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AIが作る「デジタルヒューマン」とは?「対話型デジタルヒューマンサイネージ」が登場

AIが作る「デジタルヒューマン」とは?「対話型デジタルヒューマンサイネージ」が登場

デジタルサイネージといえば、デジタル技術を活用してディスプレイに映像や文字を表示する広告媒体です。

毎日のようにデジタルサイネージに関するニュースが流れていますが、最近新たに「対話するデジタルサイネージ」という革新的なサービスが登場しました。

「対話型デジタルヒューマンサイネージ」とは?

「対話型デジタルヒューマンサイネージ」の第1世代を発表したのは、スキルプラス株式会社です。2023年3月8日より販売を開始。104ヵ国 68言語に対応しているとされ、世界中での活躍が見込まれます。

まるで実際の人間が話しているかのように思えますが、一体どんな技術なのでしょうか?

デジタルヒューマン技術とは?

「対話型デジタルヒューマンサイネージ」に使われているのは「デジタルヒューマン」という技術です。


https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000096492.htmlより

簡単にいうと、AIを使ってデジタル上で人間を再現しようというものです。まるで本物の人間かのようですが、すでにパナソニックなど大手も参入するなど各社が開発競争を迎えています。

デジタルヒューマン技術が注目を浴びたのは、2019年の年末に行われた『紅白歌合戦』でした。AIにより美空ひばりさんを復活させ、紅白歌合戦に出場させたのです。当時は、AIによってデジタルヒューマンに歌を歌わせるという一方通行のものでしたが、2023年の現在は会話を通じてお互いの意思疎通ができるといいます。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000096492.htmlより

さらには、画像のようにモデルにもバリエーションがあり、AIとは思えない完成度になっています。

「対話型デジタルヒューマンサイネージ」を用いた広告のメリット

それでは、デジタルヒューマン技術を用いた広告のメリットはなんでしょうか?

・多言語対応
今回発売を予定されている第一世代は04ヵ国68言語を操るとされています。英語の字幕をつけたり、オプションで多言語対応をしたりする必要がなくなりそうです。

・撮影・収録の工程を減らす
これは映像制作の会社には耳が痛い話かもしれませんが、デジタルヒューマンが自在に解説したり説明したりすることが可能になるため、人の説明シーンを収録し、編集した解説動画の需要が減少する可能性があります。

とはいえ、現在の解説/説明動画には2Dアニメーションや3DCGを使ったものが多いため、必ずしも需要がなくなるわけではなく、必要な技術や制作工程が変化するだけと考えておくと良いかもしれません。

・出演料がいらない、肖像権もない

芸能人を使う必要がないため、肖像権の心配や出演料が要らない点も見逃せません。すでに「バーチャルヒューマン」という呼び名で作られたAIモデルは、画像や映像のフリー素材モデルとして活用する動きが見られます。

「対話型デジタルヒューマンサイネージ」活躍の場は?

ホテルなどの観光、駅などの交通の場面で活躍が期待されています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000096492.htmlより

スキルプラス株式会社は、「対話型デジタルヒューマンサイネージ」活躍の場として具体的に6つの場所を示しています。国内外の空港、駅構内、ホテルといった外国人が良く訪れそうなところはもちろん、商業施設、美術館、展示会場と「説明」や「案内」に重きを置く場所に需要がありそうです。

筆者の感覚では、美術館などでイヤホン付きの解説ラジオが貸し出されますが、これらはデジタルヒューマン技術を用いたタブレットなどに置き換わるのではないかと感じています。音だけよりも視覚がある方がよりわかりやすいですし、美術館側は広告収入が得られるチャンスにもなります。

すでにゲーム会社のエヌ・シー・ジャパン株式会社は3月22日に行われたゲームの説明会で「プロジェクトM」を発表。キム・テクジンCCOをデジタルヒューマン化し、ゲーム内に登場させるような形で世界観やゲームシステムの説明をさせています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002224.000001868.htmlより

プレスリリースによると、映像の中のデジタルヒューマンは、NCのAI技術にアート、グラフィックなどのビジュアル技術能力を組み合わせて制作されたようです。

また、映像のすべてのセリフは、特定の人の声、言葉、感情などを盛り込んで入力されたテキストを、状況に合った自然な音声で生成する、AI音声合成技術「TTS(Text-to-Speech)」で実現されたようで、まるで本物の人間のようです。

「対話型デジタルヒューマンサイネージ」気になる費用感は?

「対話型デジタルヒューマンサイネージ」の費用感を見ていきましょう。

スキルプラス株式会社は、以下のように説明しています。

システム利用料 :初期導入費 無料 15万円/月
サイネージご購入 :1台48万円 ※参考価格(既存のサイネージのご利用も可能です)
サイネージレンタル :10万円/1日(送料込み

現時点の価格はレンタルだと1日10万円(月だと300万円)なので、購入した方がお得なようです。システム利用料と合わせても63万円で済む計算になりますね。

まとめ

「対話型デジタルヒューマンサイネージ」は既存のデジタルサイネージの流れを大きく変えるゲームチェンジャーとなるソリューションとして、各業界より期待されており、大手企業が参入する等その開発競争は激しいものとなっています。

すでにビジネス利用する会社も登場。22世紀にはデジタルヒューマンが展示会やメディアに出てきて説明をする中で、人間は裏で休暇をしている等の状態が起こるかもしれませんね。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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