビジョン静止画ソフトやデジタル動画学習教材として制作。

ノンリニア・リニアの両編集機で、直感的にインジェスト・トランスコード〜テロップ入れ・カラコレ・MAといった撮影から作品完成までの一連のプロセスを制作できる環境は、正直羨ましいです。しかも、メディア指導員の方に直接レクチャーしてもらえるというのですから贅沢です。

YouTube動画の編集にも役立つことが多いので、映像制作の仕事とは無関係な一般ユーザーまで広くアピールできますよね。

また、こうした映像環境の素晴らしさは、映像センターが制作した郷土学習教材「とやまの川の物語」は、全国地域映像コンクールで2年連続のグランプリを受賞していることからも証明されています。

あつめる

・ふるさとの歴史ある景観や伝統のまち祭り、何気ない暮らしの風景、人びとの営みをおさめた映像作品を募集し「富山映像コンクール」を開催。
・ふるさと富山に関するさまざまな映像を収集し、現在2000点近い映像素材をライブラリーに登録。動画をリモート編集できる最先端のシステムも完備。

川崎市では、所有する貴重なモノトーンの映像資料を彩色化する取り組みが行われていましたが、富山県でも公私を問わずさまざま映像リソースをアーカイブ化する試みがなされています。

また、前述の自主映像フェスティバル「県民カレッジ学遊祭」だけでなく、シティプロモーションにも繋がる上述の「富山映像コンクール」や若手クリエイターの育成・発掘を目的とした「富山県大賞」をはじめ、さまざまな映像フェスティバル・コンクールを自治体みずから主催しています。

富山映像大賞2017『Baby Sitter』

こうした地道な取り組みが実を結び、富山県から多くのクリエイターが輩出されることを期待せずにはいられません。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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