SPECIAL

スタジオジブリの名作PR映像をルックバック

スタジオジブリの名作PR映像をルックバック

画像出典:スタジオジブリ

宮崎駿監督最新作『君たちはどう生きるか』が公開され大きな反響を呼んでいます。

アニメーション界の生きる伝説が「最後の作品」と公表している本作は、事前の宣伝活動をほとんど行っておらず、プロモーション手法の異例さが際立つという観点からも世間の注目を集めています。

今回は、過去の名作を中心にスタジオジブリおよび宮崎駿監督作品の予告映像およびPR映像をルックバック。関心を集めるテクニック満載の傑作プロモーションをご紹介します。

スタジオジブリ関連作。これまでのプロモーションについて

『君たちはどう生きるか』は予告編が制作されておらず、公開前のプロモーションもほとんど敢行されていません。

そこには「前知識や先入観なしで作品に触れてほしい」というクリエイターの願いが込められているようですが、これまでのスタジオジブリ作品では、メディアを活用したプロモーション活動を大々的に行っています。

スタジオジブリの過去のプロモーションの大きな特徴は、ワンフレーズで物語の内容や作品の世界観を端的に伝えるキャッチコピーにあります。

これまでプロデューサーの鈴木敏夫さんやコピーライターの糸井重里さんらによって手掛けられた、『もののけ姫』の“生きろ。”や『風立ちぬ』の“生きねば。”、『崖の上のポニョ』の“生まれてきてよかった。”など、一度広告を目にしただけで頭から離れない名フレーズをご存知の方も多いと思います。

新作の『君たちはどう生きるか』においては、タイトルそのものがキャッチコピーの役割を果たしており、メッセージ性の強い言葉の力で視聴者の注目を最大化するテクニックは、スタジオジブリおよび宮崎駿監督の作品すべてに共通して見られる大きな特徴と言えるでしょう。

ぜひ、その点について留意しながら以下の名作PRをチェックしてみて下さい。

※今回お届けする映像の多くは、ソニーグループ株式会社が所有するストリーミング・サービス『Crunchyroll』のオフィシャルYouTubeチャンネルによるものです。日本版のPRはもう公式で公開されておりません。そこで、主に英語圏のユーザーをターゲットに公開しているものを紹介いたしますが、一部の作品を除き予告編やPR映像の内容は日本版と同一のものになっています。

名作PR紹介

①風の谷のナウシカ(1984)

【キャッチコピー】
「少女の愛が奇跡を呼んだ」

名作揃いの宮崎駿作品の中でも熱狂的なファンの多い『風の谷のナウシカ』。1984年公開時の劇場版予告編では、後述する『火垂るの墓』とは対照的にナレーション主体のプロモーションを展開しています。

本編のセリフを意図的に遮断し、ナレーターによる物語解説とテーマー曲だけでナウシカ独特の世界観を伝えることに成功しています。

株式会社トップクラフトによって制作された本作は、高畑勲さん、鈴木敏夫さん、久石譲さんといった後のスタジオジブリの主要メンバーが軒並み名を連ねているのが印象的。

「少女の愛が奇跡を呼んだ」というキャッチコピーも秀逸です。鑑賞した後にもう一度キャッチコピーを捉え直すと重厚な物語のテーマをたった一言で完璧に表現していることに感嘆させられます。

②火垂るの墓(1988)

【キャッチコピー】
「4歳と14歳で、生きようと思った。」

ファンタジックな作品の多いスタジオジブリ作品の中で、ひときわ異彩を放っている『火垂るの墓』。徹底的なリサーチのもとに戦時下の日本のリアルな風景を描いた本作は、公開された1988年当時のアニメーションの世界では極めて異端な企画でした。

劇場版予告編は、情緒表現と映像表現のコントラストで魅せるプロモーションの好例です。

ナレーションを一切用いず、荒廃した神戸の街並みや米軍による空襲など、戦争の惨禍を象徴する陰惨なシーンが連続する中、兄弟の心温まるやり取りにジーンとせずにはいられません。

「4歳と14歳で、生きようと思った。」というキャッチコピーも含め、35年近くが経過した現在でも勉強になる点が多い作品です。

③魔女の宅急便(1989)

【キャッチコピー】
「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」

角田英子さん著の児童文学を宮崎駿監督が1989年にアニメ化した『魔女の宅急便』。その予告映像には、視聴者のハートを短い時間で鷲掴みにするためのエッセンスが凝縮されれています。

本予告編の一番の見どころは、なんと言ってもヒロインのキキが魔法のほうきに乗って夜空を駆け回る幻想的な風景の美しさ。

荒井由美さんの名曲『やさしさに包まれたなら』を背景に絶妙なタイミングで作品タイトルが挿入されるまでの一連の流れは実に鮮やかで、何度見ても鳥肌が立ちます。

「少女の一人立ち」という物語のテーマを簡潔な三行で伝え切っているのも見事です。カナの使い方など、キャッチコピーを考える上でとても参考になります。

④千と千尋の神隠し(2001)

【キャッチコピー】
「トンネルのむこうは、不思議の町でした。」

第75回アカデミー賞の長編アニメーション部門受賞。スタジオジブリ最大のヒット作であり宮崎駿監督の才能を世界に知らしめた歴史的名作『千と千尋の神隠し』。

2001年公開の本作の海外上映に向けたプロモーションフィルムとして使われた公式トレイラーが、こちらの一本です。

海外ではスタジオジブリの世界観や宮崎駿監督の作家性に関する共通理解が確立していないため、日本の予告編とは異なり説明的なナレーションがきわめて重要な役割を果たしています。

「JUDGEMENT(決断)」「COURAGE(勇気)」「LOYALTY(忠誠)」のテロップの入り方もどことなくハリウッドらしさを感じます。洋題や吹き替えによる声色の違いという表面的な変化だけてないという点にも、国内と国外、それぞれでのプロモーション手法のこだわりを感じます。

⑤ルパン三世 カリオストロの城(1979)

【キャッチコピー】
「前作をしのげないのなら、2作目を作る意味がない。」

ルパン三世シリーズの中でも屈指の人気作『カリオストロの城』。宮崎駿監督の原点とも言えるアニメーションで、実質的な映画デビュー作にあたります。

上映当時の予告編は、レトロな中にもスタイリッシュで洗練されたセンスが光る一本。ルパンの劇場映画シリーズでは二本目にあたり、本作における演出やレイアウトの手法は後のアニメーション作品に大きな影響を与えています。

「前作をしのげないのなら、2作目を作る意味がない。」という制作サイドの熱い思いが迸ったキャッチコピーも見過ごせません。ファンの間では現在でも語り草になっており、プロモーションの役割は視聴者の興味を物語に向けるだけではないことを教えてくれる名フレーズと言えるでしょう。

【番外編】ジブリがいっぱいSPECIAL ショートショート 1992-2016

長編アニメーションだけがスタジオジブリの作品というわけではありません。

1992年から2016年の間にスタジオジブリが手がけたプロモーションフィルム、企業CM、ミュージッククリップ、Webアニメーション他、貴重な映像を収録した『ジブリがいっぱいSPECIAL ショートショート 1992-2016」は、2019年の7月にブルーレイとDVDで発売されています。

ディズニー・スタジオの公式YouTubeチャンネルが公開している同作のPR映像では、ジブリ作品のアニメーションの変遷を短い時間で眺めることができます。

特にスタジオジブリが2016年に制作して話題をさらった丸紅新電力のCMは、なかなか見ることのできない貴重映像。ぜひ、チェックしてみて下さいね。

まとめ

以上、スタジオジブリのプロモーション映像やその手法についてご紹介しました。キャッチコピーのインパクトは絶大ながら、その映像手法はナレーションを駆使したり、映像の美しさを武器にしたりするなど様々。

作品を一通り視聴してからプロモーションについて考察してみるのも面白いかもしれませんね。


 

映像制作のエレファントストーンが運営する本メディアZOORELは、映像やクリエイティブにまつわるトレンドやノウハウを発信しています。最新情報は以下のメールマガジンにて更新中。お気軽にご登録ください!

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

ZOOREL編集部/コスモス武田の書いた記事一覧へ

タグ

RELATED ARTICLES 関連記事