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制作も営業もマネジメント。映像制作会社のポジション混合型チームづくりで大切なこと

制作も営業もマネジメント。映像制作会社のポジション混合型チームづくりで大切なこと

こんにちは、エレファントストーンの嶺です。

あなたが制作(クリエイション)と営業(プロデュース)を両方行うチームのマネージャーになったら、どうやってマネジメントしますか?

エレファントストーンは10月より社内体制が大きく変化し、ディレクター、エディター、プロデューサーを同一チーム内に混在編成したチームをつくりました。

これまでは、ディレクターはディレクターチーム、プロデューサーはプロデューサーチームと職能ごとにチームが分かれていたのですが、新体制ではその職種を5〜6名単位のチーム内で混在させています。こうすることで、一つのチーム内で映像を営業〜受注〜納品するまでチーム内で完結させられるようになったのが、今回の大きな変化です。

プロジェクト毎に動くメンバーがある程度固定化されることで、連携・習熟度の向上が期待できるように。そして、今まで以上に「全員で仕事を獲得する」「全員で作品をつくる」という意識を生み出せるようになりました。

しかし、チームのマネジメントという側面では「制作」と「営業」の異なる視点が同じチーム内で混在することになり、マネージャーのタスク量やマネジメントの複雑さが増したように感じます。「作品のこだわりよりも売上の数字目標をとにかく追いかけるべきか?」「多少非効率でも自由につくってもらって良い作品を追い求めるべきか?」等、両方狙いたいのはもちろんですが、言うは易く行うは難し。

今まさにそのマネジメントに取り組んでいる自分は、責任と裁量が増したことでこれまで以上に経営意識を持ってマネージャー業に取り組めている実感があります。この感覚は、チームというよりも小さな会社を経営しているようなものだと思います(普通の会社には制作も営業もどちらもいますよね)。

まだ新チームが始まったばかりということもありますので、今回はこの初期段階のチームビルディングで注力した点を中心にお話しできればと思います。

3つのC(Communication、Creative、Cost)を体現する

まず、撮影や編集を行い実際に良い映像をつくるディレクター・エディターと、営業活動をしたり進行管理でお客様の窓口となったりするプロデューサーでは、日々の業務の考え方や求められる評価指標が異なる部分がどうしても発生します。今回、そのディレクター・エディター・プロデューサーが同じチームとなり、連携する時間が大幅に増えた中で、考え方や判断基準のズレが生じてしまっては非効率です。そして、何よりチーム内で縦割り組織になって分断が起きては元も子もありません。

せっかく同じチームになったのですから、ディレクター・エディターはこれまで以上に仕事を受注する大変さやお金のことについて知るべきですし、プロデューサーもクリエイティブについて知見を深められれば、よりお客様に高い価値を提供していけるようになるはずです。

(また今回、自分のチーム(以下、嶺チーム)は上は40代後半の中途入社メンバー、下は20代頭の新卒入社メンバーという、年齢もキャリアも様々なメンバーで構成されている点も考慮する必要がありました。)

そこで、自分はまずチームメンバー間で共通言語を獲得することが最重要と判断しました。嶺チーム内だけで通じる言葉で良いのですが、共通言語を用いたチーム内コミュニケーションが増えれば増えるほど、メンバー間の判断基準が揃います。そうすると日々の行動、メールやチャットの返信一つをとっても合意形成に至るスピードが上がりますし、同じ時間作業をしても、アウトプットの質がグンと上がるはずです。

そこでチームが始まって最初に提示したのが、下記の概念図です。

「行動指針」とは、エレファントストーンが掲げているMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に紐づいて一人ひとりがどんな考え方を元に行動するかを示したもので、全社員の評価指標にもなっています。嶺チームにおいては、この6つの行動指針を「Communication」「Creative」「Cost」の「3つのC」という形で日々具体的に表現しようと定めました。

例えばですが、

「行動指針① 想像力を、ホスピタリティに活かした」「Communication」をとる
「行動指針③ 自分で自分の背中を押して、知的興奮を呼び起こした」「Creative」をつくる
「行動指針⑥ 期待を超えた」「Cost」を提示する。

といった形です。

こうすることで、日々誰かの行動に対して「このCommunicationは〜〜な点で行動指針を実践できていないので改善しよう」という会話ができるようになったり、毎日の定例会議で「もっと〜〜をした方が、より期待を超えたCreativeが作れるのではないか」と提言をできるようになったりします。

現に今の嶺チームでは毎日の締め会で「必ず毎日何か一つ、3つのCを改善しよう」というテーマで、「Communication」「Creative」「Cost」いずれかの改善できる点を提言し、議論して改善手段の決定まで行うことを習慣化しています。これも「3つのC」に基づいて日々の業務を行うことが共通言語、つまり合言葉になったから各自が主体的に行えるようになっています。

さらに、概念図の一番上の部分ですが、そうやって「3つのC」を向上させていくことが、「個々」「チーム」双方の勝利に直結することまでを明示しています。

エレファントストーンでは“行動指針を実践して日々業務を行っていること”に、評価としての高い比重が置かれています。この概念図のようにチーム内で大切にする価値観を実践できれば、それがそのまま会社からの評価にも直結し、必ず個々もチームも高い評価を獲得できるという考え方の一本の筋を通せると、各自が迷いなく良い仕事ができるようになると思います。

とにかく全員で話し合って合意形成する

そして、これは6名という比較的少人数のチームゆえ可能な方法論ではあるのですが、“全員で直に話して決める、合意形成する”プロセスを非常に重視しています。

先述した締め会での「3つのC」の改善トークもそうなのですが、重要な決め事はもちろんのこと、「何を重視してこの作業を行うべきか」「こういうケースではどう対処すればいいか」といったケースバイケースの対処や完結に言語化しづらいノウハウについて、とにかく“全員で”話す時間を多く設定しています。

エレファントストーンではNotionを用いて情報をデータベース化して全社的なナレッジ共有を行っているのですが、それに加えて嶺チーム内ではとにかく会話をします。チーム内の誰かからマネージャーである自分に質問があった場合も、それを1対1のコミュニケーションで完結させず、チーム全員参加の定例会議や締め会の場、または全員が閲覧できるSlack上でやりとりすることで、マネージャーである自分の判断基準を全員が体得することが可能となるのです。

今の時代、定例会議を増やすこと、全員を巻き込んでコミュニケーション量を増やすことは非効率・前時代的として避けられがちなようにも感じますが、質問のやりとりを1対1のクローズドなチャットで終わらせてしまったり、「このNotion記載のナレッジを各自見ておいて」で終わらせてしまったりすると各自の判断基準がなかなか揃わず、自分が重視しているメンバー間の意思疎通がいつまで経っても実現されません。それは、結局一番非効率なことだと考えています。

そのため、今の嶺チームでは「各見積もり項目の原価の相場感についてメンバー間の認識が今ひとつ揃っていない」という課題が出てきたら「全員で2時間徹底的に話し合ってその認識を揃えよう」とするわけです。もちろん、その議論の結果はNotionに記録してナレッジ化し、後で振り返って確認できるようにもしています。

話す時間を増やすことで、その都度少なくない時間がかかりますが、議論するプロセスを経て各自が納得して自分の中に落とし込むことで、その後忘れたり再び認識がズレたりするリスクが大幅に低減できます。つまり、どんどん効率化が進み、結果的には工数の削減にも繋がるのです。

また、マネージャーの自分の目線で言うと、自分はこれまでディレクターとしてキャリアを重ねてきたためプロデューサーの判断基準や営業フローを完全に理解できている訳ではありません。そんな中、トップダウンのチームにすると、プロデューサーに的確な指示を出し切れない可能性が高いです。自分も議論テーマによっては教えてもらう立場として、一緒に話し合い、合意形成を図っています。

チーム運営の土台としてお互いを知る

上記でお話しした“全員で話す”ですが、本当に効果を出すためには、各自が遠慮せず発言できるようにする環境づくりがとても重要になります。心理的安全性の確保とも言い換えることができますね。

例えば、全員の前で相談してくれたメンバーを叱責してしまっては、次からは相談すらしてもらえなくなるでしょうから、何を言っても受け入れてもらえると全員が思えるチームの関係性づくりはとても重要です。そして、その関係性を生み出すためには、当たり前ですがお互いの人間性をよく知っていることがとても大切です。

そこで、嶺チームは11月にチーム合宿を実施しました。

合宿ではまず1日目に自己開示の時間と定めて「自分がどういうキャラクターなのか」「自分がベストパフォーマンスを発揮できる条件は何か」「自分の弱みは何か」「チームメンバーに要求すること」を各自1時間弱程度で発表し、話し合いました。

そして、2日目にお互いの自己開示を踏まえた上で“嶺チームの最強の形”について話し合いを行いました。「どんなチームにしていくべきか」「目指すチームの形から逆算して日々の定例会議で何をすべきか」「新規案件が来たらどう役割分担をして取り組むか」などなど…互いの強さも弱さも理解して、遠慮という心の壁を取り払っていくことで初めて、本当に各自が力を発揮するための自己主張や要求ができるようになります。

配慮ではなく、要求をし合えるチームになることが、本当に結果を出せるチームの条件です。そして、お互いを理解し要求しあった上で固まった決め事に対しては、全員が納得感を持って主体的に取り組んでいけるようになります。

もちろん合宿なので、移動中の車内の選曲で盛り上がったり、卓球をしたり動物と戯れたり、BBQで炭火を起こすためにてんやわんやしたり、そんな楽しい思い出の中で見えてくる人間性も、やはり良いチームの形成には大切だと思います。人と人が一緒に仕事をする上では、理だけではなく情も必要です。「このチームメンバーのために自分も頑張ろう」と全員が思えていたら、間違いなく強いチームになっていけると思います。

まとめ

他にも細かい点はありますが、まずここまでお話ししたことが、今、自分がチーム運営において集中して取り組んでいることになります。

エレファントストーンが昔から掲げている考え方として「全員がクリエイター」というものがあります。“「ディレクターだから」「プロデューサーだから」「経営戦略室だから」という縦割りのプロ意識を持つだけではダメで、全員が何かの価値を生み出していける存在として縦割りの役職にこだわらず最善を尽くして仕事をする”という考え方ですが、まさに今、制作(クリエイション)と営業(プロデュース)が混在編成されたチームのマネージャーとなり、その大切さを強く感じています。

ディレクター・エディターはこれまで以上にお客様が何を考えているかを知り、見積りや原価の感覚を身につけることでより良いクリエイティブをつくれるようになりますし、プロデューサーは撮影や編集技術について今以上に理解を深めることで、よりお客様からの信頼を獲得していけるようになります。そしてその姿勢でチーム一丸となって仕事をできれば、必ず全員が一段も二段も上に上がっていけることを確信しています。

 

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この記事を書いた人

嶺隼樹
エレファントストーンのディレクター / マネージャー Twitter:@junkimine

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