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デジタルサイネージ用動画の作り方と動画制作会社の選び方

デジタルサイネージ用動画の作り方と動画制作会社の選び方

デジタルサイネージ動画は「電子看板」や「デジタル看板」とも呼ばれているサイネージに投影される動画のことです。年々市場規模は増加しており、2025年には2021年比約2倍の市場規模1,083億円になると予測されています。今や、静止画のポスターや看板に代わる動画広告媒体としても注目を集めており、直近2〜3年で動画制作会社でもある弊社にもデジタルサイネージ動画制作のご依頼が増えています。

本記事ではデジタルサイネージに流す動画を制作する際のポイントや事例、制作会社の選び方を解説します。デジタルサイネージ用動画の制作をお考えの方は、是非参考にしてみてください。

デジタルサイネージとは?

「デジタルサイネージ」とは、交通機関、屋外、商業施設といった場所で、ディスプレイを用いて情報を発信するメディアの総称です。交通機関、屋外では広告の用途で使われることが多いですが、商業施設、店舗内では販売促進や案内板としても利用されています。

利用している業界は全業界といっても過言ではありませんが、屋外大型ビジョンでは食品、日用品・消費財といったいわゆる「BtoC商材」が多く、駅・タクシーといった交通機関ではSaaSや企業プロモーションなどの「BtoB商材」も含まれるといった大まかな傾向があります。

今や企業ビルのエレベーターやゴルフカート内での設置事例も増えており、今後あらゆる場所でデジタルサイネージを利用したコミュニケーションが増えていくことが予想されています。

デジタルサイネージ用動画の特徴

続いて、デジタルサイネージに静止画ではなく動画を用いるメリット、デメリットの両面を紹介していきます。デジタルサイネージ動画は歩行者の目を引きやすく、短時間で多くの情報を届けられます。一方、静止画よりも制作費がかかるため、1本あたり数十万円の予算が必要となります。

メリット

デジタルサイネージに動画コンテンツを利用する最大のメリットは、人の目を引きやすいことにあります。実際に、動画は静止画に比べて視認性が4.8倍高いと言われています。広告用途で利用する場合、歩行者に注視されやすい動画クリエイティブの方が認知効果を見込むことができます。また、サイネージ設置箇所によっては音声オンでの配信もできるため、注目を引くための仕掛けが施しやすいのがメリットです。

デメリット

反面、一般的に静止画クリエイティブに比べると、動画の方が制作費用が高くなる傾向にあります。動画制作をプロに依頼する場合、静止画素材を複数つなぎ合わせたものでも10万円前後、テレビCMのようなクオリティを目指すと数百万円かかります。また、制作費以外にもデジタルサイネージ本体の購入費用や、動画の掲載場所によっては配信費用もかかります。そのため、かかる費用をあらかじめ想定しておき、動画制作にかけられる予算はいくらかを検討すると良いでしょう。

デジタルサイネージ用動画を制作するポイント

続いて、デジタルサイネージ用動画を制作するポイントを3点解説していきます。

1、動画における訴求ポイントを絞る

動画の企画を考える段階で、訴求したいメインメッセージを絞っておきましょう。サイネージ動画は配信先によっては数秒しか見てもらないことも想定されます。例えば、駅サイネージ動画では、最も伝えたいメッセージは上下に固定帯を付けることで、どのタイミングでも伝わるように工夫がされています。わずか数秒でも視聴者にメッセージが伝わるような動画に仕上げるべく、伝えたいメッセージは予め整理し、絞っておくようにしましょう。

2、音声オフの状態で伝わる動画に仕上げる

多くのデジタルサイネージが音声オフの状態で配信されます。そのため、音声がなくても伝わるような文字情報や、視覚だけでも伝わる映像に仕上げる必要があります。例えば「モーショングラフィックス」と呼ばれる、テキストが小気味良く動き、視点がブレない映像に仕上げることで音声がなくてもメッセージが直感的に理解しやすくなります。なお、どうしても音声情報を入れ込みたい場合、音声再生のできる商業施設・店舗内や駅サイネージを検討すると良いでしょう。

▼「モーショングラフィックス」事例はこちらの記事よりチェックできます。
分かりやすっ!モーショングラフィックスを解説してるYouTuber | ZOOREL

3、配信先のサイネージに合わせた縦横比で制作する

動画制作に取り掛かる前には、配信先のデジタルサイネージに合った縦横比を確認しておきましょう。配信先によって縦長サイネージ、3面横並び表示のサイネージといったように縦横比が異なり、その枠に合った動画でないと入稿ができません。なお、一般的な動画の縦横比である16:9を想定して撮影した動画を縦長に切り出すと、画角が窮屈な印象になってしまう恐れがあります。動画制作に取り掛かる前に、入稿仕様は前もって確認しておきましょう。

デジタルサイネージ用動画を制作する際の手順と制作期間

続いて本項では、デジタルサイネージ用動画を映像制作会社に依頼するケースを想定し、制作手順と各フェーズにかかる期間を解説します。最初のお問い合わせから納品までは、平均して約2〜3ヶ月程度かかります。

なお、制作会社に問い合わせを行う前に、配信先のデジタルサイネージの尺や縦横比、ディスプレイ数といった納品フォーマットは確認しておくようにしましょう。

※ご紹介するのは当メディアを運営するエレファントストーンの実際の制作フローです。動画制作の流れと各工程の目安期間を記載していますが、内容は弊社の一例ですので全ての動画制作に当てはまる訳ではございません。

サイネージ動画制作の手順各工程における具体的な内容や流れ、自社内で準備しておくべきことなどの詳細は「動画制作の流れとスケジュールについて」という記事で紹介しておりますので、気になる方は是非併せてご参照ください。

デジタルサイネージ用動画の配信先ごとの活用事例

本項では、デジタルサイネージ用動画の事例の中から5つの配信先ごとに2事例ずつ、計10事例をご紹介します。配信目的と配信先がマッチしている事例をピックアップしているため、同じ配信場所でお考えの方にとっては尺、内容、デザインなど参考にしやすいはずです。

具体的には、下記5つの配信先の事例をご紹介していきます。

  1. 駅や空港内サイネージの事例
  2. 店舗・店頭サイネージの事例
  3. 大学・郵便局などの施設内サイネージの事例
  4. 街中サイネージの事例
  5. 電車内サイネージの事例

それでは一つずつ見ていきましょう。

1、駅や空港内サイネージの事例

株式会社グリーンポート・エージェンシー – We Love JAPAN

成田国際空港の45:9の横型デジタルサイネージで配信された映像です。外国人旅行者が日本各地を訪れている様子を自撮りシーンも交えて制作しています。大型のサイネージ映像は空間演出にも寄与し、自然と歩行者の視線を捉えることができます。その場の空間を席巻するような迫力あるサイネージ動画を制作したい場合、本事例のような企画も検討してみると良いでしょう。

2、店舗・店頭サイネージの事例

2-1、株式会社松屋フーズホールディングス – マイカリー食堂店頭サイネージ動画

※本事例は弊社エレファントストーンが制作した事例となります。本事例の詳細情報は弊社サービスサイト「制作実績ページ」もご覧ください。

「松のや」「マイカリー食堂」の複合店での店頭サイネージ動画です。店外を歩く人々の集客や、券売機前に並ぶお客様にメニューの豊富さをアピールすることを目的に制作。本事例はポスターの素材データを切り抜く形で制作し、制作費も数万円程度に抑えています。自社で所有している画像素材を使用することで、制作予算を抑えることができます。

2-2、パワーホーム青森株式会社 – プロモーション動画

※本事例は弊社エレファントストーンが制作した事例となります。本事例の詳細情報は弊社サービスサイト「制作実績ページ」もご覧ください。

パワーホーム青森株式会社様のモデルハウス内サイネージで配信された映像です。端的に一戸建ての性能の良さや、実現できる暮らしを訴求する動画に仕上げました。モデルハウスの訪問者に対して配信するサイネージ動画のため、通常のサイネージ動画よりも尺・メッセージは多くなっています。自社の店舗内サイネージでの配信をお考えであれば、視聴者がじっくり見てくれることを想定した内容に調整すると良いでしょう。

3、大学・郵便局などの施設内サイネージの事例

かねしろ内科クリニック – JPサイネージ

郵便局の窓口付近やATMコーナーに設置される「JPサイネージ」で配信された、かねしろ内科クリニックの施設紹介動画です。わずか15秒の尺の中で訪問診療に対応できることや検査方法の多様さ、アクセスやクリニックの外観まで紹介しています。デジタルサイネージ動画を用いて実店舗への認知・集客を行う場合、シンプルな構成の元、郵便局や駅といった地理的に近い場所で配信すると良いでしょう。なお、SNSやYouTube広告といったネット広告でも配信エリアを指定し配信できるため、サイネージ展開と並行で広告配信を行うケースもあります。

4、街中サイネージの事例

4-1、株式会社あきんどスシロー – すしで、笑おう

株式会社あきんどスシローによる「すしで、笑おう」をテーマに制作した映像で、渋谷の屋外広告を多面的に展開した事例です。動画の1:00〜から、当時渋谷のビル群や駅構内の大型サイネージをジャックしていた際の様子が伺え、空間演出としての効果を担っていることも伝わるのではないでしょうか。街頭サイネージの中でも、食べ物・景色・衣類などビジュアルで直感的に訴求ができるものは、歩行者へ認知されやすい傾向にあります。

4-2、British Airways – lookup in Piccadilly Circus

日本では「英国航空」とも呼ばれる、ブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways)の街中サイネージ動画です。動画内の男の子が、現実世界の飛行機を追いかけていき、最後には便名、発着の都市名が表示される内容となっています。本事例のように、天気や人の表情、時間帯といった現実世界に合わせて内容が変わる街中サイネージは注目を集めやすい傾向にあります。海外では、現実世界と連動したユーモアのあるデジタルサイネージ動画の事例が豊富にあります。

5、電車内サイネージの事例

5-1、相模鉄道株式会社 – 相模鉄道キャラクターそうにゃんの新作絵本「しゅっぱつ しんこ~う!」

相模鉄道株式会社のキャラクター「そうにゃん」の新作絵本のプロモーション映像。相鉄線の駅および電車内のサイネージで配信されました。商材は絵本ですが、購入するターゲット層となる大人が通勤中などで視聴することを想定し、大人でも疑問に思うような「鉄道信号の不思議」を取り上げています。親が通勤中つい視聴し、気になりその場でスマホで調べてしまうといったシーンまで想定した上で制作されたものと推測できます。

5-2、株式会社ディー・エヌ・エー – Pococha広告

株式会社ディー・エヌ・エーの運営するライブコミュニケーションアプリ「Pococha」のプロモーション映像です。本映像は京王線・井の頭線の電車内サイネージで配信されました。手書きメッセージを用いてライバーにどんな意義のあるアプリなのか伝え、最後の3秒でアプリダウンロードの訴求も行い、気になった乗客は直ぐにダウンロードできる構成となっています。

デジタルサイネージ用動画を依頼する動画制作会社の選び方

最後に、制作会社の選定ポイントをご紹介します。フォームや電話でお問い合わせする前に、コーポレートサイトや事業紹介資料を通して下記のポイントをチェックしておくと、自社の制作したいサイネージを制作する会社へ発注しやすくなることでしょう。

  1. 制作実績
  2. 制作期間
  3. 安価に大量に制作できるサービス

それぞれ詳しく解説します。

1、制作実績

イメージしているクオリティ、予算に近いデジタルサイネージ動画の制作実績があるか探しましょう。制作会社のサイトには「制作実績」ページがあるため、安価でも見やすい・伝わりやすい動画を制作しているか、交通・屋外向けでCMクオリティの動画を制作しているか確認できます。なお、用途がデジタルサイネージ向けではなくてもビジュアルのイメージが合う事例があれば、問い合わせの候補に入れておくと良いでしょう。

2、制作期間

納期が決まっている場合、目安となる制作期間を確認しておきましょう。例えば、納期が1ヶ月以内ですと制作体制上、対応できない制作会社もあります。制作実績を確認する際に併せて制作期間も確認しておくと良いでしょう。なお、屋外、交通機関のデジタルサイネージを利用する場合、配信日の2週間前にデータの提出を求めるといったルールがあるため、制作会社に依頼する際には納期を逆算して伝えるようにしましょう。

3、安価に大量に制作できるサービス

飲食店の期間限定メニューをはじめ、あらかじめ5本以上サイネージ動画を制作したい場合、安価で制作できるサービスが整っているかチェックしましょう。1本に数十万〜数百万円かかる動画制作を、複数の商材、複数パターン、期間限定キャンペーンごとに何十本も制作しようとすると動画制作だけで予算が莫大になってしまいます。

上記のような要件の場合、費用優先で複数本を短期間で制作できる制作体制があれば、検討先の候補に入れておくと良いでしょう。なお、弊社の「ヒトテマ」というAIとアジアの制作会社への発注を組み合わせた映像制作サービスであれば、15秒のサイネージ動画を3万円から制作可能です。

最後に

デジタルサイネージ用動画の作り方や事例、動画制作会社の選び方をご紹介しました。

施設・店舗内といった一部利用者のみにデジタルサイネージ用動画で訴求する場合、無料の動画編集ソフトやMicrosoft PowerPointを用いて自作することも、費用を抑える面では有効です。具体的な制作のノウハウもYouTube動画を参考にすれば、その日の内に制作することも可能です。

一方、交通機関や屋外など不特定多数の人に視聴されるデジタルサイネージ動画は、商品や企業へのイメージにも直結するため、動画のクオリティには妥協せず、制作会社へ依頼することを推奨します。

なお、本メディアを運営する株式会社エレファントストーンでは、本記事の活用事例の項でご紹介したようにデジタルサイネージ用動画の実績がございます。また、Web上には公開していないものの、制作事例は複数ございます。お問い合わせいただけましたら、事例のご紹介だけでもお受けすることができます。

デジタルサイネージ用動画をお考えの方は、是非、弊社の無料相談のご利用もお考えください。

この記事を書いた人

登陽一朗
エレファントストーン経営戦略室企画課所属

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