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マルチクリエイターから学ぶ演出表現【写真家×映像作家】

マルチクリエイターから学ぶ演出表現【写真家×映像作家】

エレファントストーンのディレクター 奥野です。

映像技術の発達が目覚ましいこのご時世、映像作家であり写真家でもある、あるいは写真家であり映像作家でもある、映画監督であり俳優でもある……etcなんて、マルチに活動するスーパースターを、皆さんも一度は聞いたことがある思います。

やはり二つの媒体でしっかり高いクオリティで製作されているクリエイターさんは、作品にかなり個性が出るのかなと個人的に思うことがありまして……今回は二つの媒体(写真と映像)で活躍する作家さんを紹介して、写真もできる彼らのならではの映像表現を見ていければと思います。

奥山由之

21世紀の日本で一番有名な若手写真家なのではないでしょうか。被写体、空間を、雰囲気や感情を残したまま綺麗に写しとるとんでもなく素敵な写真を撮られますよね。

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2011年に写真新世紀で優秀賞を受賞されて以来、他の追随を許さない速度で、鮮烈な作品を残す彼は、映像の分野でもサカナクション、never young beachのMV、数々の企業のPVも監督されています。

半端ないですね。

中でも個人的に大好きな彼の映像作品は、「GU Romantic Opulence」というファッションブランドGUのWeb CMです。「触れたら、はじまる」という洒落たコピーを、質感を感じさせるフィルムカメラ、色合い、キャストの動きでなんとも楽しく表現しています。

各ショットをキャプチャーした時に一枚絵、写真として完成されているところが写真家ならではなのかなと思いますし、持ち替えているのがムービーカメラなだけで、一つひとつのムーブメントやポージングの瞬間を鋭く納めるように撮影している感じがします。

フィルムと光の使い方も抜群にかっこいいです。

アレックス・プレガー Alex Prager

ロサンゼルスを拠点に活動する写真家である彼女は、極めて現実に近い緻密に設計、描写されたハイパーリアルの作品を写真で表現しているアーティストです。

2013年に発表した「FACE IN THE CROWD」で多大な脚光を浴びた彼女の作品作りは、映画の俳優やエキストラを起用して、スタイリング、ヘアメイクに至るまで細かくディレクションをするといったもの。フィクションとノンフィクションの狭間の領域を感じさせるような独特の世界観を持った”演出写真”を製作されています。

見ればわかると思いますが、古いハリウッドの映画のような印象を感じさせますし、所々の人間の表情や目線はリアリティを強く持っています。なんとも不思議な世界観です。

ここまで細かいディレクションを手がける彼女ですが、映像作品もたくさん製作されています。

「LA GRANDE SORTIE」という短編映像では、演劇をテーマにスリラーを製作していて、群衆を見てみると作家の細かいこだわりが見えてきます。

“印象づけ”という行為自体を製作する上で深く理解、重要視していて、色彩、ライト、表情や年齢に至る細かい演出を作り込むことで、視聴者に忘れがたいイメージを焼き付ける、そんな意図がありますよね。

彼女の写真・映像製作の現場のインタビュー・メイキングもYouTubeに上がっています。

美しい可憐な外見をされてますが、指示やデザインに驚異的な細かさを感じます。何より、自身の頭の中に完成させたい理想の一枚を恐ろしく鮮明に持っており、それに現実を近づける作業をしている感じがします。「一枚絵への強烈な執着」が写真家ならではなのかと思います。

また、商業的な広告映像も撮っていて、動画配信サイトVimeoの2019年の広告“Vimeo can help”の映像部門において監督を務めており、14箇所のロケーションで魅力的な映像を14本製作しています。

短いので14本のうち6本を載せます。

「生活の中である(中にはないものも)困った状況」を脚色して、効果音と演技で面白おかしく伝えている本作では、彼女のカラフルなテイスト、スタイリングを、広告映像として見事に昇華させています。

彼らに学ぶ

どちらも個性豊かなクリエイターですが、奥山由之さんからは光の使い方と被写体のムーブメントと一瞬雰囲気、表情を切り取る重要性。アレックス・プレガーさんからは色彩、小道具、表情、動作、照明などの演出で視聴者の目線をガイドして、印象付けを行うことや、あらかじめ鮮明な完成形を持つことの重要性を学ぶことができるのかなと思います。

また、両者共に、リサーチを通して綿密に考えて、頭でシュミレーションしているんだ……!と完成品のクオリティからも伺えます。映像や写真だけじゃない、マルチなクリエイターから学ぶこと、たくさんありますね。

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この記事を書いた人

奥野尚之
エレファントストーンのディレクター。好みの映像は、『天使の涙』『めがね』『Fish Tank』『20th Century Women』。

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