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10年先を行く!? 中国のライブコマース事情

10年先を行く!? 中国のライブコマース事情

みなさん、ライブコマースを活用されていますでしょうか?

現地のショップに出向くことなく、オンライン上で商品を購入することが当たり前となった現在。オンラインでのライブ配信とEC通販ビジネス(インターネット販売)を組み合わせた次世代型の販売サービスとして注目されているのが、「ライブコマース」です。

今回は、「10年先を行く」とも言われるライブコマース先進国・中国で人気を集めた実例を取り上げながらご紹介。少し説明的な文章が多くなっていますが、100以上の市町村がコロナ禍で苦境に立たされている地域の特産品を販売したりと、中国のライブコマース市場にはシティプロモーションにも繋がる視点があるので、ご一読いだだけると幸いです。

オンライン接客が魅力。ライブコマースとは?

ライブコマースと言われても、利用されたことがない方は、「どんなものなのだろう?」と少し想像しづらいですよね。ついこないだまで私もそうでした。

そんな場合は、コメント欄を通して販売者とコミュニケーションを取りながら購入を決断するネット版テレビショッピング、あるいは「モノ・コト」の販売に特化したニコニコ生放送やYouTubeのライブ配信をイメージしていだだけると分かりやすいかもしれません。

実際に体験してみると、商品説明や質疑応答といったショップでの接客と同じようなサービスをオンライン上で享受することができて、筆者もちょっとした感動を味わいました。

対面接客スタイルの販売が困難なウイズコロナ時代において、「ライブコマース」は中国を中心として世界的に拡大傾向にあり、近い将来はECサービスの中核的なビジネス形態になるだろうとの予測もされています。

日本ではメルカリがいちはやく取り入れていたもののサービスは中止に。「ライブコマース」の一般的な認知度はあまり高いとは言えませんが、百貨店やアパレルブランドでも徐々に導入が進んでおり、今後のさらなる広まりが期待されています。

なぜ人気? ライブコマース先進国・中国

インターネット利用者が10億人に近いともされる中国では、その約6割にあたる6億人以上のユーザーがライブコマースで「モノ・コト」を購入した経験があると言われています。

ライブコマースの導入を2016年からスタートさせた中国では、各種イベント・フェスティバルの開催とともにWeChatやT-mall、タオバオなどを活用したライブコマースが行わる風景がごく当たり前の日常として定着しました。

かつて記事で軽く触れましたが、過去最大の収益をあげたことで大きな話題となった「独身の日」(毎年11月11日に開催される盛大なネット通販セールの日)でも、EC販売を牽引するサービスとしてライブコマースは確固たる地位を築いています。

それでは、中国本土のビジネス市場において、世界に先駆けていち早くライブコマースが普及した理由はどこにあるのでしょうか?

コミュニケーション好きな中国人にマッチ

その大きな要因としては、対面でのコミュニケーションを通じた買い物が大好きな国民性と高齢者層のインターネットの普及率の高さが挙げられます。

「IT先進国」「モバイル先進国」でスマホ社会とも呼ばれる中国のマーケットでは、小さなお店や屋台でもスマホ決済が導入されており、シニア世代のモバイルネットユーザーは8割を超えるとも言われています。

先日も、1日10時間以上スマホを利用する高齢者の「スマホ中毒」が社会的な関心事になっており、高齢者を取り巻くネット環境が日本のそれよりずっと充実したものであることはどうやら間違いないようです。コロナ禍の現在では、個人の健康状態を証表示するスマホアプリの「健康コード」で感染者でないことを証明しないと交通機関を利用できないような社会制度が設計されていますが、それもこうしたバックグランドがあってのことです。

実際に会話を交わしながら買い物をすることが難しいウイズコロナ時代の現況とオンライン接客が気軽に楽しめるライブコマースはきわめて親和性の高い販売サービスであると言えますよね。

また、中国では文化的に偽物を掴まさせる機会が多く、購入を検討しているアイテムの疑問点や不安材料をその場ですぐに解消できるライブコマースならではの特性も通常のネットショッピングより人気になった背景の一つではないかとの指摘もあります。

中国で話題沸騰!ライブコマースの実例

中国で人気になったライブコマースの実例をいくつか見ていきましょう。ライブコマースの種類は大きく分けて、販売従業員・メーカーの従業員等が配信するタイプのものと、インフルエンサーが販売するタイプのものがあります。

こちらは、中国ナンバーワンのインフルエンサーで、「ライブコマースの女王」とも称される薇娅(Viya)さんのライブコマースの実例です。

フォロワー0だったお店を7,000万元売れる店にした逸話をもつほどのカリスマで、元々アパレル店の経営者であった彼女は2016年にライバー(ライブ配信者)としてデビューし、その美貌もさることながらユーザーからのコメントに対する丁寧に応対で一躍大人気に。

ライブコマースユーザーのメイン層は女性で、動画で商品を説明するラブコマースの特性から、アパレル商品、衛生商品やコスメ用品との相性がいいそうです。

これは「口紅アニキ」の異名を持つ大人気のカリスマ美容家・李佳琦の口紅販売の実例です。男性でありながらみずから口紅を塗って製品を比較するパフォーマンスが印象的です。端正なルックス、軽妙なトークと豊富な知識で話題沸騰となり、アリババ経営者のジャック・マーさんと口紅販売の対決をしたことでも大きな話題を集めました。

ライブコマースでもっとも重要なのは、リアルタイムで人を呼びこむ集客力です。あらかじめ決められた時間に大勢の視聴者に注目してもらうには、事前からの周到なプロモーションが不可欠。

中国には上の2人に代表されるようにKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーが存在しており、その影響力は集客だけでなく「社会的な信頼度が高いこの人がオススメするなら本当に良い製品なのだろう」という消費者心理が働くことで、セールス向上にも大きく貢献しているようです。

こちらのYouTube動画は日本のものですが、薇娅さんの人気の秘訣や中国のライブコマースの実情を分かりやすく説明されてます。

画面が小さく少し見づらいですが、こちらはライブストリーミングサービス「Taobao Live」を活用した世界的な大企業アリババのプロモーション動画です。アリババは「独身の日」でもライブコマースを積極的に活用することで、売上増の急増に成功しています。

陝西省であんず農家をされている80歳のおばあちゃん崔淑俠さんが、ライブコマース販売を行う様子を撮影したYouTube動画です。

シニア世代のおばあちゃんが、スマホを使ってオンライン接客に励む姿に驚かさせれつつも、口いっぱいにあんずを頬ばる姿がなんとも愛らしく、ほっこりした気分に。

中国では、小さな小売店や田舎の農村でもライブコマース販売を導入してコロナ禍を乗り切ろうという動きが活発になっており、それを地方の自治体がサポートする事例も多く見られているようです。

やはり、「10年先を行く」と言われているように中国で活況を呈しているライブコマースの成長は目を見張るものがありますね。ひるがえって、日本ではどうなのか?

次回は、わが国におけるのライブコマースの現在と今後を実例を取り上げながらお届けしたいと思います。

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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