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今、地方自治体の映像が熱い。「移住と暮らし」をテーマにしたふるさとCM集
画像引用:https://www.nogizaka46.com/s/n46/news/detail/101412
こんにちは!ZOORELを運営する映像制作会社エレファントストーンです。
地方自治体のプロモーション映像といえば観光PRが主流でしたが、今、その潮流が変わりつつあるのをご存じでしょうか?
移住や定住を見据え、地域のリアルな魅力を伝える本格的な「CM」――通称「ふるさとCM」の制作が活発化しています。公募コンテストなどを通じて多くのクリエイターが参加できるのも大きな特徴です。
本記事では、2025年に公開された最新作の中から、特に「暮らし」の温度感が伝わるユニークな作品を、編集部の独断と偏見で厳選しました。
「移住と暮らし」をテーマにしたふるさとCMの事例
1. 京都府京都市『【京都市公式CM】住めば、京。』
京都市といえば、平成26年度には183万人だった外国人観光客数が、令和2年度には300万人へと急増するなど、インバウンド需要が拡大し続けているエリアです。
そんな京都がいま、観光と同じくらい注力しているのが「移住」です。府外からの移住には最大200万円の補助金が出る制度も整備されています。 公開された公式CMのテーマは、「住めば都」ならぬ「住めば、京」。京都出身である乃木坂46の弓木奈於さんを起用し、「もし弓木さんが京都で働いていたら…」という設定で描かれています。
映像はあえて背景をぼかし、人物にフォーカスを合わせる心憎い演出が施されています。観光地としての京都を映しきらないことで、逆に「京都で働き、暮らす魅力」がリアルに伝わってくる仕上がりになっています。
2. 福井県敦賀市『敦賀市移住PR動画』
福井県敦賀市の動画は、経済産業省 資源エネルギー庁の「地域のちからプロジェクト」を活用して制作され、SNSを中心に話題を集めました。
敦賀といえば「原子力発電所」のイメージが強いかもしれませんが、実は京都などの都市部へのアクセスも良く、豊かな自然と利便性が共存する街です。 約3分間の長尺で描かれるのは、都会の喧騒と敦賀での穏やかな暮らしの対比。「敦賀で待っているよ」という温かいメッセージが、BGMとともに胸に響きます。
また、情緒的な訴求だけでなく、データによる裏付けも明確です。都内と敦賀市でのコスト比較(約5万8千円 対 約2万円)や、福井県ならではの高い持ち家比率・正規雇用率などを提示。仕事や暮らしの支援制度も充実しており、移住への不安を払拭する構成になっています。
3. 埼玉県『こどもが笑う、ぼくらが変わる。』
移住促進の動きは、地方都市だけのものではありません。都心へのアクセスが良い埼玉県でも、10月に新たな移住促進CMが公開されました。
描かれるのは、埼玉県に移住した3人家族の姿。「移住してきてよかった」と振り返る言葉と、何よりお子さんの屈託のない笑顔が印象的です。 埼玉県といえば、例えば秩父市のように移住支援金が出る自治体もあり、「都心への通勤圏内」と「豊かな自然」が両立できるのが最大の魅力です。 しかし、この映像ではあえて細かなデータや利便性には触れていません。
「子供の笑顔」という一点にフォーカスし、理屈よりも心に訴えかける、エモーショナルな仕上がりになっています。
4. 福井県おおい町『もしも陰陽師が536年ぶりに移住してきたら① #ロングコートダディ』
多くの自治体が「家族」や「働き方」といったリアリティのあるテーマを扱う中で、異彩を放っているのが福井県おおい町です。 テーマはなんと、「陰陽師がもしおおい町に引っ越してきたら?」。
「536年ぶりにおおい町に帰ってきた」という奇抜な設定のもと、ユーモラスなショートドラマを継続的に配信。公式CMとしては珍しくお笑い要素が満載で、今のトレンドを抑えた作りになっています。 コメント欄も「笑っちゃいました」など高評価。動画を楽しんでいるうちに、じわじわと移住や町のことが気になってくる仕掛けです。 もちろん笑いだけではありません。
人口7,800人の自然豊かな町ながら、東京圏から移住・就職する大学生への費用支援など、受け入れ体制も万全。まずは映像で知名度を上げ、興味を持ってもらうためのフックとして非常に効果的な事例です。
まとめ
このように、現在では移住や日々の暮らしに焦点を当てた「ふるさとCM」が数多く制作されています。今回はその中から、特にクオリティが高いと感じた4作品を、編集部の独断でピックアップさせていただきました。
どの作品からも「自分たちのまちを知ってほしい」という自治体の強い熱意が伝わってきます。移住の検討はもちろんですが、まずは「一度行ってみようかな」「自分の目で見てみたいな」というきっかけをくれるものばかりでした。 ぜひ皆さんも、映像を通して自分だけのお気に入りのまちを見つけてみてくださいね。