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海外の映画監督が手掛けた名作MVをご紹介

海外の映画監督が手掛けた名作MVをご紹介

映画界は映像プロモーションとの関わりが深く、CMやMVなどを手掛ける映像クリエイターとしてキャリアを積んだ後に映画監督に転身するケースは珍しくありません。

そこで、今回はMV畑出身の著名な海外の映画監督を4人ピックアップ。各人の代表作として知られる名作MVをご紹介します!

①マーティン・スコセッシ

【監督紹介】

現代の映画史を代表する名匠であるマーティン・スコセッシ。

敬虔なカトリック教徒でありながらも、イタリア系アメリカ人としてマフィアが支配するイタリア移民社会の中で育った彼の作品には、禁忌と侵犯、愛と暴力、芸術性と世俗性など、相反する要素が極めて高いレベルで共存するという二面性があります。

2019年に公開された『アイリッシュマン』は、カメラの長回しやステディカムの使用、モノクロの映像、創意工夫に満ちたカット繋ぎなど、映像の魔術師・スコセッシの熟練の妙技が冴え渡った作品。

『カジノ』や『グッドフェローズ』、『ギャング・オブ・ニューヨーク』など裏アメリカの社会で暗躍する無法者たちを描いたスコセッシ映画の系譜の中でも特にオススメしたい1本です。

【MV紹介】

スコセッシをMV畑と称するのには少し無理があるような気もしますが、彼が1987年に撮影したマイケル・ジャクソンの代表作『Bad』は、映画監督とMVの深い繋がりや親和性を探る上で非常に重要な作品なのでぜひ紹介させて下さい。

強盗と間違われて黒人青年が私服警官に射殺された実話に基づくストーリーが展開される伝説のMV。シリアスな社会問題を皮肉やユーモアを交えてエンターテイメント性のあるドラマへと昇華させるスコセッシ・ワールドを感じる作品です。

現在は、先のコマーシャル用に短縮されたバージョンがよく視聴されていますが、元来の『Bad』のMVは、16分にも及ぶPVとして制作されています。もはやPVというよりもショートフィルムに近い完成度の作品に仕上がっていますよね。

ロック音楽への造詣が深いことでも有名なスコセッシ監督は、劇中の最も効果的なタイミングで往年のロックソングや隠れた名曲を使用するセンスも抜群。

映像とBGMの重ね合わせに注目しながら映画を視聴してみると、意外なインスピレーションを得ることができるかもしれません。

②アントン・コービン

【監督紹介】

アントン・コービンはオランダを代表する映画監督の一人です。オランダ写真家として活躍してからMVの世界に参入すると1980年以降80本以上のMVを制作。

代表的なものには、U2やDepeche Mode、Coldplayなど音楽ファンなら誰もが知るであろう大御所UKロックバンドのプロモーション映像が多数あります。

映画監督としてのデビューも音楽界との深い絆によって導かれたものであり、Joy Divisionのメンバーであるイアン・カーティスの夭逝をモチーフにして制作された『コントロール』は、カンヌ国際映画祭のカメラ・ドールなど様々な賞を受賞し、映画監督デビュー作にも関わらず高い評価を得た名作です。

【MV紹介】

1992年に公開されたU2の楽曲『One』のMVは、音楽史に残る名作の一つです。ゲイであることをカミングアウトした息子と父の関係性をモチーフにした楽曲を退廃的な映像美で描き、特に旧東ドイツの街中を国民車トラバンドでドライブするシーンはUKロックファンの語り草になるほど有名です。

③スパイク・ジョーンズ

【監督紹介】

「her/世界でひとつの彼女」でアカデミー賞5部門にノミネートされるなど独創的な作風で高い評価を得ているスパイク・ジョーンズ監督。

フォトグラファーとしてキャリアを開始した後に、CMの世界で自身のクリエイティブィの基盤を固め、多数のプロモーション作品を制作しています。

ギャップやアディダス等のCMで話題をさらうと、BjörkやDaft Punkなど世界的なミュージシャンのMVを次々と手がけてその才能を遺憾なく発揮。広く名声を轟かせています。

【MV紹介】

Björk本人が出演しているミュージカル風のMV。空想の出来事や架空の存在が現実の中に奇妙に溶け込んだ独特の演出は、スパイク・ジョーンズ監督ならではのもの。音楽MVであることを忘れ、たちまちのうちに想像力あふれる映像の世界の中へ惹きこまれてしまいます。

④エミリー・カイ・ボック

【監督紹介】

Arcade FireのMVを手掛け功名を立てると、Grimes、Majical Cloudzなど同郷のカナダ出身のミュージシャンのプロモーション作品を多数制作し、現在ではその才能は広く世界に知られているエミリー・カイ・ボック。

MV界の「ソフィア・コッポラ」とも称されるエミリー・カイ・ボックは、ディレクターとして制作に関与したSF映画『The Giver』で映画界デビューを果たすと、自身初の監督作となる『A Funeral For Lightning』、『Spit Gold Under An Empire』と印象的なショートフィルムを立て続けに発表。今後のさらなる飛躍に大きな期待が寄せられています。

【MV紹介】

カナダを代表するインディー・ロックバンドArcade Fireの『Afterlife』は、巻頭に台詞と映像だけで進行するショートストーリーが楽曲のエピグラフのように付されたユニークなMV。本編では、モノクロとカラーを使い分けることで夢と現実が交錯するノスタルジックな世界観をつくり出しています。

映像だけで登場人物の繊細な感情を描くエモーショナルな手法、日常の生活を超えて別の世界へ向かおうとするロマンティシズムは、上述した2つの短編映画でも存分に発揮されています。

(スパイク・ジョーンズ作『Afterlife』)

また、前述のスパイク・ジョーンズ監督も同曲のライブパフォーマンス用のMVを手掛けています。先に発表されたエミリー・カイ・ボックのMVを彼なりに再構築したものなので見比べてみると、2人のクリエイターのアイデアや感性、美学の違いが分かってより一層楽しめるのではないでしょうか。

まとめ

以上、4人の監督による代表的なMVをお届けしました。それぞれに特徴があり個性を感じさせます。

一方で、見ていて引き込まれる、飽きないといった部分はどれも共通。名作の技術を普段の映像制作にも活かしたいですね。


 

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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