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インターネット広告が堅調も全体ではマイナス「日本の広告費2020」
先月25日、電通による2020年度版日本の広告費が発表された。
要約をするとこうだ。
- 2020年(1~12月)日本の総広告費は、世界的な新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響による各種イベントや広告販促キャンペーンの延期・中止により、4-6月期を中心に大幅に減少した。
- 7月以降は徐々に回復の兆しを見せ、10-12月期には前年並みに回復しつつあったものの、通年で6兆1,594億円(前年比88.8%)となり、東日本大震災のあった2011年以来、9年ぶりのマイナス成長。リーマン・ショックの影響を受けた2009年(同88.5%)に次ぐ下げ幅となった。
- インターネット広告はプラス成長。1996年の推定開始以来、一貫して成長を続け、「マスコミ四媒体広告費」に匹敵する2.2兆円規模の市場となった。
一言でいうとインターネット広告は伸びたものの、総広告費は-12%となりリーマンショック以来の下げ幅となった。
分野別にみる
「日本の広告費」は、(1)マスコミ四媒体広告費、(2)インターネット広告費、(3)プロモーションメディア広告費、に大きく3分類される。
(1)マスコミ四媒体広告費 2兆2,536億円(前年比86.4%)となりラジオ、テレビなどすべての媒体でマイナスとなった。(3)プロモーションメディア広告費 1兆6,768億円(前年比75.4%)もイベント自粛などの影響で大幅にマイナス。特に「イベント・展示・映像ほか」「折込」などが大幅に減少した。
一方で唯一インターネット広告費 2兆2,290億円(前年比105.9%)だけが前年比でプラス成長、特にECが堅調だったという。巣ごもり、ステイホームの中で買い物はインターネットで済ますという傾向が顕著に表れた形だ。
本当にインターネット広告はNo.1になったのか。
2019年にインターネット広告費が分野別でナンバーワンになったこともあり今やインターネット広告が主流となっている。その中でも動画・映像の広告は特に花形だ。
一方で、特に伸びたのは「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」803億円(前年比112.3%)であり、結局のところマスコミ業がテレビや雑誌からwebへと媒体を変えるのに成功しているだけという見方もできる。
つまり、インターネット由来でWeb広告として伸びているものはECをのぞけばそこまで見られず、マスコミ業の広告出向先としての魅力を伝える技術がwebでも活かされていると見ている。
また、インターネット広告制作費は約101%と微増にとどまっている。作る側はリモートワーク、リモート撮影などで素材集めに苦労したことや予算の制約に悩まされたのかもしれない。
どうなる? 2021年
電通が1月に発表した予測によると世界の広告費は2020年-8.8%予測であるが、2021年は5.8%増の成長を予測していた。さらに、2021年度はデジタル広告が世界全体で見てもトップシェアになると予測している。