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映画っぽい映像「シネマティック」な映像の作り方

映画っぽい映像「シネマティック」な映像の作り方

こんにちは。エレファントストーンディレクターの深津です。

今回はシネマティックな映像についてご紹介します。

シネマティックとは

はじめに、シネマティックな映像とは何でしょうか。

シネマティックという言葉を検索すると映画の、シネマの、映画的な」と出てきます。
( 参照:https://ejje.weblio.jp/content/cinematic

定義が曖昧ですが、いわゆる「映画っぽく見える」「映画のような映像」のことを言います。では、映画のような映像とはどのような映像でしょう。ボケていて、少し暗く、スローモーションだったりする映像のことでしょうか?

まず、「映画のような映像」とは対極にある映像を考えてみましょう。例えば、報道番組の映像は映画のようではありませんよね。報道番組は、誰が見てもすぐ被写体がわかるように画作りがされています。人が見たままのものを映し出していると言えるでしょう。

では、映画はどうでしょうか。映画はライティングや色、カメラワークで人の感情や情景を描いていきます。あるがままに現実を映し出す必要のある報道番組の映像とは反対に、映画では観客の感情をコントロールするという目的が画作りの根幹にあると思います。

シネマティックな映像の考え方の一つとして、観る人の感情をコントロールするための画作りがあると考えます。

シネマティックな画に向いている映像、そしてその手法。

イメージや雰囲気を丁寧に伝えるようなCMやWEB広告は、シネマティックな映像にすることでより効果が発揮されます。会社や商品のこと細かい説明より企業や商品のイメージを伝え、人の心を無理なく自然に動かす必要のある映像にはシネマティックな映像がマッチします。

実際の作品を例に挙げてみましょう。こちらは大手通販サイトAmazonのCMです。

Amazon Prime TVCM 「その特別な時間が、きっといちばんの特典です」特別版

こちらは「時間」と「サービス」をうまく絡ませてショートムービーに仕上げています。

説明的なナレーションがあるわけでもなく、サービス説明の直接的な描写があるわけでもないですよね。しかし、見た後にはホッコリと、そして見失いがちである日常の大切な時間に気づかせてくれます。説明的ではない、しかし印象にはしっかりと残る映像。CMとして抑えておきたいポイントですよね。では、どうして印象に残るのでしょうか。

映像の根幹にあるシナリオはもちろんですが、色使いやカメラワークにポイントがあります。今回はライティング(照明や色の使い方)とカメラワークの2つに絞って解説していきます。

①ライティング

映像の前半、夫婦がすれ違いの生活を続けているシーンを見てみましょう。早朝の寝室や深夜のオフィスなど、キーライト(画の中で主体となる照明)はブルー系で作られています。

ブルーは寒色系ですので、映像の中では「悲しさ」を表現する色として使われることがあります。しかし映像の終盤、夫がオフィス前で妻を待つシーンからキーライトは温かみのあるアンバー系の色へと変化していきます。アンバー系とはオレンジ色。つまり暖かさを感じます。「喜び」といったポジティブな心理描写を描くシーンで多く用いられることがあります。

ストーリーが進むにつれて、映像の色味が寒色から暖色へと変わる、まさにライティングや色使いで物語を表現しています。

②カメラワーク

0:58 あたりのシーンを見てみましょう。

こちらではフォーカスを送る、つまりピントを変えるというカメラワークで観客の視線を自然に誘導させています。映像を切り替えずに1カットで収めることで、映像のリズムを変えることなく視線を誘導しています。カットを細かく割ってしまうと説明的すぎるシーンになるだけでなく、忙しない映像となるでしょう。それでは物語とミスマッチを起こしてしまいます。

こうしたピントを変えることで生じる「ボケ」を利用したテクニックはiPhone13シリーズに搭載された「シネマティックモード」などで簡単に撮ることができるようになりました。「ボケ」といった要素もシネマティックな画を構成する大きな要素のひとつでしょう。

この様にライティングやカメラワークといったテクニックを少し加えることでわざとらしくない、自然と視聴者の感情を動かす「シネマティック」な映像が作れるのです。

まとめ

今回はWEB CMを元にシネマティックな映像のポイントについてご紹介しました。

「撮影した映像がホームビデオみたい」「どう撮影すればシネマティックになるのだろう」そのようなお悩みを持っている方は、まずは「ライティング」と「カメラワーク」の2つのポイントに少し意識を向けてみるのがおすすめです。

昨今のスマートフォンでは暗所に強く、ピントの精度も高い高性能なカメラが搭載されていることが多くなりました。ハイエンドなカメラを購入する前に、まずはお手元のiPhoneでシネマティックな映像作りを体験してみてくださいね。


 

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この記事を書いた人

深津大貴
エレファントストーンのディレクター

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