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本格的なクルマのPVの撮影手法を解剖してみた

本格的なクルマのPVの撮影手法を解剖してみた

こんにちは! エレファントストーン プロデューサーの福岡です。

兼ねてからクルマ好きを周囲に語ってはいたものの、仕事と繋がる場面は少なかったのですが、つい最近、自動車を撮影するお仕事があったので、この度満を持して自動車の映像に関する記事を書いてみることにしました。

昨今は誰でも動画を撮って投稿するYouTube時代の到来により、車室内や運転レビューなどの動画投稿は多く見受けられるようになりました。それで車の持つ性能やリアル感は伝わるのですが、それって正直試乗しに行けばいいんですよね、よほど高い車でもなければ。

そんな中で、公式のPVや、しっかりと撮られた映像を見ると、やっぱり「かっこいいな」「欲しいな」と思ってしまう。自動車というのは、プロモーション映像の題材としては外装の質感、居住空間、動きのダイナミックさ、被写体としてのボリューム、どれをとってもこれ以上ないものだと思います。でも、よく考えてみると、車にもそれぞれ商品特性があって、視聴者に見せたいもの、与えたい印象って微妙に違うんです。

そのため今回はあえて、メーカー毎に極めて商品の個性が際立って強い、英国の自動車メーカーの商品を例に取り上げ、その映像の特徴を解剖します。

また、本メディアを運営するエレファントストーンではこうした映像にまつわる耳より情報をメルマガでも配信しています。お気軽にご登録ください!

クルマの撮影手法について

まず最初に紹介するのは、近頃英国自動車メーカーの中でも最もブランディングに力を入れているアストンマーティンのブランディングムービーです。アストンマーティンは英国の高級スポーツカーメーカーで、とにかく疾走感を前面に押し出したクリエイティブになっています。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=32hVnBbeehA

ここで使われている撮影手法について分類すると、大きく分けて下記のような形になります。

・撮影用の並走車両から撮影

出典:https://www.youtube.com/watch?v=32hVnBbeehA

まさに車が走っている姿や、すれ違う迫力を伝えることができます。助手席の窓などから撮影する場合もあれば、専用機材をマウントしたオープンカーなどを用いるケースもあります。

・走行車両に取り付けた車外カメラでの撮影

出典:https://www.youtube.com/watch?v=32hVnBbeehA

車の目線であったり、より地面スレスレの映像、エクステリアの一部を強調したい際に使われます。が、日本では道路交通法により車外カメラの取り付けができないため、専用のサーキットなどでの撮影が必要です。

・スタジオ撮影

出典:https://www.youtube.com/watch?v=32hVnBbeehA

ライティングや構図により、静止した車のエクステリアや造形を美しく見せることができます。

・ドローン撮影

出典:https://www.youtube.com/watch?v=32hVnBbeehA

ドローンカメラ技術の発展により、用いられることが劇的に増えました。ワインディングの性能アピールや、借景による世界観作りに貢献します。

・定点カメラ

出典:https://www.youtube.com/watch?v=32hVnBbeehA

登場機会は少ないのですが、走り去るスピード感や流麗さを見せるために用いられることがあります。あと予算、体制が限られている時も。

・車内カメラ

この映像中にはありませんでしたが、車内にGoProを取り付けて走行中のメーターやパネル表示を見せるために使われます。

上記のような撮影手法を多彩に組み合わせて撮影した映像を編集することでクルマのPVは成り立っています。さらに本映像内では「Vantage」「DB11」「DBS」という3車種が組み合わされ、同アングルでのトランジションなども取り入れられていることから、膨大な制作期間とコストが費やされていることが窺い知れます。

まあ車1台が3000万円台からなので、それくらいの広告予算はあってもいいのかもしれません。

クルマのPVの演出手法について

初めは王道のスポーツカーをご紹介しましたが、次にご紹介するのは多少名が知られているロールス・ロイスのPVです。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=PkUO7ZfRelE

出典:https://www.youtube.com/watch?v=SJ82dP5s1cU

先ほどとはうって変わって、「人物」「内装」「CG」にこだわって上質な世界観を見せようとしているのがおわかりでしょうか。

改めてロールス・ロイスは、
「軽自動車の10倍の排気量を持つエンジンを搭載」
「ドアは観音開きで中に長い傘が格納されている」
「エンジンをかけるとボンネットのオブジェクトが電動でせり上がってくる」
「走行中も車輪の軸が回転せず常に「RR」のマークが正位置になる」
「天井にプラネタリウムを模した1000基以上のLEDを搭載している」
など、常人には理解できないところにお金を使うメーカーで、PVもあたかも高級コスメブランドのような訳の分からなさだと思いますが、それぞれ刺さる人には刺さるメッセージ性があるので解説していきます。

  • 1つ目の「ゴースト」という車種は、女性が自分で運転しても優雅だし、紳士が後部座席に乗っても快適という2面性を備えるショーファーカーであるという演出になっています。
  • 2つ目の「レイス」と呼ばれる車種については、幽霊のような静粛さ、速さ。そしてこれまでのロールスの持つ「誰かを迎えに行くクルマ」というイメージを覆したいという意思が込められています。

ぜひ、上記を踏まえもう一度ご覧いただければと思います。

最後にご紹介するのはこれまた砂漠のロールス・ロイスと呼ばれる、ランドローバー社の新型「ディフェンダー」のPVです。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=u7Oc4g_CtZc

出典:https://www.youtube.com/watch?v=pk5QL_kKN_g

第一次世界大戦から四輪駆動SUVを作り続けた旧ローバー社の血脈を受け継ぎ、どんな悪路も走破する堅牢性をPRする構成になっています。映画さながらのロケーションと派手なカースタントをそのままプロモーションにしてしまった大胆な作品になっています。
2本目の映像は規定された道路を横切って最短距離を家まで帰る演出がなんとも逞しいですね。

まとめ

いかがでしたか。まだまだ世界中の自動車メーカーのPVを解説できるくらいの熱量があるのですが、今回はこのくらいにしておきたいと思います。自動車撮影のお仕事、是非機会があればご相談ください!


 

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この記事を書いた人

福岡駿也
エレファントストーンのプロデューサー

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